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作られた線路へ
「次、ミヤモトさんお入り下さい。」
担任の声がする。
「ミヤモトさんの職業適正テストほとんど丸だったからどこでも大丈夫だと思うわ」
「お前……したいことないの?」
「特にない」
「ミヤモトさん、面倒見いいですし、優しいから看護なんてどうかしら。」
「こいつが看護ですか?だとしたら
進学ですか、入れるところありますかね」
「頑張ればどこにだっていけると思いますよ」
「…………」
自分を置き去りにし、
目の前で繰り広げられるやり取りを私はただ聞いていた。
自分の線路が作られていく、そのほうがきっと楽なのだ。
目を閉じ、暗転していく世界
目の前にはただ一本の線路。私の進まなければならない道
もし、この道から脱線してしまえばどうなるのだろう。
親や周囲の人に迷惑かけてしまうのか。
でもこのまま作られた線路を歩くことは私にとって幸せなんだろうか。
「どうする?」
親からの声が私を現実へと引き戻す
「それでいい」
これは考えることを放棄した私が自分で1つの枷をつけたことになる
線路を歩く上での枷。
そうして
特になにもない私の受験がはじまった