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異世界の人生はミルクから…。  作者: 翠ケ丘 なり平
第六章 月の涙
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85 帰還

どうも作者さんです。

加筆修正って作品が続けば続くほど大変ですね─

初めばかり手直ししてしまいます。

 

「ほぁー!! ひょえーー!! ひとぉーー! だぐさん!!」


「ちょっちょっと…目立つ目立っちゃうからぁ」


 馬車の外をギャアギャア叫びながら指差すテーベの裾を引っ張るメルネーちゃん。


 ということで帰ってきたクレハーロ。

 気づくのが遅れたが、ゼンがケモミミ’sに手をワキワキして鼻息が荒い。

 なんつう顔してんだ。

 確かにフヨフヨ揺れてるのは可愛いが…


 しかし、街の門で止められることがなかったのは何故だ。

 身分証明の提示と一応の留意としての注意を受けただけでスッと通れた。

 街の門番には教官の知り合いが多いハズなのに。

 あ~でも、早馬が出てたな。

 冒険者ギルドだろうか。

 商業ギルドな訳ないだろうしな。


「なんかひさびさ~~ひとっひとっ」


「……ぅわ…人多…きも」


「目でも(つむ)りなさいな…久々で人に酔いそうなのは分かるわ」


 エミッタがワサッワサしながら人を指差し、チヌネアがフードを更に深く被る。

 クレールがエミッタの指差しを無言で下げさせながら軽いため息を吐く。

 まぁ言いたいことも分からんではない。

 人が多いのはいつもだろう。


 久しぶりに人がいる感じを味わったな。

 さして多くは見えんけどな。

 お正月やら、なんやらの行列に比べりゃいないに等しい。

 ま、オレも人混み嫌いですけども。


「さて、どうせ休めないんだけど…テーベはどうする? 付いてくるか? 状況説明をしなきゃならないんだが」


「んぁー、セーベに代わるから……はっ、あ~どうも。おはようございます」


 なんでセーベからテーベに代わるのはすぐ出来るんだ…

 ホントは簡単に切り替えできるんじゃなかろうな。

 別にいいのだけれど。


「えっとオハヨ。早速で悪いんだけど、この2日のことを説明に行くからどうする? 付いてくる?」


「えっと…あの、私も身分証明を作りたいので…」


「あぁー、そうだな。冒険者カードが一番楽だし、必要になるだろな。普通に忘れてた……そういやセーベって何歳なんだ?」


「おい、女の子に年齢聞いてんじゃねぇ!」


「!?」


 馬車の荷台にいる全員が肩を振るわせてビクッと驚いた。

 それはここにいるハズのない奴の声がしたからに他ならない。


「兄貴っ!?」


「よぉ、クラメ・ベーズ。おめぇは関係ねぇから引っ込んどきな」


「いやいや、待って待って。なんでクラベがここにいるの? 里にいるはずでしょ!?」


 驚いたことにオレの感知にも引っ掛かることなく忍び込んでいた男。

 クラメが兄貴と呼ぶ小さな男。

 セーベに惚れているリス族のクラベだ。


「セーベ……こんな訳もわからん胡散臭い魔法使いに俺のセーベを任せられるわけがねぇだろが!」


「え!? はっ? なにいってるの!? ダメでしょう、迷惑かけるようなことしたらっ!」


 鋭い目付きをより一層の睨みで返すセーベ。

 赤い瞳が赤みを増して煌めいていく。


「うぐっ、し、仕方ねぇだろッ? 胸がムカムカして止まらねぇんだからよ!!」


 セーベの目に射すくめられたのか、はたまた照れたのか顔をそらしオレを威嚇した。

 つーか、理由は分かったけど正直どうでもいい。

 むしろこんなとこまでついてきたコイツすげぇわ。

 オレの感知にも引っ掛からないってことは相当の実力があるな。

 アンの警告に触れないのはコイツは害が無いと判断されたわけだ。

 まぁ、それでも伝えなきゃいけないことは言わなきゃいけない訳で。


「嫉妬はどうでもいいが、お前普通に犯罪してるぞ。セーベは門番から仮滞在証を貰ってるからな」


「へっ!? ぅぉ、やっちまったか? ど、どうすればいい?」


 細目で見返しながら、指摘すると猛烈に動揺し始めた。

 よくよく見ると尻尾が毛ばだっていたり、木片が髪についていたりして、小汚ない。

 たぶんだけど、馬車の荷台にしがみついていたのだろう。

 荷物には隠れられるような場所はないし。

 とにかく、面倒ごとになりそうなクラベは早く帰ってもらいたい。


「今からなにもせずに帰ったらいいんじゃね? 同じように馬車にしがみついて、さ」


「ぬ…いや! 俺も身分証明をすればいいだろう!?」


「「えー」」


 セーベとハモってしまった。

 同じように眉根をよせてクラベを見る。


「まぁまぁ、クラベちゃんがしたいっていってるんだからぁ、させてあげればいいじゃない~。ここまで踏ん張ってついてきちゃったんだから根性は認めてあげるべきよぉ」


「守るには根性も必要、と」


「僕はやり過ぎだと思うけどね」


 男共が何かいってるがオレとしてはゼンの意見に激しく同意。

 はっきり言ってストーカーだ。


「あ~知らね、適当にしろ。オレにはやるべきことが多いんだよ、厄介事は持ち込むなよ? あと、セーベの嫌がることはしないほうがいいと忠告しておく」


「……そ、そうなのか。すまなかった」


「ちょっとまってね、……覚悟はできてるんだろうな?」


 あ、こりゃテーベだな。

 ニコッと微笑んだと思ったらセーベからテーベに変わったみたいだ。


「あぁぁあ、ゴフッ」


 腹パン。

 クラベの腹にめり込んだパンチは深い。

 守るとか言うのならまずはテーベより強くならなきゃダメだろな。


「お客さんら、着いたぜ。学校だ」


 御者が幌をどけて伝えてくれる。

 一応の仕事を終えたとして出された手に金を渡す。

 チップとして少し相場より上乗せしておいた。

 オレたちは特に騒ぐことなく荷台を降りる。

 御者は「ありがとよ」と呟いて馬車を走らせていった。


 ぐぐっと伸びをして、学校を見る。

 まずはフンベ校長に説明をしにいこう。


 長くなりそうだと思い、ため息を吐いてしまう。

 憂鬱になりながら一歩を踏み出した。


はい。作者さんです。

いい遅れて申し訳ございません。

えー、あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。(大遅刻)

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