52 門出祭準備-2-
プリンープリン~っと。
さぁさぁやってまいりました!
ただ今、私は村長宅の台所を借りております。意外と調理器具が揃って、綺麗にされています!
変な実況口調してたけどホントに誰が使ってんだろ?
コジベ村長はないだろうし…セーベかなぁ~? …そういえばお母さんってどうなってるんだろう? 会ってないよな…聞くのはちょっとどうなるか分からないしな。
まぁいいか。さぁ気を取り直してっと!
ここに用意致しましたのは大きな鍋! これで大きなプリンを作ります!
でもその前にしなくちゃならないことがあるんです…、ゼラチンから作らないといけないんです…
しかぁーし!
この世界には、ほっとんど害のない種のスライムがいるのです!
そいつを焼くとある粉になるのですが、この粉、水で戻すとぉ
あら不思議! ゼラチンっぽいではありませんか!
いやぁー便利なスライムがいたものです。と言うことでこれを収納魔法の異空間から取り出します。
さて、卵ですが村長に聞いたあと思い出したのですが…
収納世界にパニックバードの大きな卵を入れてました。
ほぼダチョウの卵ですね。
味や菌はアンいわく大丈夫って言ってたんで大丈夫だろう!
村長に卵返さないと…いや、でも足りないかもしれないしな?
パニックバードの大きな卵は鶏卵8個分ってところか。2つだけ卵をもらおう。
これ、砂糖入れなきゃ不味い可能性大だな…パニックバードは卵の味が強そうだし。
ハァァ…使うか…オレの秘蔵の砂糖を!
これは本当に高かった。
オレがクレハーロの近くの狩り場で狩った素材を売って貯めたお金…その大半がぶっ飛んだ。物価は日本と比べるとかなり安いからな。稼げる金もそれに見合った依頼料だ。
それにしても砂糖1㎏金貨一枚と銀貨7枚だ。たけぇよ!!
現代日本だったら1㎏高くても500円越えないよ、多分。
1万7千円分の砂糖だ。慎重に使おうと思ってたんだけど…
まぁ美味しくなるんだったら仕方ないよな。
この砂糖はグラニュー糖っぽいからお菓子作りにはピッタリだと思うけど。
じゃあ卵を割りますか。でもこれだけでかいと、割りずらそうだから風魔法で切~ろうっと!
無詠唱で持続力の短い鎌鼬を卵の中心より少し上に放つ。
ほとんど音もなく殻に筋が入る。
ウムウムよきかなよきかな、指先から放出して切ってみたんだけど、なかなか綺麗に切れたな。
よし。この全卵をボウルに入れて、泡立てる!
腕でやるのはしんどいからこれも風魔法で…こう、渦を巻くように…よし。いい感じだ。
ここに牛乳を2リットルを加えながらさらに砂糖を300g入れていく…
これを風魔法で混ぜている間に、違う鍋に砂糖を100gとハチミツを結構多目に…、で、水を300ccぐらい。
これは水魔法で出して、火魔法で中火にして混ぜない!
ここで混ぜちゃダメだ!
軽く鍋を揺するくらいにして…この間に熱湯を後で使うから別の鍋で作っておいて…、だんだんキツネ色になり始めたら火を止めて鍋を揺する。
濃い色になったら熱湯を入れる! この時にソースがはねるから鍋を奥に傾けながら入れるといい。
よし! これでカラメルソースはいいかな。
出来たカラメルソースを大きな鍋に流し込んで っと。
『ねぇねぇ!めっちゃいいにおーい何つくってんの~』
「光の精霊か、今セーベの門出祭用のお菓子作りしてるんだよ」
光の精霊がオレの周りをクルクル クルクルまわっている。
正直、邪魔…突然来て味見だけするようなタイプだろ。
前世ではドラマとかでしか見たことないけど、そもそも料理も友達もいなかったし…
「て言うかあれだ。光の精霊っていうの長くない?」
『えっ? 何々急に!? もしかして~私に名前つけてくれんの!? あんただったらどんな名前でも大歓迎よ~!!』
カラメルソースを作ってた鍋をジロジロ観察していた、光の精霊がバッと音がするぐらいの勢いで振り返った。
そして飛んできてオレの頭頂部に座った…女の子座り…アニメでありそうな構図だこと。
それにしても名前か……
「んー光の精霊……ルーメンは? どう?」
「ルーメン…良いわね! グーよ! グー!
ラーラー私はこれからルーメン~!!」
ルーメンは光束の単位でLEDとかの光の量を表す単位だ。
ルーメン多そうだからいいかと思ったんで、そう言ったんだけど気に入ったらしい。
それにしてもグーよ、グーとか久しぶりに聞いたな。死語だろ。
まぁルーメンは今はどうでもいい。調理を続けよう。
え~と、スライム粉(ゼラチン粉)70gを400mlのお湯で溶かす。
溶かしたら、濾し器がないから薄目の布を大きな鍋にかけて、さっきの混ぜたやつを流し入れる。
流し入れたら鍋を弱火にかけて、底が焦げ付かないように木べらで混ぜる。
『おぉー! なんか分かんないけどスッゴクいい匂いー! トローンってしてきたよー!』
いてて、ルーメンめ! いい匂いがしてきたのは認めるが、興奮してオレの髪の毛を引っ張るな!
「おい! ルーメン、髪の毛引っ張らないでくれ! 調理の邪魔だから!」
『うん!? そうね! ごめん!』
お、おぉ。そこは聞き分けいいんだ。まぁ楽しそうだしいいか。
さて、生地が白っぽくなってきたかな?
白っぽい色をし始めたらスライムゼラチンを流し込んで…混ぜていく。
トロみが出てきたら火を止めて冷やす!
冷やす作業ですが…本当は冷蔵庫に入れて24時間なんだが、そんなのはないし、時間もない。
ということで魔法の出番です!
…でも冷やす属性の魔法はないんですねぇー、ええ、ないんです。本当は!
しかし! 私、ガルゥシュ・テレイゲル! 開発しています!料理のためには手は抜きたくないのです!
いくぜ!
『冬の者、北の者、我が呼び掛けに答え、凍れ![氷結]』
ピキピキっと氷の澄んだ氷結音。
ヨシッ! 鍋の周りが完全に氷漬けになったな。
これならすぐ固まるだろ。
『お、おぉ!? すっげぇー!あんたマジで天才ね!
やっぱりこのルーメンちゃんの目に狂いはなかったわ!』
どうも、ルーメンちゃん…
いやぁーて言うかかなりカチカチに凍ったな。
これ、普通に戦いに使えそうじゃね? アイスソードとかさ…
いい !いいねぇ! 夢広がるぅ!
まぁアイスソードはさておき、プリン調理はこれにて完了!!
美味しくできてるといいなぁー。皆驚いてくれっかなぁー?
オレの小遣いのためにも喜んでほしい……
バケツプリン皆も作ってみてね!
あ~プリン食いてぇ。




