49 新たに
「おい。お前さんら、少し話をしよう」
オレたちはコジベ村長に続いて扉をくぐり、リビングに入った。
言ってなかったかも知れないが、このリビングには暖炉がある。今は大分暖かくなってきているので火は焼べられていないが…
コジベ村長は少し年季の入った木の椅子に深々と座り、オレたちの近くにある椅子に座るように促した。
何、話すんだろう? コジベ村長って話より拳で語り合うタイプな気がするんだけど……?
「うむ、率直に言おうかの。お前さん、光の精霊様がみえるんじゃろ?」
「え、えぇと、はい」
オレは一瞬迷ったが別に隠していた訳でもないから肯定した。
「ほぉか、やはりそうじゃったかの。セーベの言う通りか」
「あの~それが何か…?」
「ん、それはじゃの~…わいらは見えんのじゃ。光の精霊様が。蹴れどもセーベは見える。そしてお前さんも見える。ということで、お前さんとセーベに──」
『あっ! 少年! いるじゃん!
あんた、いいわぁーあんたいるとウキウキしてくんのよねっ!』
ちょっと待って! 光の精霊のせいで村長の言葉の続きが聞こえなかった! 耳の真横で言うの止めてくんね!?
ソフィが、口開けたままでいるんだけど! 村長、何言ったの!?
「ちょっと光の精霊、うるさい。村長もう一度言ってください!」
『エ~なによーうるさいって~』
もう腹立った。
オレは近くを飛んでいた光の精霊を掴み、指で口を押さえた。
『んぐ! んー! んー!』
バタバタ腕を振るう精霊、掴んでおくにはちょっと邪魔だがまぁ仕方ない。
「ほぉー声まで聞こえとるのか。それも明確に聞こえてそうじゃの」
「ちょっ! ちょっと待ってください!! コジベさん!」
放心状態だったソフィが復活した。直後に大声を出す。
ちょっとビックリした。
「なんで! ガルゥとセーベが、こ、こう、交尾しないといけないんですか!!」
「は……?」
は? は? え? 今ソフィさん何て?
待って! 待って! 思考が追い付かない!
『プァハァ! 苦しかったぁ!
ねぇねぇ、いいじゃんいいじゃん! あんたとあの娘が交尾するんでしょ!? 光に愛されまくった子どもが出来るんじゃない?』
ええのんか!? やってもええのんか? 童貞卒業出来んのか?
いや、まてまて! オレにはソフィという相手が…しかもオレの体はまだ成人前だぞ! ソフィとヤルのでさえもっとあとにしようと思ってるのに!?
「リス族では光の精霊様に愛された子どもが生まれたら、光の精霊様が見える相手と子を育ませろ。という伝承があるんじゃ。実際はもっと堅い言い方じゃがの」
へぇーそんな伝承…精霊視スキル取得してたら誰でもいけるんじゃね?
《精霊視スキルは習得が本人の生まれつきの才能に大きく左右されます》
習得がかなり難しいってことか。
「そんなのダメです!
絶対ダメ! ガルゥ! しちゃダメだよ!」
「んーまぁそうだよね。すいません村長」
ソフィがオレに整った赤い顔を近づけて強い口調で言ってくる。
少し迷ったけどやっぱり付き合いも短い娘で初めてを卒業するのはちょっと、ね。
「そうか…そういえば、お前さんたち冒険者になるんじゃろ?」
「えぇ。まぁ世界をいろいろまわるつもりですよ」
「なら、セーベも連れてけ」
「はい?」
急に何いってんだ? つーかなんで?
「いつか伝承通りになるかもしれんしのぉー!
げれども軽く言うならあの娘にとってこの里は狭すぎるじゃろうから連れて行ってやってほしいというのが本音かの」
あっなるほどー。まぁそれならいいんじゃないか?
「まぁそれなら…」
「決定じゃの」
ニマッと笑う村長、頭掻くオレ。目を吊り上げるソフィ。
こうして、オレたちのパーティーにセーベ・リースタが新たに加わった。
二人目のヒロインがガルゥのパーティーに加入しました。(本人のいないところで)




