31 校長と教官
「──と言うことなので~えー冒険者として大成するものは~懸命に訓練を積み仲間に恵まれたものであるからしてぇ──」
長い!校長の話が長いったりゃありゃしない。もういいよ!お前はハゲだ!バカヤロー!早く終われよ!一般生何人か倒れてんだろうが!そういえばまだ名前も言ってねぇぞ!早く終わってくれー!
「──と言うことなので~ここに冒険者学校第22期生が入学したことを認める。クレハーロ冒険者学校校長フンバ・デロウカン」
え?終わった?
パ…
パチパチパチパチパチパチ!!
まるで素晴らしい劇が終わった時のように拍手拍手の大喝采。内心はやっと終わったぁー!だが……
「おわったぁー、あ~つらっ」
「長かったなぁガルゥシュ」
隣にいたゼンエスと愚痴を溢し合う。
「ほんとだよ。あの人に幻影魔法教えてもらうの疲れるだろうな~めんどくさいなぁ」
「なにいってるんだい。特待生は校長に授業してもらうことがあるんだぞ」
「嘘だろ……」
授業だと…確実にヤバいだろ…幻影魔法の講義だけでいいよ……
「ガルゥゥー。長かったね~」
少し離れていたソフィもこっちにやって来た。その顔は少しうんざりしてる顔だ。と言ってもこっちも似たようなもんだろうけど。いや、オレはゼンの情報で余計にうんざりだわ。
「泣きたくなってきたよ…。ソフィ~」
「おーよしよし」
ソフィに頭をポンポンされる。あれ逆じゃね?
「お取り込み中すまないが、ガルゥシュ、その子を紹介してくれないか?」
「おっと、まだ紹介してなかったか。この子はオレの幼馴染みのソフィティア・チヨクス。あっ!ソフィにも言っとくよ、こいつ、ゼンエス・ナ・テヨメルはオレたちのパーティに入るから」
「よろしく。ソフィティア」
「よ、よろしくお願いしますっ!──ホントはガルゥと二人が良かったけど……」
「えっ!?何か言ったかい?」
「い、いえ!何でもないんです!」
お互い頭を下げ合って挨拶をする。ある程度仲良くしてくれたらいいや。それにしてもソフィがオレとの二人旅を望んでいる……ゼンには聴こえなかったようだけど。いやぁ嬉しいぞ。普通に。
「特待生はこっちに来てくれ!」
「お、呼んでるぞ。行こうソフィ、ゼン」
「あぁ。ところでメルネーちゃんは?」
「え、えーっと、さ、先に行っちゃいました!」
「残念だ……」
項垂れて肩を落とすゼンエス。こりゃダメだな。完全にゼンはメルネーちゃんに嫌われたろう。いきなりあんなことされたらトラウマになるわ。
集合掛けられたところには教官らしき人がいた。
「よし!特待生ども!俺が教官のベゼックだ!フルネームはお前たちが一人前の冒険者になったときに教えてやろう!」
ベゼック教官は細マッチョと言ったところか。口髭と眼光が鋭い。頭はスキンヘッドである。こっわ。見た目こっわ。ベゼック教官は胸にナイフをたくさん差し、メインで重そうな剣を使っている。
「おし!それではおまえたちの実力を見てやろう!お前から順番に俺にかかってこい!!」
「ん?俺っすか?」
「そうだ!武器は持っているだろう!」
「まぁもってますけど……ほんとにやるんすか?」
いきなり始まった実力試験一人目に指名されたのは金髪を逆だててちょっと頭の悪そうな奴だ。曲刀使いだ。あんまり武器屋で曲刀見たことがないけど……
「こい!早くせんとこっちから行くぞ!」
「ちょ!くっそ!おっらぁ!」
急に始まったので用意をしてなかったから指名された奴から慌てて皆遠ざかった。
ベゼック教官から攻め始め、曲刀金髪は抜刀して迎え撃つがフェイクをかけられてあえなく脚を掛けられ倒された。
「ちっ!くそ!強化をすれば俺だって…」
「こんなもんか…お前はキッチリ鍛えてやるとして、オラ!次だ次!お前こい!」
「えっ!わ、ワタシですか」
次に選ばれたのはメルネーちゃんだった。またもや急に指名されたのでフワフワの耳がピクリと動く。
どういう戦い方をするのか気になるな。メルネーちゃんは普通の鉄の直剣で身軽な装備をつけている。今度は皆、指名されたらすぐにその場を退くようになった。
「オラ!行くぞ!」
「は、はい!」
またもやベゼック教官から攻めメルネーちゃんは一歩退いて腰を落として剣を前に構えた。恐らく受け流すための型だろう。
「オラ!」
「フッ!」
おぉ上手い!綺麗に受け流している。けど!ベゼック教官の横回し蹴りを受けてしまった。メルネーちゃんは軽く吹っ飛び、その間にベゼック教官は体勢を整えてしまった。
「ふん、なかなか筋がいい。次だ次!次はお前だ!」
「あ!ハイ!」
次に選ばれたのはソフィだった。魔法でソフィはどうするんだろうか…頑張ってくれソフィ!




