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異世界の人生はミルクから…。  作者: 翠ケ丘 なり平
第三章 冒険者…?
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28 買い物

 

 あの不気味な男とあってから、オレは必死に防具を鑑定しながら最も良い防具を探していた。

 気休めにしかならないだろうが、少しでも防御を上げた方が良いだろう。


「ガルゥ?そんなフルアーマー着けてどうするんだ?」

「いえ師匠、これにしようかと…」

「舐めてるのか?バカ野郎、お前はまだ完全な冒険者じゃねぇだろうが。しかも体に全然合ってねぇじゃねぇか」


 ぐっ!やっぱりダメか。師匠に反対されたらどうしようもない。しかもこのフルアーマー高いんだよなぁ。58万ゲニアする。今のオレじゃ買えない。そもそも着れても動きずら過ぎる。って自分でも分かってんのに……

 はぁ、焦っちゃってるな、オレ。落ち着こう…スゥーハァーよし。


「すみません師匠。オレに見合った防具を教えてもらえませんか?」

「そうだな。皮装備でいいだろう」

「出来るだけ安いのを選んでくれよガルゥ。出すのはオレなんだから」

「すみません父さん。装備まで買ってもらって……」

「いや、いいよ。冒険者は装備のレベルでランクを判断されちゃうからね。できる限り良いのを着けさせてあげたいんだけど、まだ駆け出しも駆け出しだからね」


 んー皮装備か。どうしようかな。ま、あまりにも良いもの使ってると変に目をつけられるか……なら、えっとこれはダメ。これもダメ。これもこれも。おっ!?これは!


 〈ホーンバイソンの皮の胸当て

 防御力+8 素早さ+3〉


 普通の胸当ては防御力が上がるだけだったけどこれは素早さまで上がる装備だ。なんで胸当てなのに素早さが上がるんだ?


 《素材の元のホーンバイソンが群れを率いていたボスのためです》


 アン。そうなのか、ボスだったから?そんな理由で上がるのか!もしかしたら、このボスの装備が全種この店にあるんじゃないかな。胸当てはこれでいい。あとは脚と頭かな。靴はサイズがない。

 おっ。あったあった。これだ。


 〈ホーンバイソンの皮の脚防具

 防御力+4 素早さ+6〉


 あとは、頭か。んー。ないな。いや、本当に無いぞ!と言うか種類が少ない!


「ガルゥ、別にまだ頭装備は要らないと思うぞ」

「えっ?師匠どうしてですか?」

「お前が避けられない攻撃がこの世界のレベルだとほとんど無いと思うからだ。もし、将来帝国や王国で武術大会に出るならお前より強い奴もいるかもしれないがな。今は特に要らないだろ」

「そうですか?」

「まぁお前が冒険者になって稼げるようになったら買えば良いさ」

「あーそうですね、そうします」


 そうか、別に今じゃなくても良いか。自分で稼いで買えば。


「じゃあ父さん。この胸当てと脚防具を買ってくれますか?」

「おし。分かった。そうだ、剣のベルトも選んでくれ」

「あっはい」


 剣帯ってここで売っているのか。てっきり武器屋で売ってるもんだと思ってた。あったあった、え~と鑑定した限り特に付与効果があるわけではないか。

 腰に帯剣してる方が抜剣しやすいかな。うん、腰にしよう。

 あれ?このベルト、鞘を差すところと他になんか丸い輪っかが付いてる?まぁいいか。


「えっと、これで」

「腰のベルトで良いんだね。おっ、杖挿しまで付いてる良いベルトじゃないか。ガルゥにぴったりだな」


 あっ、その輪っか杖挿しなんだ。へぇー便利。


「三点で1万2800ゲニアです。」


 1万ゲニア越えてるのか。こんなに面積少ないのに…ほとんど体守れてないよな?心臓と(すね)くらいじゃん。

 ダグランさんもソフィ用の皮装備を買っていた。ほとんどオレの装備と見た目は変わらない、胸のところが少し広いくらいか?

 まぁソフィの防具はあんまり役に立つ時は来ないだろう。オレが近くにいれば特殊スキルの【守護】が働くだろうし。かといって何もつけないのは怖いし……


「ガルゥ、つけ方はわかるかい?ソフィも」

「はい分かります」

「んぅえっーと、こ、こうでこう?」


 オレは結構素早く装備出来たけどソフィは変に手間取っていた。

 手伝ってあげよう。


「ソフィ、手伝ってあげる」

「あっ!が、ガルゥだめ!私一人でするから!」


 お、おう。拒否られた?いや、きっとオレに頼りすぎたらダメだと思ったんだろう。オジサン、ソフィが成長してて嬉しいよ……

 まぁ冗談はさておき、着てみるとかなり様になってるんじゃないだろうか?なんとなく冒険者っぽくなってきた。


「まいど!またの御来店を~!」


防具屋のまるっとしたおっさんが揉み手をしつつ見送りに店をでてくる。


「じゃあ観光しましょ~!」

「オー!」


 サリシャさんとクローネ母さんがウキウキだ。ソフィも手を掲げて…うわっ、セドルと師匠は目が死んでる…これが男女の差か。

荷物持ちか……早く終わることを祈ろう。



「ねぇねぇこれいいんじゃない?」

「ダメよ~!こっちの方がいいわ~!」

「これ!これの方がいい!」


 ヤバイ、もう日が沈みそうだ。空が朱色に染め上げられている……

 オレとセドルと師匠はさっきからぐったりしている。特にオレはずっとマネキン状態だ…師匠とセドルは荷物持ちである。

 こんなにも服選びに時間がかかるとは…


『早く決めてくれ…どれでもいいから…』これがオレたち男の心境である。


 もう二度と女たちの買い物にはついていかないと心に誓ったオレであった。

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