23 冒険者ギルドクレハーロ支部
冒険者ギルドの建物は入り口がスウィングドアで三階建ての大きな建物だ。人の出入りがそんなにないが、依頼が張り出される朝や、狩りを終えて帰ってくる冒険者が夕方に多く出入りするんだとか。
ギィという音を出して扉が開く
扉を開いて中に入ると中は酒場のようになっていて、奥の右手に受付があり、その左に階段がある。
「一階には酒場と受付、二階はギルド職員の部屋とギルド長の部屋がある。三階はオレは知らない、ギルド長の趣味部屋らしいがな」
三階は何かわからないけどヤバそうだな。近寄らないようにしよっと。
酒場には今の時間でも飲んでる冒険者も少なからずいるみたいだ。全員体がゴツい、厳つい、普通に怖い。
「おぉう!セドルじゃねぇか!」
飲んでる冒険者の一人が話しかけてきた。完全にスキンヘッドで頭に何本かの切り傷がある。背中に大剣を担いでいてジョッキを持っている腕は太い。身長はダグラン師匠に少し劣る位だ。
「ビグダ!久しぶりだな!解散して以来か?」
「誰ですか?父さん」
セドルが少し楽しげな声を出してビグダっていう人と激しく胸の高さで手を組み交わす。
「おお!?セドル、てめぇのガキか!?」
「ああ。こいつはビグダ。オレとクローネの結婚前のパーティーの前衛だった奴だ」
へぇーそういう人に会うのは初めてだ、セドルのパーティーということは結構高位の冒険者ってことか?そりゃすげぇ。
「なるほど、それはそれは…ビグダさんボクはガルゥシュ・テレイゲルと申します」
「うわっ。久しぶりに俺に敬語なんてもんを使う奴にあったぜ!お前冒険者になるのか?」
「はい」
「今日はこのガルゥとこっちのソフィティアを冒険者登録しにきたのさ」
「オウオウ、こっちのかわいい娘っ子もか?」
「ぶっちゃけこいつらは少なく見積もってもCランク以上の実力があるぜ、ビグダ!」
セドルがまるで己のことのように自慢する。
「ほおー、そりゃ楽しみだな!じゃあ早く登録してこいや」
「おお、そうだな。じゃあなビグダ」
「あぁ!……ングング…プハァ」
挨拶を終えたらすぐに酒を飲むのに戻った…如何にも冒険者っぽい。
ビグダさんに一礼してからその場を辞退する。ビグダさんは片手をあげて応えてくれた。受付には4人が対応していて、一番左のひとつは素材買取りと書いてある。ここは目利きの良さそうな恰幅のいいオバサンがいらっしゃる。
その右には美人でスタイルのいいお姉さんがいて、ここに何人かが並んでいる。全員男だけど……
そのさらに右には普通のちょっとくたびれて項垂れてるおじさんがいる、が、まったく列は出来ていない。なんか可哀想だ…
右の端っこには真っ昼間から酒を飲んでるちっこいオッサンが……いやいや…ギルド職員が受付で真っ昼間から酒飲んでていいのか!?絶対ダメだろ!もしかしてその左のおじさんは注意しても聞いてくれないから項垂れてるのか?めっちゃ可哀想…
「どうしたガルゥ、そんな驚いた顔して。あぁ、あの右端のオッサンか?ドワーフを見るのは初めてか?アイツはドワーフだからな。あんな酒じゃあ酔わねえよ」
うお!ドワーフ!!ドワーフなのか!如何にも異世界ファンタジーだ。ドワーフって本当にずんぐりむっくりなんだな。
「さぁ、ガルゥどこの受付にいくかい?」
「えっ?オレが選ぶんですか?」
「そうだ。ここから冒険者として生きるんだろ?」
「……分かりました」
「ソフィはどうする?」
「私はガルゥのパーティーに入るからリーダーのガルゥに任せる…」
「そうか…それもありだ。じゃあ行ってこい」
オレの答えは決まってる、あの人のところにいくぞ。




