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異世界の人生はミルクから…。  作者: 翠ケ丘 なり平
第二章 幼児期から少年に
22/115

20 カラアゲ

★17/2/16 加筆修正しました


 8歳の時のある日のこと。

 ちょっと思い付いたオレはFランクのホワイトラビットを使って、あるものを作ることにした。

ホワイトラビットは大きな枕位の大きさがある。体長70cm位といったところかな。だからかなり多くの肉が取れた。

 これはしっかりオレが捌いた!まぁうん。捌くのは気持ち悪かったけど…血がね…

 でも、ど~しても食べたくなったんだ。いつも大体野菜スープに黒パン、あとなにか一品。味噌っぽい味があるけど、醤油がないし、何より米がない!

 正直飽きてきている。米が食べたい!


 こんなんだと日本の食べ物が食べたいとなるのも仕方がないと思うんだ。よく8年間も我慢してると思えないか?


 これから作る予定なのは前世で作ったことがないものだけど、何でか分からないけど今のオレなら出来る気がする。【調理】スキルのお陰かもしれない。



 はい!それでは!

“カラアゲ”を作ります!フ~!フ~!ドンドンパチパチ!


 よし、やっていこう。

 まず、ホワイトラビットの肉を一口大に切って、塩とショウゲのすり下ろしとニンニケ(にんにく)を潰して浸けておく。味を揉み込ませてっと。冷蔵庫がないから魔法で氷を作って冷やす。


 味が染み込むまで待機。


 日本では確か今はじゃがいもから片栗粉を作っているらしいけど、江戸時代はカタクリと言う花の根茎から作られていたという。この世界ではそれと同じようにカテクリと言う花からカテクリコが作られている。

 カテクリコはこっちの世界では味の薄いお菓子の原材料というイメージがついている。揚げ物という概念があまり確立されていないからだ。

 この世界ではオレが第一人者だな。ただの前世からのパクリだけど…


 油は菜種油に近いと思う。結構安価に売られていた。


 今回は醤油がないから味付けにバジル系の葉っぱを入れて味をつけてみた。


 えーっと、油の温度はこんなもんかな。よし、じゃあ揚げていこう。


 油の中に入ったホワイトラビットの肉がいい音を出して揚げられていく。


 おお~いいにおい。アチッアチッ!油が跳ねた!アッツゥ!


 色が付いてきたら一旦油から上げる。で、もう一度油にいれて、こんがり揚がるまで待って取り出す。


 五分ほど余熱で寝かして~。味見しなきゃね。

 フーフー、いただきまぁーす。あ~ん。ホフホフ、ホッホッうん!旨い!バジルの味がいい!これだよこれ!こっちだと肉料理って焼く位しかないもんよ~。


 さぁ!この調子でどんどん揚げていこう!


 ………


 ふぅ。これで、用意したホワイトラビットの肉全部かな。


「な、なぁガルゥ、ガルゥは何を作っていたんだ?」

「あれ?父さん、居たんですか?」


 揚げるのに夢中で気が付かなかった。


「あ、あぁ。帰ってきたら台所から香ばしい匂いがしたから…」

「食べますか?」

「いいのか!?じゃあ遠慮なくっ!」

「あっ!手掴みですか。」


待ちきれなかったのかすぐに手を伸ばしてカラアゲを取る。


「アチチっいいじゃないか。早く食べたいのさ。いただきまぁーす!」

 

口から湯気を出しながらホフホフとカラアゲをほうばるセドル。


「んまぁーい!これ何て料理だ?ガルゥ?」

「ホワイトラビットのカラアゲです」

「ほぉー!これホワイトラビットかぁー!焼く位しか食べ方ないもんだと思ってた。これどうやって作ってるんだ?」

「油で揚げるんですよ」

「油で?そんな料理方法があったのかぁ~」


そんなことを言いながら次々に揚げられたカラアゲをとっては口に入れていく。


「あっ!父さん!そんなパクパクつまみ食いしないでください!母さんやソフィにも食べてもらうんですから!」

「フゴッフガッゴッ…」

「食べながら喋らないでください!」

「ゴクン…いやぁー旨くて止まらないんだ」

「少し我慢してください!」

 ……


「美味しっ!さっぱりしてるけど奥から肉汁が出て美味しいわぁガルゥ!」

「ありがとうございます。母さん」

「これおいしーねぇ!」

「喜んでもらえてよかったよ。ソフィ」

「う、うう」


チヨクス家も熊鍋の時と同様に誘ってみた。しっかり感想を言ってくれたのは母さんとソフィだ。ソフィの横を見たら何故かサリシャさんが泣いている…


「ちょっ!な、なんで泣いてるんですか!サリシャさん!」

「だって!こんなに美味しいの私作れないもの!」

「分かりました!分かりました!あとでお教えしますから!」

「ありがとぉ~!ガルゥ!うぅグスッ」


 はぁ。喜んでもらえて嬉しいけど泣かれるなんて…想像だにしてなかった…。まぁいいや、それだけ美味しかったらしいし。さぁオレも食べよう。

そう思って…は?ない!オレのカラアゲが!


「んぐ!」

「ホフホフ!」


男二人が勝手にオレの皿のカラアゲを取って食ってやがった!


「ちょっ!父さん!ダグラン師匠!何オレの分食べてるんですか!」


「モグモグ…ゴクン。いやぁ止まらなくて…」

「ブハァ旨い!酒が飲みたくなる味だな!」


そんなことをほざきやがる。オレの目の前の皿にはカラアゲの破片しか残ってなかった。


「くっそぉ!オレのカラアゲ~!」

「が、ガルゥ、わ、私の食べる?」


 こんなことでソフィに慰められるなんて…


「い、いや。いいよ。それはソフィの分だからね。もう一度揚げるよ。少し肉が残ってるから…」

「あ、ガルゥ!父さんの分も揚げてくれ!」

「お!俺の分も頼む!」


 うるせぇー!まだ食うのかよ!ハァ。

 まぁ。ホワイトラビットのバジルカラアゲ成功して良かった。

 あ~腹減ったぁ~。


カラアゲたべたい。

皆さんカラアゲ好きですか?

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