勘さね
どうも作者さんです。
雨で厳しい苦しい時だとは思いますが余裕のある方は読んでください。
投稿遅くて本当にごめんなさい。
雨がザァーザァー降るなか、隠れるように移動する神殿馬車を見かけ尾行してみたら貧民街近くの貧相なボロ家の前で止まった。
このボルキーちゃんの勘は言っている、めっちゃ怪しいって。
ということで、さっくり見つかった隠し通路を覗き込む。
隠し通路なんて古典的なものを使うファワセ女神教信者はだーれーってね。
それにしても、何のための隠し通路?
神殿馬車なんて高価なもの使って、そんな奴が貧民街近くのこんなところに来る用事なんかあるのさね?
怪しさがプンプン香ってくる~。
陰謀、陰謀、ランラララー。
さ、じゃ行きますかね。
こんなとこでダラダラしてても仕方ないし。
と思ったけど雨でビチョビチョなのはやだなー。
体温は下がるし、水滴が滴るのも好きじゃないからにー。
ま、水も滴るいい女なんだけ…ど!
……冗談はさておき。
あれ使お。
パンパカパンパンパーン!
『暑く乾いた物』ーー!
説明しよー! これはなんかすごく暑い風がジワジワと沸き起こる物だ! 冬に最適だぞ! ただし火はつかないぞ!
ちなみにお祖父ちゃんが作ったから確実に転生用品だ!
これを使うのは服を乾かす為なのと、体温を上げるためなのもあるね。
ビチャビチャなのは…まぁ、タオルで。
いやぁー、こういう大きな物も入るボックス(これ自体も魔道具)は値段が高いけど役に立つさね。
ウエストポーチ型だから持ち運びか楽だし、あちしのお気に!
「ということで──ふへぇ…あったけぇ~へゃー」
むひゃー、暖かいけど…背中に服が引っ付くのきもちわり。
……脱ぐか!
バサァっと上着を脱ぎ、これまたブワッっとさらしをほどく。
ほどかれたさらしから胸がブルンっと…………出ないんだけどぉ!
スッカスカだからさね…ウン。
さらし巻き直せばいいかー。
ボックスにさらしは山ほどあるからダイジョーブ。
あんま、きついのは嫌だし緩めに巻き~巻き巻き。
今度からは服も入れとかないとダメだにー、今は仕方ないから…ノーパンで。
ショートパンツだし気にもならんさね。
スースーするけども問題なっし。
よぉーし行くさね。
ほとんど裸だけど寒いかにー?
行ってみんと分かんないさね。
レッツラゴー!
棚の横、暗い穴にヒョイっと入り込む。
フムフム、中は細長い洞窟みたいな感じね。
地下ダンジョンと見た目は似てるさね。
暗視が効くから光源は要らないか。
どうせ尾行してるんだし、このまま行くかぁ。
人が普通にすれ違うことのできる幅。
あちしの背じゃ気にならないくらいの天井の高さ、跳び跳ねたりは難しいか。
小走りで駆けた感じだと罠の気配は…無いさね。
罠あったほうが愉しいんだけどなぁー。
それに……別に道が入り組んでる訳でもないし、人が入りこむことを想定してない雑な造りさね。
こりゃあちしの尾行には気づかれてない。
んみ? 松明の明かりさね?
ありゃ、思ったより短かった。
ほとんど一直線でなんとも面白味の無い…。
ここだけ照らしてるっちゅう事は終着点ってことでよろし?
扉は岩壁に埋め込まれるように立って、青銅色を松明の火で鈍く光らせている。
堅そうやにー、蝶番も錆びてるし、開けずらそうさね。
ドアノブに手をかける、ギギッと音がして微かに扉が開いた。
「なっ、なにものだ!」
おやぁ? フフッ面白い。
「おやおやおやぁ? まさかまさか、コソコソとしてる女神教さんがいるとおもったら…辺境伯ンとこの筆頭執務官ではないですかぁ?」
「キッサマ!! そのうざったらしい口調はギルマスかっ! なぜここに!」
デブったおっさんが唾吐き散らしながらなんか喚いてるさね。
あーあー、脂ぎった顔を真っ赤にして何を憤ってんだか。
所詮はズルがしこいだけの狸なのにさ、可愛い顔した辺境伯様の汁すすって生きやがって。
ギルドから金を巻き上げようとするから前々から嫌いだったけど…こりゃいーいね。
「それはこちらが聞きたいですねぇ? こぉんな雨が降る日になんでまたこんな地下に? 筆頭執務官のフォゼット・ラステン卿?」
「うぐ……い、いや何、ワシは地下が好きでなぁ、雨の音も響いてこんから尚更良いだろう? かつ、女神教においては大地というのは信望すべし場所でな、それに囲まれた地下室というのは非常に力のわき出る場所というわけだ」
口につまったくせに、よくも、こうベラベラと喋れるさね。
こうやって喋れるから筆頭執務官なんて職につけれるってもんか。
言ってみれば、このクレハーロの街で一番の権力を握ってる奴だ。
辺境伯もいるけどお飾りみたいなものだしねぇ、あまり治世にも興味ないみたいだし。
「まぁ、ならいいさね。ところでそこの御仁は? 睨まれても何もでないさね?」
「ふん、不埒な格好をした奴に答える名は無いな。俺の仕事でもない」
みひぃ─ウフフ、仕事に忠実だねぇ。
こりゃ相当フォゼットに金を積まれてるね?
どうせ流れの暗殺ギルドか元冒険者、または犯罪者ってところかにー。
実力は──んと、そこらの騎士よりかはやるって感じさね。
仕立ての良い黒い服を羽織っているけど、その下は軽装の素早さ主体かね? ポケットが沢山付いた茶褐色のベスト、迷彩柄のズボンか。
「そ、そうだぞ。こんなバカな女に何も言うべきことはない」
「まぁ、バカでもいいさね。たーだあちしの勘が囁いてンのよ。──何待ってんの?」
「い、や。何も待ってはいないぞ。先ほども言ったろうが。ただ雨を嫌ってだな…」
明らかに奥の扉を気にしてるンだから誤魔化さなくてもいいのに。
何か連れてくるってとこかな?
もう、フォゼットは引っ込んどきなよ。
これから戦闘になるんだから。
巻き込んで死なれると尋問が出来なくなるからさ。
「まぁ、いいさね。やろうよ、アンタ」
「……あぁいいだろう」
冷たい目をした男は腰に剣、胸に短剣を幾つか、脚に仕込みでナイフかな。
魔力は…それなりかな。
フォゼットをチラリと見たけどあちしが興味無さそうなのを見て戦いに応じてくれた。
腰の剣をゆっくりと抜く。
う~ん実に切れ味の良さそうな剣さね。
切断力の強い剣はあちしの愛細剣ラッツェルには相性が良くないからに~。
でも、悪いけどもー。
──遊ばせてもらいます。
ニマァっと口が裂ける幻覚でも見たかい?
仕事人さん?
そんな引き攣った顔してんじゃないよ?
ここからもっともっと楽しむんだからぁ!!
「……っぁ! ッチ、抜刀術か。レイピアのしなやかさを使っていると言うわけか」
「せいかぁい。これぐらいは余裕だよに~?」
「喋りながら軽々しく打突連か。─面白い」
おほほー。ワクワクするねぇ。
意識の合間を縫う抜刀術を弾く位の技能はあるわけねー。
これでも避けづらいように縮地と瞬撃を使ってあげてるのにー。
ついでで体が動いちゃったから連撃も繰り出しちった、テヘ?
ギリギリでも避けたり弾いたり出来てるから思ったよりやれるさね、この男。
上方修正してあげよう。
「おもしろいよねー、ガァンギャンってなる金属音もキモチガイイぃー。やっぱりアンタも戦いすきっしょ?」
「言ってろ、仕事の内だ。しかし、俺も成長したいのでな」
「ふひ、いいねーいいよ!」
片腕でラッツェルの刺突を叩きながら、胸の短剣を手首のスナップだけできっちり急所目掛けて飛ばしてくる。
それ事態はペッて避けられるから関係無いけど、攻防が両立出来てるのがいいね。
フォゼットが逃げようとしてたからそっちに一本短剣を弾いて飛ばしとこーっと。
「ひっ!」
「あっーゴメーン間違えてそっちに弾いちゃったぁー」
「ぐっ、こ、腰が、腰が抜けた。お、おい! モルゼル!! は、早くボルキー・ヒキュウを殺せ!」
ほほぉ。
お名前はモルゼルね。
ナイフは壁に当たって落ちたんだろうけどいい感じに弾けたみたいだに~。
逃げられることはなくなったし良いかな。
さてさてー、モルゼルきゅんは雇い主からの依頼が出たから本気で来るかな?
「…そういうことだ。殺させてもらう」
「おほっそりゃ楽しみだネッー」
戦闘はまだまだ楽しめる、愛しいラッツェルもよくしなってくれる。
加速すればするほど笑みが深くなっていく──。
はい。作者さんです。
七夕の願いとしては遅筆を直したいです。
彦星と織姫はいつになったら雨に邪魔されず会えるのでしょうか。たった一日なのですから会えるといいですよね。




