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異世界の人生はミルクから…。  作者: 翠ケ丘 なり平
第六章 月の涙
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96 隠し通路

どうも作者さんです。

風邪をひいていました。鼻水の野郎は許さねぇからなぁ? 5000兆回後悔させてやりますよ。

 

 セーベの居場所が教会だと判断し、向かってもだれもいなかった。

 しかし、外から見る限り教会は大きい。

 まだ調べていない部屋も数多い。

 もしかしたらどこか声の聞こえない場所にいるのかもしれない。

 オレたちは手分けしてセーベを探しているという現状。


 右手の部屋は思ったより広く、簡素なベッドと収納力の高そうな棚、年季の入った机が暗い室内にぼんやりと見えた。

 明かりを焚いていないからほとんど真っ暗だ。

 さっきの講堂は等間隔に灯りがあったが、ここは違うようだ。


 この部屋は神父か誰かの寝床だろう。

 特におかしな物はない。

 しいていえば机の上に聖書っぽい分厚めの本があるくらいか。


 やっぱり暗い…文字なんかは全く見えないだろう…

 光魔法で光源を作ることにして、と。

 使うのは[光球(フォトン)]でいいだろう。

 魔力は地味に使うけど、オレからしたらそこまで気にする量でもない。


 自然に出る光を凝縮したような球体をイメージする。

 意外と使うことのない魔法のため、詠唱は覚えてない。

 フンバ校長に教えてもらったはずだけど…

 まぁ、無詠唱出来るから問題ない。


 指先より少し大きいぐらいの光球が五つ手のひらから湧き出る。

 あ、思ったより明るいわ。


「おい! 急に明るくすんなっ! 目が痛ぇ」


「ああっと、スマン」


 クラベへの配慮を忘れてた、獣族だから暗視が効くんだった。

 咄嗟に体で光が行かないように遮る。

 背中側の暗闇にクラベの目だけがランランと光っている。

 ちょっと…怖い。


 紙があれば簡易のライトを作れるけど、流石に…聖書を破るのはヤバイだろ。

 オレはどの宗派でもないけどさぁ、そんな大それたことはしねぇよ。

 うぅ、さぶっ。

 肌がめちゃくちゃ冷えてきた。


 松明とかにしたほうが良かったかもしれない。

 光魔法は熱を感じるのが短時間で範囲が狭い。

 火魔法なら長く広い熱を感じられる、ただ木造は発火してしまうかもしれないので注意がいる。


 我慢出来なくなってきた……ちょっと小さな火を起こそう。


「肌が濡れて寒いから火を起こすけどいいか?」


「えっ、いいけど…もう少し広いところでしたほうがよくない?」


「なんで?」


「火を焚くと息苦しくなることないかしら? 過去にちょっと狭いところで火を使ったことがあって…」


 あぁ、二酸化炭素中毒か、酸素欠乏かな?

 化学的なことは知らないが、使うのは火魔法だし……物理法則?が適用されるのか、どうなのか。

 クレールの軽いトラウマみたいになっているんだろうな。

 そうなんだったら従うのもやぶさかじゃない。


「分かった、ここでは止めておこう。怪しいものもないようだし次の部屋に行くか」


「パッと見たら分かっだろ。さっさとセーベを見つけんだよ!」


「確かにそうだ…、ガルゥシュ急ごうぜ」


 限界か。

 クラメもだんだんクラベのイライラを止めることが出来なくなってきているみたいだ。

 教会に着いた時点で相当な時間が経ってるし、更にちょっとした時間が重なって無視できない時間が経ってる。

 不安を押しとどめて努めて冷静にしていたのが仇になったか。


「すまなかった、急ごう」


 火は動きながらでも問題ないか。

 とにかく今は見つけることが最優先だな。

 と言ってもやれることは少ない。

 教会に入る前から感知を最大限広げ意識しているがそれらしい反応がない。


 そのため一つ一つ手探りで探していくしかない。

 きっとどこかにセーベはいる。

 とにかく怪しいものは手当たりしだいだ。


 ギシギシと軋む木の床を走りつつ、変な事や物がないか照らしてく。

 火が辺りを柔らかく照らし、光が向いた方向を強く照らす。

 隣の部屋には特に何かがあるようではなく、数多くの物が置いてあるだけだった。

 恐らく物置だ。

 早々に見切りをつけ、次の部屋に入る。


 と、そこで何かが聞こえたような気がする。


 バッと振り向くとクラベもこちらを見ていた。

 合った目はお互いが言いたいことを想起させる。

 明らかに怪しい……ということだ。


「ここだな、何かが壊れるような音だ。少し遠い、反響してたからこそ聞こえる音だ、急ぐぞ」


 音が聞こえてきたのは先ほどの部屋から二つ目の奥部屋、その暖炉の影に地下への入り口が隠されていた。

 そこだけ埃が薄い。

 まちがいなくセーベはこの奥にいる。


 皆と目配せして、一気に突入した。


 ☆



「んにーー、雨邪魔。馬車にもいなかったし─拐われたとか? あり得なくはないさね」


 変な叫び方をする女が雨降る通りを駆け抜けていた。

 美しい柄の剣を帯びた女だ。しかし服や髪に頓着しないタイプだ、雨で濡れたそれらを無視している。

 彼女は一人の少女を探していた。

 少女を想う一人の少年の依頼で。


「少年もめんどくさいことを頼んでくるよのー。しゃあなしさね、このボルキー・ヒキュウ様がやってやんよーってね」


 受けた理由は興味が出たからだし、一応少女は姪っ子なんだから場にいる以上やらなきゃいけないかと感じたわけで。

 貸しでも作れるなら作っておこうかと思ってる。


 その少年は実に面白そうだと一目見たときから勘が囁いた。

 勘と言ってもスキルだ。お祖父様の教えは未だ身にスキルとして残ってる。

 転生者のお祖父様は頭が良かった。

 目立たないように成果をだし、発展し過ぎないように知恵を使った。

 すべては目立ちたくないという個人的な思想だったようだけど。


 にしても、お祖父様に教えられた転生者の見極めはよく使える。

 どこかキョロキョロしたり、強者を目で追ってしまうものだと。

 更に言えば清潔であったり、体つきが良かったりする、と。


 このすべてにテレイゲルの息子は当てはまっちゃった。

 カマをかければ、笑えるくらい分かりやすい反応を返してくれた。

 彼はまだ覚醒しきってないけど。

 出会った瞬間に【鑑定】してくるんだもんなぁ、可愛くて笑うさね。


 何だかんだ、楽しみなんだぁ、ドラゴンドラゴン。

 覚醒させるには勝てない相手に向かっていく気概がなきゃ。

 でも今のところ支えになってたみたいな姪がいなくなったら困るな。

 一緒に討伐すら行ってくれないかも。

 拐われてたら余計にそうなるよにー。


 あー? 神殿馬車?

 なんでこんな雨の日にあんな高価なもの。

 蔦のレリーフだから女神教さね。

 馬車ごときにめちゃくちゃお金かけてるのは馬鹿馬鹿しい。

 王族みたいなことするよにー、教会ってのは。


 でも怪しいといえば怪しいさね。

 女神教が神殿馬車使うのは相当上の地位くらいなものだけど。

 この街にそんな地位の奴いた?


 んー、知らないなぁ。

 ギルドの諜報員も特に情報を流してきてないし…うーむ、怪しい。

 雨が酷くて人が全くと言っていいぐらい居ないから、いい状況過ぎるのよさね。


 つけてってみるか。尾行は初めてだにー。

 ちょっちワクワクさね。


 雨に紛れて移動する馬車を視界から外さないように遠くから付けていく。


 …………


 は? なにここ?

 ボッロくない? つーか貧民街ギリギリにある建物ね。

 目立ちそうで目立たないって感じを追求してるのかさね?


 誰か馬車から降りてる……んにーこっちからじゃ顔が見えない!

 一部屋しか無さそうな大きさだし、窓もない。

 何の為の家だろう。


 ……出てこない。

 あり得ないくらい物音もしていないし、どこか変。

 勘が囁いてる、違和感が拭えないって。


 行ってみるか。

 見つかっても知らぬ存ぜぬで通せばいいさね。

 ではでは、まずは音を……ふむーん? ホントに物音ひとつしないや。

 チラッと。


 おっっとぉ?

 あらららぁ……誰も居ないや。

 狭い部屋にひとっこひとりいない、さらに家具すらもない。

 あるのは棚だけ。

 明らかに怪しさしかなーい。


 あっ、棚が引きずられてる。

 つーかこれじゃん?

 なんて杜撰な隠し通路。まさか普…通に穴が開いてるとは。

 間抜けか罠さね。


 ま、あちしには関係ないさね。

 んじゃ、ちゃちゃっと行きまっしょい。 

はい。作者さんです。

はっきり言いますと、セーベが誘拐されるなんてプロットに無いんですよ。流れで書いてしまったので許してください。

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