1 プロローグ
はいどうもー作者さんです。
こんぬつわ。これからどうぞよろしくお願い申し上げ…ますっ!
パソコンの青白い光だけで照らされる、荒らされたかのように物が乱雑に置かれた部屋に怒声が響く。
「おい! テメェ聞いてんのか!?」
「あぁ、もうマジでクズすぎ!」
あーうるせぇうるせぇ、俺の部屋にズカズカと…うぜぇ弟と妹だ。
「父さんと母さんに下らねぇ苦労かけさせやがって! テメェ自身の力で生きろよ! なぁ!」
「働きなさいよ! このクソニート!」
俺が働いてねぇからってギャーギャー騒ぎやがって。何だ? 働いてりゃ偉いのか? あぁ?
「けっ! 勝手にお前らの価値観に当てはめてんじゃねぇよ! 出ていけや!」
俺は自分の近くにあった分厚い少年雑誌を弟に向かって投げ付ける。
だがその少年雑誌は弟の鍛えられた反射神経によって軽々と避けられ空を切る。
「そうやってすぐに癇癪起こしやがって、だから社会不適合者なんだよ! テメェは!」
「そうよ! ずっとパソコンばっかりいじって!」
うっせぇつってんだろ!
「いいか、さっき言ったよな。お前らの価値観に当てはめんなって! あと、俺の部屋の物に触れんなよ! 分かったら出ていけ、ボケ共!」
「あ? なめてんのか、オイ!」
「くっだらない! こんなもの何の価値があるっての?」
俺のボケという発言に食い掛かる弟に俺の部屋の物をジロジロと見て唾を吐きそうな態度の妹。
ふざけんなって話だ。お前らは俺じゃない。
「無能がッ……!」
弟の呟きが耳に障る。
わかってんだよ…俺だって……チッ、俺だってもっと才能があれば……
あーぁ、生まれ変われねぇかなぁ。
──────
ん? 奇妙な音が…こう鈴が綺麗に鳴るような…
《───その望み叶えて差し上げましょう》
な!? なんだ!? この声は? どこから聴こえた?
「なに急にキョロキョロしてんだよ!」
「お、おい。なんか聞こえなかったか?」
「はぁ? なにいってんだテメェ?」
聞き間違えか? 確かに何か優しげな声が脳に直接届いた気がするが…?
《──貴方に祝福を…》
『ギフト【生まれ変わる力(使用可能回数:2)】を取得しました』
『ギフト【言語理解】を取得しました』
『固有スキル【生きるための才能】を取得しました』
イヤッ、聞き間違えじゃねぇ! 頭の奥に響きやがる!
なんだこのゲームみたいなのは!? でも電子音とは思えない、玲瓏なる声。
《こち─の世界の干渉権─切れ───。─し訳あ──せ─》
『【生まれ変わる力】が自動使用されます』
「───っ!」
「おい!テ───!」
「クソニー───!」
弟と妹がなにか言ってるが聞こえねえ。なにかが抜けていく感覚……
い、意識が──
《良い人生を─》
これがこの世界での最後に聞いた言葉だった。