大樹迷宮 1F
初戦闘シーンです。
頑張りました。
洞窟の中は薄暗く壁の所々に見える雷光石でのみ明かりを保っている。
自らの足音が響き渡りモンスターを呼び寄せてしまいそうだ。
また前方からはこの階層に出てくる魔物であるゴブリンの鳴き声が聞こえる。
喉にたんが絡んだまま叫んだような声はウルの緊張感を保つには十分過ぎるほどだった。
(独りできちゃったけどほんと大丈夫かな。)
そのまま僅か5分ほど進んだ所で、 前方に1体薄汚れ木でできている棍棒を担いだくすんだ緑色をした肌のモンスター、 いわずもがなゴブリンを視認できた。
そっと足音をけす。
なるべく息をしないで近づく。
ゴブリンはウルとは真逆の方向を向いている。
距離が縮まってきた…。
3m…2m…
ギャっ短く鳴くと素早い反応で後ろを向くゴブリン。
「おそい!」
既にショートソードの範囲内だ。
そう自分自身に言い聞かせたウルは焦らず頭上から真っすぐ降ふりぬく。
ゴブリンもそう簡単にやられるわけにはいかない。
既でのところで致命傷を避けたゴブリンはバックステップをする。
その隙を逃すはずもなく0.3秒遅れた後追いかけ今度は腰から突きを放つ。
短い断末魔をあげるとそのまま小さな紫色の石を落とすと一瞬で塵になり消えた。
「ふぅ。」
深く息を吐くウル。
これが初戦闘、現実世界では武術といっても小学生の頃に一年間剣道やっていただけの自分にしては上出来だと自画自賛をし魔石を広い麻袋に入れる。
そのまま次の獲物探してまた歩きだした。
それから体感でおよそ2時間ぐらいだろうか、広く入り組んだ洞窟のようなダンジョンをさまよい続けゴブリンを倒した数もおよそ30体。
「ふぅこれだけ倒せばレベルも少しはあがりそうだなぁ、お金もたまりそうだし!」
マップの機能を駆使してダンジョンの出口に向かう。
(しっかし広いなほんと、1Fでこれだけってどんだけなんだ。」
ダンジョンを抜けると、そのまま真っすぐ大通りを歩く。
横にはホーンラビットの串焼きやら食欲を誘う屋台がいくつもならんでいて、ウルはもうすっかり空腹だ。
(そうだ、味覚機能が追加されてるんだしなにかかって帰ろうかな。 その前に魔石の換金か。)
雑踏とした人ごみをどうにか抜けレンガ造りの建物、 冒険者ギルドまでたどり着いた。
ドアノブを引っ張り不気味な音をたてながら開く扉を超え換金所まで真っすぐに歩く。
さっき来たときは長蛇の列をつくっていた受付前も今はチラホラと人がいるだけだ。
「すいませーん。魔石の換金にきたんですけどお願いできますか? 」
「はいかしこまりました。少々お待ちください。」
そういって少し耳の尖った茶髪のセミロングが似合う受付のお姉さんは奥へと向かった。
(かわいいなぁ。)
よだれを垂らしながら何もない上空を見上げてはニヤニヤと笑っている姿は滑稽を通り越して気味が悪かった、っと誰かが言っていた。
次回の更新は4/25 の予定です。
少し遅れるかもしれません。