フリーターの元カノはめんどい
二話目の投稿です。短い文章ですが、どうぞお楽しみにください。
ふと、目が覚めた。カーテンの隙間から日差しが差して、眩しい。そういえば、昨日の夢のことだ。俺は慌てて手の甲を確認する。すると、モルモットの……いや、クマの痣が確かに刻まれていた。あと、文字のようなものも刻まれていた。
『#######』
なんだかよくわからん。俺はどうでもいいと、区切りをつけて、パートの仕度をすることにした。一応、ミンミンを確認したが、相変わらず寝そべっている。昨日のは何だったんだ?
「おはよう」
ダイニングにいくと、 母が挨拶をしてきた。当たり前の光景だが、俺が病む前はそんなのは一度もない。気遣っているのだろうか? まあ、いいや。 テーブルについて飯を食う。しかし、妹の分が余っている。いつもにしては珍しい。すると、母が気づいて、
「昨日、一時まで塾があったのよ。あんたの時もだけど、相変わらず、スパルタよね……あんたの時は、泊りがけだったわよね」
懐かしい、あの厳しさは今でも覚えている。出来の悪い生徒は、追い詰められながらやらされる。普通に違法で、警察から注意を食らっている。でも、あそこの塾長は厳しくて、まともな人だった。人のニキビを潰したりなど、性癖は異常だが。でも、俺は耐えられなかった。途中でブチ切れて辞めてやった。それが原因だからだろうか? 社会の重圧に耐えられなかったのは……
それを考えると、秋穂のやつは優秀だ。当たり前のことを普通に容量よくこなす。俺はやりたいことしかできない、我が妹ながら尊敬する。まあ、そんなことより、パートに出ないとな。
チャリを漕いで、いつもの道を通る。しかし、いつものように、気楽に行くことが許されなかった。
面倒なやつに遭遇した。元カノの優香だ。こいつは就職したい大手企業ナンバーワンの朝倉財閥の令嬢だ。見た目は、黒髪の美人だ。地元のミスコン一位に輝いた美少女であり、成長につれて美人になった。俺なんかと付き合った理由が、未だにわからん。まあ、どうでもいいけどな。
「正義! どうして最近無視するのですか? 今からでも遅くないです。うちが出しますから、大学に行きましょう。それともなんですか? 私が嫌なのですか? 」
やかましい。正直、面倒くさい。なんで、俺にかまうんだ? まあ、スルーすればいい。と、俺は彼女を避けてパートに行こうとした。だがしかし、この女はもっと面倒くさいことを言い放った。
「どこに行くのですか……? あなたの職場はありませんよ? うちが買収して、全社員制にしました。あなたの名前は除名したので……行っても無駄ですよ? 」
この女! ……まあ、次を探すか……だが、面倒くさい女だ。さっさと男見つけろよな……
俺は何にも縛られるつもりは無い。まして、心の弱いフリーターだ。彼女にふさわしくないし、なるつもりもない。つーか、腕にしがみつくな! 見苦しい。俺は強引に払おうとした。でも、見られてはいけないものを見られた。
「っ!? この痣はどうしたのですか? 」
と、優香は、俺の手の甲を見始めた。多分、医者だの言われるなぁ……以前は風邪で寝込み、あいつがパニクって日本が誇る名医ベストテンの医者を呼ばれた。ただの風邪だと診断されて、恥ずかしい思いをした。適当に掘ったと誤魔化して逃げることにしよう……しかし、それは叶わない。
***
救急車に詰め込まれて、入院させられました。
次くらいで、物語が進んでいきます。