部長の孝徳
「聞いた? A部長降格だって」
「本当か。なにしたんだよ!」
同僚の持ってきたニュースに、部長は何をしたのか考えつつ、
(やっぱりな。いつかはそうなると思ってたんだよね〜)
と心の中でつぶやいた。
「詳しくは分からんが、損失隠しだと」
最悪だな。
本当に前から気に入らない人だった。余計な金は使うし、自分にもできないことでも他人が失敗すると怒るし、へんにプライド高いし。
「これでちょっとやりやすくなるかな?」
「どうかな? でも、あの人に気を使わなくていいぶん、気は楽になったな」
そう言って二人で笑った。
【孝経三章より】
上に在りて驕らざれば、高くして危ふからず
節を制し度を謹めば、満ちて溢れず
高くして危ふからざるは、長く貴きを守る所以なり
満ちて溢れざるは、長く富を守る所以なり
富貴その身を離れず、然る後に能くその社稷を保ち
而してその民人を和す
蓋し諸侯の孝なり
(人の上に立っておごらない者は、高い地位に就いても危険はない。節度のある者は、財産が満ち足りてあふれて無くなることはない。高い地位に就いても危険がないことは、長く高貴な身分を維持し、財産が満ち足りて散財しなければ、長く裕福でいられる。富貴がその身から離れなければ、国家の中枢を担い民衆を協調させることができる。これが諸侯の孝徳である。)
【ビジネスへの応用】
部長クラスの人間は、
地位が高いことを自慢するような人間であってはならない。
また会社の運営において、常に節度ある財政感覚を持っていなければならない。
地位が高くても驕らなければ、立場にふさわしい尊厳を守ることになる。
節度ある財政感覚は、会社の資産を良く保つ。
そうすると財政の良い会社で、高い地位を守り、会社にも貢献でき、
社員たちを結束させることができる。