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指導法
「今度の係長さんは教えるのうまいね」
同僚と話をしているのは、新しくきた上司のことだった。彼は今までの上司とちがい指導がうまく、新入社員や仕事の解らない者たちから好印象である。
「そうだね。まず自分で手本をみせてくれるのがいいね」
「前の係長さんは怒鳴るだけだったから……」
以前ここにいた上司は対称的な人で部下からの評判は良くなかった。当然のごとく仕事も効率よくはかどらなかった。
「『どうしてできないんだ!』とか『なにやってるんだ!』ばっかりだったもんね」
「そんなに偉そうなこと言うなら、自分でやってみろってなんど思ったことか……」
まあ愚痴をいっていてもしょうがない。いい上司が来てくれたのだ。がんばろう!
【孝経十三章より】
君子の教ふるに孝を以てするや
家ごとに至って日びに之を見るに非ざるなり
(君子が孝徳を教えるのに、家ごとに毎日訪れて教えていたわけではない)
【ビジネスへの応用】
上司が部下に指導するやり方は 、一人一人ああだ、こうだと毎日個別に教えていたわけではない。自らが率先して働く姿をみせたのである。