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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第一章~最初の一年前半戦~
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9.乱入者

 祓と今村の仲が割と良くなった翌日、今村は早速『幻夜げんややかた』で実験をしていた。そこに祓がやってくる。


「先生。あの……食事を作ってみたのですが……」

「ん~? そう。あ、やべ温めすぎた。」


 祓が控えめに言葉を継ぐ中、今村は巨大な試験管に鍋から直で赤い液体を入れローブで振リ始める。祓は今村に続けて言った。


「……食べていただけませんか?」

「ちっくしょう……しくったなぁ……ん? あぁ食ってみる。」

「……そうですか。では少しお待ち下さい。」


 僅かに嬉しそうにして気がする祓。彼女はそう言い残して実験室から出て行った。その直後、窓から別の訪問者が突入して来て、今村の目の前で空中に浮いて止まり今村は実験器具を破損されて驚きつつその姿を確認して言った。


「うわっ! ……何だ? ……日本刀? いや……長さ的に、太刀か……?」


 現れた太刀は1m近い黒く怪しげな光を放つ刀身を持ち、複雑な術式の文様を柄や鍔、刀の背などに金で意匠を施した恐ろしいまでに美しい刀だった。


「……こりゃあまた……凄い呪いで……」


 今村は刀を見るなりそう言った。だが、その刀は今村がすぐに手に取ってくれないのが不満だったのか今村の体に突き刺さる。


「っとうえ!? びっくりした~……何か一体化してるんだけど。」


 身を貫かれた今村。しかし、彼は死ぬことなく普通にしていた。そして刀はどこか満足げになって独りでながらも慎重に今村の胸辺りから体内に入る。


「……何か勝手に入って来たけど……な~んとなく懐かしいっていうか、落ち着くっていうか……」


 刀に体を探検されながらももの凄く悠長な今村。そんな彼の下に更に乱入者が現れた。


「そこの!」

「ん? 今度は何だ? 最近のイベント遭遇率高いんで後で来てくれませんか。痴女さん。」


 現れたのは明るい紅赤のショートカットに少しきつめの印象を受けるが恐ろしいほど整った顔。健康的な褐色の肌。そしてドゴォン・キュッ・ボンという凶悪なスタイルを水着としか思えない服に包んだ160㎝程の美女だった。


 その美女は今村の言葉を受けるが無視して部屋の中に入ってくる。


「何を訳の分からんことを……って誰が痴女じゃっ! 妾は地獄の女帝サラ=ドラゴニカル=ヘヨルミじゃ!」

「ん~そう。中々ノリがいいことで。で、地獄の痴女帝さんが何の用?」

「……塵にするぞ?」


 今村の軽い言葉にサラが目を細めると恐ろしいほどの殺気が部屋を包み、床に散乱したガラスが震える。しかし今村は欠伸混じりに答えた。


「……あの~何の用か言ってくんない? 喧嘩売ってるんなら買ってもいいんだけどそうじゃないっしょ?」

「ちっ……屑め……まぁよい。率直に答えろ。ここに刀が来たじゃろ? どこに行った?」

「あっち。」


 今村の言葉に苦々しげに殺気を止め、質問するサラ。その答えに呼吸をするように嘘をついて扉の方を指す今村だがそんな今村をサラは睨んで言った。


「……気配はここで消えたんじゃが?」

「知らん。今ここに気配がないから俺に訊いたんでしょうに。大体何でその女帝様が直々にこんな所に?」


 嘘をついたが少々まずい方向に向かっていると感じた今村は話をすり替える。そんな誘導にサラは乗ってしまった。


「……部外者に説明するつもりはないのじゃが……それだけ危険なものじゃからとだけ答えておこうかの……」

「へぇ~」


 一応真面目に聞いているが心の中では回避した。と思っている。そこに祓が現れた。


「先生準備が……? 何ですかこの人……」

「ん~? 何か刀追っかけてきた人。」

「……主は妾に敬意を払え。妾は地獄の女帝なるぞ。」

「え、やだ。」


 今村の雑な説明に不満を持ったサラは今村にこう要求したが今村はにべもなく断る。祓はそのやり取りを見て言った。


「……あ、そんなことどうでもいいので先生は用事済みました?」

「ってか俺に用事はない。」


 今村がそう言うと祓は短く何かを詠唱。サラはこの場から消えてなくなった。


「……さて、……食べましょう?」

「あ~うん。」


 二人はサラのことなどなかったかのようにその場から立ち去った。




 因みにサラさんの名誉のために言っておくとサラさんは弱くないです。完全に油断してただけです。

 あと服は地獄は暑いので薄着です。多分、痴女というわけでもないと思いますよ。(サラ自体は暑さを無効化できますが周囲はそんなに強力にはできないので地獄での一般的な服装として薄着となってます。※八寒地獄は除く)

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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