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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第四章~新しい客~
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17.Go to hell

「さて、皆~!地獄に行く準備は出来たかな~?」

「はい。」

「…お師匠様急にどうしたんですか?」

「…お疲れなら私の背に乗っていただいても…」


 今村が何となくテンションを上げて言ってみたら何か心配されたのでこのテンションはすぐに止めることにした。


「ノリの悪い…あれ?相馬は?」

「地獄の女帝いるじゃないですか。」

「ん?あぁ…えーとサラ・ドラゴニカル・ヘヨルミだったな。」


ぼんやりバルバロスを倒したときに間違えて倒してしまった人を思い出す。祓は続けて言った。


「あれの情報を手に入れて朝から全力で準備しています。」


 今村の中で相馬はキツイことをさせまくると決まった。それはそれとしてもうすぐ時間なので相馬を軽く締めて地獄に向かった。


「…さてと。じゃ、まず通ってから現地の調査員と話をしないとな。」


 物言わぬ一人と元気な3人にそう言って今村達は地獄の門を潜った。



















「…初めまして。私が今回依頼をした者で、ラバーと申します。」


 地獄の門を潜るとそこにはハンサムボーイが立っていた。祓は今村がまたくっつけようと画策していないか素早くテレパスで確認する。


 ―――ラバーって…ゴム?恋人?…もしかして恋人が使うゴムってことか?―――


 とんでもなくくだらないことを考えていたので安心する。今度祓はラバーと名乗る青年の方をテレパスしてみる。


 ―――この子たちもの凄い美人だ…でもあの黒ローブに皆惚れてる…特に狙いたい白髪の子とかどうやったらそんなに好きになれるのか分からないくらい矢印・・が大きいし、ねらい目だと思えるブロンドの子もかなり大きい…狙えるとしたら黒髪のあの子くらいか…厳しいけど。―――


(えっ!)


 祓は自分たちの見ている男の目に人の頭の上に矢印があることが分かった。


(…相馬は多過ぎだし…先生は…ない…)


 今村に矢印がないことを残念に思いながらも自身が一番今村のことを好きなのが分かって少し嬉しくなる祓。そこでふと自分に目線が集まっていることに気付いた。


(あ、自己紹介中だったんだ…)


 テレパスですぐに状況を把握。自分も簡単に自己紹介を済ます。そんな折に今村の思考が入ってくる。


 ―――こいつさっき俺らの頭の上を見てたな…魔眼系の能力者か。…いや、多分それだけじゃないな…後一番重要なことだが…こいつは多分月美の事狙ってる。―――


(…何でそれは察するのに私の想いには気付かないんですか…呪いですよね…はぁ…)


 人の色恋沙汰に妙に敏感な今村を見て溜息をつくが一行が歩き出したのを見て自身もすぐに切り替えることにする。


 ついでに相馬が自身のことを一番好きだと言うことも記憶からなかったことにしておいた。



「…さて、自己紹介も済んだところで早速なんだが…『白虎の森』はここから二百キロほど離れた所にある。二日に分けて進むんだが…今から行かないとに今日の拠点に日没までには着かないだろう。女性陣はこれに乗ってくれ。」


 ラバーはそう言って六本足の馬を召喚したが今村率いる一行は首を傾げた。


「…二百キロを二日に分ける意味が…」

「分かりませんよね…」

「…体力温存でしょうか…それとも魔獣が大量に出るとか…?」

「ずっと只管ひたすら山登り…?」


 今村の訓練を受けた後の彼女たちの戸惑いがラバーには全く分からなかった。


「え…えぇと…そんなことはないです。こちらの道沿いに平地を進みますからそこまで凶暴な動物には出会わないと思いますし…二百キロ…因みにどれくらいで行くおつもりで…?」

「平地なら歩いて三時間?」

「うーん…急げば一時間だけど…体力は温存したいですね!」


 相馬とルカの言葉にラバーは絶句している。その間今村は読書に勤しんでいる。自由人だ。それの補助に月美と祓が火花を散らしている。


「…歩きでも時速約70キロ換算…急げば時速二百キロ…?」

「…そう聞くと何か早く聞こえるな。…あれ?俺常識何処において来たんだろ…」


 相馬が今更自身の異常性に気付いた。因みにルカは今村に紅茶を出したりお茶請けを出したりしている二人を見て出遅れた!と今村の方に駆け寄っている。

 そこでようやく今村も話が進んでいないことに気付いた。


「…とりあえず進もうか。」


 結果全員が進み始めたので今村はその速さに少し驚きラバーをローブで掴んで急ぎ目に歩いた。



 数分後、村があった。


「…さて、中に入る前にちょっとこれを正気に戻すか。」


 今村は村に入る前にラバーを道端に投げ捨てた。一応保護してあるため色んな負荷はかかっていなかったのだが移動中の光景が不気味だったため何か精神にきている。


「フフ…和やかに談笑しながら出すスピードじゃない…フフ…」

「しゃっきりしろ。」


 今村はラバーを何度か叩いて起こす。それでは正気に返らなさそうだったのでちょっとお薬をつかってみた。


「はっ!」

「よし。」


 ラバーは復活した。精神力が少し上がった。賢さが少し下がった。諦めるを覚えた。


「うぅ…死ぬかと思いました…」

「?何が?」


 なぜラバーが疲弊しているのか分からない後ろの面々(祓を除く)はとぼけた顔をしている。今村は常識を学ばせなかったのが敗因か…と後悔した。


「…まぁいいか。次から気を付させれば…」


 その辺は置いておくことにしてラバーに村の案内をさせる。


「…予定時刻より大分早いですが宿に行きましょう。」


 一切動いていないので全く疲れていないはずのラバーはよろよろと一行を案内していく。すると古ぼけた宿の前に着いた。


「…ぼろいな。」

「すみません。この辺りはもう『サーベルライガー』を神獣扱いしている地域ですのであまり表沙汰に出来ないんですよ…」

「…一回帰ります?」


 今村の「ワープホール」があればここにも一瞬で来れるので相馬からそう提案があった。


「…そうですね。このスピードなら首都からでも一日で来れますから…二人部屋一つと4人部屋一つしかとってませんし一度帰られるのも手かと。」


 その言葉には女性陣から反対があった。


「いえいえ!ちょっとお待ちください!2人部屋一つに4人部屋一つ?」

「えぇ…お弟子さんと師匠の方で分けるつもりでしたが…一人だけ異性の方とは失敗でした。」

「いえ。良い仕事しましたよあなたは。…ご主人様と私とルカさん、そして祓さんで一部屋。ゴミとあなたで一部屋でどうでしょうか。」


 ルカの言葉に苦笑いだったラバー相手に月美がガンガン行く。因みに今村は話がまとまるまで本を読むスタンスで聞いていない。

 相馬はナチュラルにゴミ扱いされて不貞腐れている。


「それでは多数決をとりましょう。手を挙げない人は棄権とみなします。この部屋割に賛成の方は挙手をお願いします。」


 女性陣の手が上がる。つまり3票だ。


「反対の方手を挙げてください。」


 相馬が手を挙げる。今村は本の内容が面白いところだったらしく笑っている。


「それでは可決されましたので泊まりましょう。ご主人様がキリのいいところまで読み終わるのを待ってください。」


 待つことしばし、今村は注目を集めていることに気付いた。


「…ん?決まった?」

「はい。宿泊します。」

「…そ。」

「では参りましょう。」


 そして部屋割りを聞かされて今村は困惑。その後相馬と入れ替わろうとして相馬がフルボッコにされ、今村は女性陣と相馬の中の悪さを知り少し考えて相馬とラバーをくっつけるのもアリか…?と思ったがナシ!と判断して諦めた。




 ここまでありがとうございました!

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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