15.執事 後半
今村君の中学時代を書きました。こちらは見ていただくと嬉しいです。「中学生の異常な日常」と言う題名なので時間があれば読んで欲しいと思います。 唯、完結はしていないので近日中に終わらせたいです。
尚、例外者の方はまだ全然終わりません。お付き合いいただくと幸いです。
それでは本編の方をお願いします。
Side ~ルカ~
食事中ずっと呆けてた…ヤバいです。お師匠様のお姫様抱っこ凄いです。まず安定感が凄い。思わず二度寝しそうでしたよ。それができなかったのはお師匠様の顔が近くて心臓が破裂しそうだったから。
あぁ…思い出すだけで10年は戦えそう…
それはそれとして、執事になってもらいましたが何をすればいいんでしょう。私は過去がアレなもんで色恋沙汰に向いてないんですよ。お師匠様に甘えることが出来ればいいな位の事しか考えてませんでした。
というより大体からして人の言うことに従うのが嫌いなお師匠様に色々言ったりしてちょっと意地悪したかったんですがここまで完璧にこなされると本当に困るんですよね…
「お嬢様?どうかなされましたか?」
忙しなく動いていたお師匠様を何となく眺めているとお師匠様がこちらにやってきました。
お嬢様もやめてほしい…せっかくお師匠様から貰った名前が…
「体調が悪いのですかね?」
ぐっはぁう!近い!近いです!顔を覗き込まないでください!
「いけませんね。顔が赤いですよ?何故仰られなかったのですか?」
「お…お師匠様が…近いから…」
「私が近いから?…あぁこれは失礼しました。」
くっ…わかっててやってるんじゃないんですか?そんなことを思いながらジト目でお師匠様を見ていると私が元いた世界から手紙が届きました。
「お嬢様。そちらは?」
「クロマ・アロガンからの手紙です。向こう時間で一年に一回送られてくるんです。こちらでは半日に一回ですけど…」
「あぁ…そういえばそうでしたね。」
完全に忘れてますね。まぁいいですけど…さて、今回のは…また近衛がお師匠様を返せって…はぁそのために不老になったらしいですからね…あの人たちもよくやりますよ。
「何と書いてあるのですか?」
「…魔法王国が出来上がりつつあるみたいです。」
主に近衛軍団の次元の壁を越える研究と不老の研究、あと美容の研究の副産物でなんですけどね。…執念が恐ろしい。
「へぇ…見せてもらってもよろしいですか?」
「あぁ…うーん。大体お師匠様が戻ってくるのを願う署名ですから…」
「私が戻る…楽はいけませんからもう行かないと思いますと返しておいてもらってもいいですか?」
「もちろんです!」
寧ろいつも書いてますけどね。言質いただきました!
そんなことを思いながら署名を飛ばして実務をしてくれている2軍隊長の何とかさんの手紙を読みます。
ふむ…勢力を広げている…と、後ルゥリンが子を身籠ったということですね。こっちはお師匠様に一応見せておきましょう。
「こっちはどうぞ。」
「ありがとうございます。…ふむ。お嫁さんが身籠られたということでしたらお祝いに何か送った方がいいですかね…」
お師匠様の呟きを私は聞き逃しませんでした。
「もしかしてルゥリンって覚えてないんですか…?お師匠様を殺そうとした…」
「…あぁ、『ワープホール』をくれた人。」
何かおかしいですけどまぁいいです。お師匠様の相手をするときは細かいことを気にしたらいけないんです!
「…そう言えば操ってましたね。まぁ敵のことはどうでもいいのですぐに忘れてしまうのですよ。」
もう苦笑のお師匠様も良いっ!
「さて、他に御用はないのですか?オーダーストップが近付いておりますが…」
うぇっ!?もうそんな時間!?私殆ど何もしてない!…いやまぁ耳掃除とかお姫様抱っこで空の散歩とか色々しましたが…
「あ、そうだ。」
私は最後に少し考えたことをやってもらうことにしました。
Side ~祓~
「…ルカさんも物好きですねぇ…」
散々羨ましいことをした後、ルカさんが先生に最後に頼んだのは先生との組手でした。それで何故か私を連れて別空間に飛んだみたいです。
「それではお嬢様。いつでもどうぞ?」
先生はそう言って余裕の笑みを浮かべています。特に構えもしません。
「フッフッフ…この状態でお師匠様はどうやって戦うんですかね…」
ルカさんは楽しげな笑みを浮かべています。…戦い好きなんですかね?っとルカさんが仕掛けました。
「やぁっ!」
「フム。」
…何か地味ですね。先生が余裕過ぎて緊張感もないですし…ルカさんは頑張ってるんですけどローブ(外見は燕尾服)にすら触れることが出来てないですから…
「さて、こちらも参りますか。『グレイプニル』」
あ、先生が銀色の鎖を召喚しました。…鎖は細くなっていって紐になりましたね…どういう原理でしょうか…それで…まぁルカさんはあっさり捕まりましたね。
「一本。さて、次に参りましょうか。」
「うにゅ~っ」
すぐにルカさんは解放されたんですけど…今度は自分から紐に飛び込んで…まぁ先生がそうなるように仕向けたんですけど。…何で私呼ばれたんでしょう?
しばらく一方的な光景を眺めていると不意に先生の顔がいつもと同じような感じの状態になりました。
「『アクトイフ』解除。さて、ルカタイムアップだ。」
「…うひゃっ!」
まず足払いから入りました。そして次に何でしょうか?む…せ…先生がルカさんの胸に手を置いて…
「『浸透衝』っ!」
「コヒュッ」
あ…これルカさんが口から変な感じに空気を吐き出しました。良かった。急に変なことをし始めるかと…
「祓!すぐに『キュアモーラル』してやって」
「…え?はい…」
「オイ馬鹿弟子…何か今もの凄い気ぃ抜いてたけどどういうことだ?危うく心臓打ち抜くところだぞ?」
「い…いやぁ…少し妄想を…」
まぁそうですよね。半日執事と言うより恋人っぽい感じでしたから多少は疚しいこと考えますよね。…ルカさんも先生の事が好きなんですから。
「ったく祓とタッグ組ませて戦ろうと思ったのに…これじゃ無理だな。唯でさえ『流天翔』は心臓に負担がかかるんだし…」
先生が何を言っているのかはよく分かりませんが、とりあえずルカさんが放って置いたら心不全で死ぬことは分かります。心嚢(心臓の周りを覆っている膜)の外傷は治したんですけど…心臓の不規則な動きにどうやって「キュアモーラル」かけると良いんですか?
「…ってかオイ祓。何もしなかったらこいつ死ぬんだけど…早く『キュアモーラル』を…」
「…どうかければいいんですか?」
「血管をイメージして全身に薄く流し込む感じ。…ってか出来ないんなら術だけかけて。」
術だけって…まぁ先生が言うなら…こんな感じですかね。私はルカさんのお腹に手を当てて術の準備をします。
「『キュアモーラル』」
「『マジックハック』」
「ふぇえ?」
そうしたら何故か先生が手を重ねてきて…体がぞわってしました。
「カハッ!」
ルカさんが咳込みました。どうやら助かったようです。
「…まぁこんな感じか。…どうしたじろじろ手ぇ見て…一応言っとくが手は結構洗ってるから綺麗な方だと思うぞ?…まぁ俺と言う存在が汚いから洗った方がいいと思うのは当然のことだが…」
「ち…違います!何かぞわっと来たので…」
「成程。俺に触られるのが生理的に無理だったと…」
「違います!」
何で無駄に卑屈なんですか…本気でそう思ってるし…一応別の考察もしているのを見させてもらいましたから言いますよ。
「さっきの『マジックハック』と言うのは…?」
「…あぁアレは魔法を弄るやつ。今回は魔力の流れを弄らせてもらった。」
「じゃあそれがぞわっと来た原因ですね!」
「いやそんなこたぁ…「原因です!」…ない…何か断言したな。」
当然です。二度と触れないように気をつけようとか思われたままだと私の将来が真っ暗なので。…さて、誤解も解けましたのでもういいですね。
「…ところで私にも先生が執事になる権利くれませんか?」
「…やだ。」
「何でもします!…あ、でも相馬と付き合うとかは無理です。」
危ない…というより何で先生は私を男の人とくっつけたがるんですか!私は先生が好きと言うのに!
「…まぁ考えとくよ。」
「言いましたからね?」
いつか必ず…決意を新たに元の世界に帰りました。
ここまでありがとうございます!




