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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第一章~最初の一年前半戦~
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7.黒魔の卵殻

 当然ながらこの時間帯にほとんどの店は開いてなかったので少し困った今村は祓に話しかける。


「とりあえず、アレだ。俺がやってることが迷惑だったら言ってくれ。やめるから。」

「……私は特に何も思わないから……何してもいいけど……」


 今村にそう言い返す祓。今村はそんな祓のことを胡散臭げに見る。


「へぇ。何も思わないねぇ……その割には初対面から昨日まで割と驚いてた気がするが……」

「……アレは……初対面でいきなり髪が天を衝いてたし、ローブを着れたこともそうだし、あの三神相手にあんな態度取ってたら……」


 祓は微妙に言い訳めいた口調になる。そんな祓に今村は意地悪く笑う。


「はいアウト。感情がないなら反応もそれなりにやれ……今のあんたはもの凄く感情があるっぽいぞ。くっくっく……」

「……あなたは何がしたいの?」

「おや、今度はムッとしてる。で、俺が何をしたいかって? 意味もなく人をおちょくるのは趣味なんでな……いや呼吸みたいなものか? 現時点では特に意味はない。」


 そんな今村に祓は呆れた顔になる。それを見て今村はまた感情が出てると言って笑った。


「キャラ作るなら完璧にやれ。お前は甘い」

「……別にキャラを作ってるわけじゃない……ただ常にテレパスで相手の感情が入ってくるからいちいち感情を面に出すのが面倒になっただけ……」

「……ん? じゃあ! シャットアウトするか?」


 何故か今村がとても楽しそうにそう祓に言ってきた。


「……? できるの?」

「もっちろん! この『黒魔こくま卵殻らんかく』を使えば!」


 今村はそう言ってローブをまさぐって何かを掴む。それは祓には一切見えないが今村は楽しそうに祓にそれを被せるように動かす。


 祓にとってその変化は劇的だった。


「音が……消えた……」


 その言葉に今村の顔の愉悦は半端ないものになっていた。


「クックック! 成功だなぁ……腕は戻って来てるか……じゃあ確認も済んだし次のステップに行くか……」

「……まだ何かするのですか?」


 祓の言葉に今村は首を振る。


「いや、少なくともしばらくお前には何もしない(と思う)が……さぁて帰ったらなぁに作ろっかなぁ……冥界の品がすぐ来たから自重できんかもなぁ……」


 途中で自世界にトリップしてしまう今村の目の前の百貨店らしき店が急に開店した。しかし、その店長と思われる男は先ほどの開店の準備をしていたころに比べ急にやる気をなくしていた。それを見て今村は呟く。


「……あぁもしかして『魅了チャーム』にやられたから開店したけど『黒魔の卵殻』が『魅了チャーム』をシャットダウンしたから何で開店したかわからなくなったのかな?」


 長々と考察する今村だが、その考えが正解である。何にせよ店が開いたので、とりあえず二人は中に入った。


「……どうした?」


 中に入ってすぐ今村は祓の様子がおかしいことに気づく。何故か震えていたのだ。


「……いえ……誰の心も読めないとなると……ここにいる人々が不気味で……」


 そんな祓を今村は一笑に付す。


「また感情出てるぜー? 怖いってか? 全く……キャラは大切にしろよ。大体読めてねぇのが普通なんだからこれ位でびくびくするなよ……」

「……ですが私にとっては聞こえるのが普通で……」

「……なら取っちまうか~」


 今村がそう言うと何をするわけでもなく祓から『黒魔の卵殻』が消え、今村の手元に戻った。その瞬間祓は苦しげにその場所に蹲る。


「……ん? あぁ、言うだけで勝手にとれたか……悪ぃね。本気で取るつもりはそこまでなかったんだ……『宿れ』」


 祓の状態を見て流石に悪いことしたな~と思った今村は正式に『黒魔の卵殻』を祓に付ける。すると祓は立ち上がり、今村を若干睨む。


「……あなた、酷いですね……」

「あぁうん。だから?」


 一向に悪びれない今村に溜息をつく祓、今村にしてみればまた感情出てるな~としか感じない。


「……でもお前そんなんじゃ街中出られなかったろうに。」

「そうです。だから私は自室にずっといました。」


 そう聞いてその先を推論する今村。


「……ふーん。でも伝統ある通過儀礼だから出てきた……が、力のため会う人は最小限ってわけか。」

「はい。それであなたが選ばれました。」


 そこで今村はふと思いついた。


「……でもあれだな。『黒魔の卵殻』つけたし俺要らないんじゃねぇ?」

「……いつ襲い掛かってくるかわからない中で多人数に会うのは……」

「ふむ。まぁどうでもいいや。とりあえず目的済まそうぜ。」


 自分で振っておいた話題なのにいい加減立ち話するのに飽きた今村は祓の言葉を遮って中に進み始めた。それに少し遅れて祓も離れないようにバレないように袖を軽く摘まみ、進んで行く。




 はい、ここまでありがとうございました。


 祓さんは急に敬語になりましたが理由は『黒魔の卵殻』です。彼女は何気にこれについて今村くんに感謝してます。


 

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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