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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
最終章~終わりの幕引き~
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ラストゲーム

「っ……あぁ……」


 【暴食現象】が万一の事故で今村を殺さないように細心の注意を払って多角的に観測していた女神たちから悔しさと、嘆きの息が漏れる。


「本っ当に、全く……信じてくれてない……」

「…………遠いですね……本当に…………何もわかってない……」


 戦況が優位に運んでいる中で、女神たちは【暴食現象】への対策の為に敢えて殲滅をさせないように指令を下して目を潤ませつつ気丈に笑った。


「でも、これで……これで、仁が僕らを全員封印の礎にすることに躊躇いも持たなさそうってことが分かったから……それは、それでいいんじゃない?」

「…………これで、最後に目を覚ましてくれれば……瑠璃さんと幸せに暮らすことも出来るでしょうしね……」


 儚く笑う【清雅なる者】。最悪の場合は、自分たちと現在戦っている相手を全員巻き込んで【暴食現象】を止めることで女神側は合意しているのだ。


「はーぁあ……幸せに、なりたかったなぁ……お嫁さんに……」

「まぁ、私たちのことを誤解しないで、最後に分かってくれたら仁さんが何とかしそうですけどね……転生とか……」

「ふふっ……それはいいね。そして、今度こそ間違えないように、最初から全力で好意を一人だけに向けないと……」

「……彼は迷惑しそうだけどね。」


 【運命神】の言葉に女神たちは笑った。








 今村の心内。


「んじゃ、行くか。」

「……出て来るんだね。いや、お兄ちゃんが増えてくれるのは嬉しいけど……」

「それはキモいな。まぁそんなことよりさっさと下る……」


 扉が消えた後普通に外に出て来ていた呪神の今村に今までと違うのか……とクロノが思って突っ込んでいると、目の前には既に得体の知れない黒い水が浸水して来ていた。


「お~……こりゃ、ヤベぇな……すぐ死にたくなる。」

「ダメだってば!」


 その光景を見て笑う呪神を後ろから引っ張るクロノ。それを見て呪神は嗤いながら告げる。


「お前、これに触れてみたら?手に掬いでもすれば全部どうでもよくなるから。まぁ仮にどうでもよくならなかったら……最下層まで行けるかもな。」

「行ってみる。」


 クロノは小さな体にふんすと力を入れるとその水に触れ……


 脱力して、頭からその水の中に突っ込んだ。


「オイオイ。大丈夫かね?」


 そんなクロノを黒ローブで呪神は救い上げ、顔を覗き込んで頬を叩き、返事を促す。そんな呪神の今村に対してクロノは言った。


「…………もうしゃべりたくもない……」

「よし。じゃあ……」


 送り返すか。そう言う前にクロノは今村に言う。


「でも、お兄ちゃんは大好きだから……声、聞かせて……」

「おぉ……マジか……」


 何かは分からないが、正気を保っているクロノに好奇心の今村は驚きつつその隣で黒い水に触れても大丈夫そうにしているシュティに目を向ける。


「どうした?」

「……いかないと………………誰か、呼んでる……」


 そう言うとシュティは勢いよく黒い水の中へと突き進んで行った。それらを見送ってからようやくフィトが目を覚ます。


「着いた~?」

「ふむ……シュティの超回復はこれにも効くのか……報告しないとな。で、フィトはここを踏破出来れば着く。ここからは自力で……」

「じゃ~あれに~運んでもらお~あと~この子は~虚脱じょ~たいだよね~えい~」


 好奇心の今村は消え、フィトはシュティに対して袖から植物を出して途中まで乗せてもらおうと画策し、クロノに対して何かの種を投与した。


「あれ~?戻って~くるの~?」


 その途中でシュティが戻って来るのを感じ取ってフィトは植物を元に戻しシュティを強引に引き戻す。その肩には何かが乗っていた。


「何~?それ~?」

「…………私……」


 シュティの返しに理解が出来ないとばかりに首を傾げるフィトだが、それどころではなくなったようだ。


「……増水してますね。ここまでです。全員、戻っていただきます。」

「え~?」


 フィトが異論をはさむ前に、虚栄心の今村の号令により全員心内から追い出されることになった。











「……よし、追い出したことだし始めるか……何か増えてた気もするが……まぁいいだろ。」


 【暴食現象】と相対していた今村はそう言いつつ軽く準備体操をする。


「……あ~何か、湧き出始めてるわ~。つーか、これって……あぁ、これが、俺の本質か。あぁね。だから【虚無の子】か。いいじゃん。」


 前世の無理矢理の再生の際に疑問に思っていたことが幾つか消化されて今村は歪んだ笑みを浮かべる。


「……さて、【虚数大帝】か。……【孤独なる大帝(ソリタリーエンペラー)】とか……まぁ、俺の能力を表すよなぁ……うんうん。まぁ、だから簡潔に能力を行使するよ?」


 大帝であるのにもかかわらず、王も、民も持たないという酷く矛盾した存在は嗤いながら両手を広げて宣言した。


「『在り得べからざる今を成せ』。……これでいいのかな?」


 宣言とほぼ同時に【暴食現象】は黒い何かを形成し始めた。それを見て今村は嗤う。


「ハッハッハ。チートだねぇ……じゃ、続けようか。」


 今村はそう言って自らの最強技を全てノーモーションで繰り出す。


「『反天滅絶』『無撃総乱舞』『白礼刀法零之型・白髪鬼』……奥義まで適応化したものじゃなくて身を亡ぼすレベルの極意でもいけるか……『極意終之型・無明』えーと、ここだと……?『アリグリ・エルゴシュリアル・クリアノート・ベルシュランタ……』面倒だから『在り得べからざる今を成せ』。」


 どれもこれもが階層世界を丸ごと消し飛ばすほどの威力の物だ。戦争をしていた外部もその力を感じ取って勢いが鈍くなる程の強烈な力の奔流の中で今村は邪悪な笑みを浮かべる。


「そうだよな。それでないとなぁ……」


 【暴食現象】は、何事もなかったかのようにその場にいた。黒い塊は今村に中てられてか人型を取っている。


「やっぱり、同類さんか……そうだよな?化物はそうじゃないとなぁ?俺も、全力を出し切れないってもんだ。クックック……世界にその存在がないとされつつもあると定義された、【虚】、その矛盾の王の力……とくと使わせてもらおう。」

「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ぁ……………………」

「ん?今喋った?まぁいいや。取り敢えず消え失せろ。」


 あり得ないことを成立させる力、遍く全ての物を等しく無効化し、喰らい尽くす力。両者の力のぶつかり合いが始まった。

















「……奴め、あの力を起こしおったな……」


 誰もいない世界、第1世界において全ての世界規模で大戦争が行われている中、その空間だけ何物もいない世界の中で世界最古の竜が目を覚ました。


「じゃが、この段階で目覚めたということは……いや、取り敢えずは小うるさい何かを沈めに向かうかのぉ……」


 【雷竜時空神】はそう言いつつダークブラウンのロリボディではアレか。と考え直して黒色の竜になって移動を開始した。




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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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