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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
最終章~終わりの幕引き~
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没後戦

「っあ~……にゃろう、よぉもやってくれたな……」


 目を覚まして今村は最後に見た光景を思い出しつつそう呟いた。丁寧に上質なベッドで寝かされている自分の体を確かめると、眠りに就く寸前の術式は作動していたらしく、全盛期の状態にはなっている。


「……にしても、あの職がなくなるとか言ってた女は確か……前にライアーが女にした『アカシックレコード』へのアクセス権をくれた奴か……?顔を思い出してお礼参りに……」


 そんなことを考えつつお礼参りの為に現状を把握した今村は表情を歪んだ笑みへと塗り替える。


「やってくれたな……?誰かは…………まぁ、あの場に来てたシュティ辺りか……いや『アカシックレコード』の連中が出てるならそこもありえるな……」


 伸びをして、今村は周囲を包囲している何者かたち、いやその正体は既に女神たちと分かっている彼女たちに意識を変える。


「さて、はて……どうしたものかな……ん~……『アカシックレコード』が協力するなら術式での拘束は難しいしなぁ……かと言って、皆殺しにすると後が大変なんだよね……面倒だけど半殺しにして、一人一人記憶が戻らないように食っていくとかした……奴もいるなぁ……」


 何故だろうと首を傾げると、今村はある事実に行き当たった。


「あぁ、シュティの血か……飲んだ者の状態を最も良い状態にする。それと……まぁクロノ辺りとか、まぁ戻したのかな?まぁ、考えていても埒は開かんな。」


 今村はそう言ってこの空間から出て行った。










「よぉ。」

「……消滅反応、あり。皆さん、行きます。」

「お、こういうのだったらいいな。気兼ねなくぶっ殺して代わりに何か置けばいいし……うん。あんまり巨大な権能持ちはいないし……まぁ、フォンとかは厳しいけど……まぁこれ位なら頑張れる。」


 外に出ると覚悟を決めた面々が今村を囲んでおり、それを見た今村は戦闘開始の状態だと判断し、それを見た相手は一瞬無表情になり絶望的な表情がそれを塗り替えた。


「……そうよね。あんたは、そう……」

「そうだよ。ほら、来い。先手は譲ろ………………」

「今です!」


 不自然な今村の停止に祓が号令を下して女神たちは何らかの鍵を掲げて次の瞬間には消えた。


「っつ……あ~……ウザってぇ……何だ?無理矢理、前世の記憶か?逆再生されてるなこりゃ……」

「……それでも動くって、おかしいよ……」

「並列思考位やるだろ……無駄に、何かいっぱい再生れ……チッ……こりゃ、中々やるな……いいぜ、アズマ……俺が、原神と戦った時くらい練ってる……」


 再び行動を阻害された今村は目の前にいるアズマを見ながら不敵に笑う。それに対してアズマは不遜な笑みを浮かべつつ、今村の思考をこの場に釘づけにするために次の一手を打つ。


 それを見た今村は、しばらくの間その場に釘づけにされることになる。






 同時刻。世界を分かつ戦いが、幕を開けようとしていた。


「……あっちは上手く行ってるかな…………」

「連絡が入ってないので、今の所計画通りです。それよりも、私たちは目の前のことに集中しなければ……いくら、弱めているとはいえ相手は……」


 原神が1柱、【可憐なる美】ミニアンは不安気にそう呟いた。それに対して答えるのは【運命神】だ。


「……来ました。」


 そこに現れたのは原神の1柱、【無垢なる美】ことセイラン。彼女はずっと先まで検知していた魔術を解除して敵の到来を告げる。


「……【可憐なる美】、並びに【無垢なる美】……お前ら、一体何のつもりだ?ふざけた真似は止めろ。」

「……【始まりの神】様、申し訳ありませんが……私どもは至って、真面目なことをしています。」


 敵は、原神が率いる旧神、並びにその眷属たちだ。対する味方陣営は



「あ~……お頭は本っ当に、一人でやりたがるなぁ……」

「美味しい所も、いっつもな。ずりぃぜ……」


 今村が前世で創った「レジェンドクエスターズ」の前身である「創初隊」



「今こそ、社長の恩に報いる時です……全員、武器を。」


 最初はふざけた理由で適当に作り上げた「レジェンドクエスターズ」



「さぁ、正と負の、大戦争の始まりだ!リア充どもを、爆破せよ!」


 負の原神が率いる「リア充爆破促進委員会」他、破滅神たち。



「お兄様は、いつもいつも私を置いて……もう、許せませんね……」

「ごしゅじんさまもねんぐのおさめどきなのー!」


 クロマ・アロガンに常駐していた恋愛組。



「お父様にも困った物ですわ。」

「はぁ……何で、少し放っておいたら死ぬのさ……勝手に親不孝者にしないでほしいんだけど……そろそろ初孫を披露しようとしてたのに……」

「パパの馬鹿……」


 前世における息子、娘たち。



「……………………………………………………………………………………邪魔は、しないで。」

「近付いたら、皆殺しだから……」

「あにさまあにさまあにさまあにさまあにさまあにさま……どぉ、して……?あにさまが、あにさま……あに、さまぁ……」


 今村が保護していた危険生物たち。



「これから神殺しのフィールドが限定的に解禁される…………ククククク……どんな素材が取れるんだろうか……」

「この運営だからなぁ……どうせぶっ壊れ性能の敵だろ……腕が鳴る!」


 果ては今村が運営していたゲーム世界の者たちまでが集結している。


「全体に、保護術式を掛けました……」

「【清雅なる者】、【調理女神】ご苦労様です……」

「いえ、【運命神】様も……」


 そんな軍を率いるのは【運命神】ラーラ、【無垢なる美】セイラン、【可憐なる美】ミニアン、【清雅なる美】ユリン、【調理女神】アニスである。


「……【精練された美】は、この段階で抜けてください。万一の時は、あなたがあの方を……」

「うん。」


 そこから巨大な戦力が抜けるのを見送りつつ、女神が核となる軍勢は男神が主な原神の軍勢に対して宣戦布告した。


「申し訳ありませんが……愛の為に死んでください。全てが済んだ後、蘇らせますので……」

「……どうやら貴様らは我らに勝つ心算らしいな……ユーシア、ミハエル、お前らの躾が足りていないからこのような事態に……」

「長兄様、申し訳ありません……」


 頭を下げる【芽生えし者】ミハエルに対してユーシアは浮かない顔で少し顔を逸らした後、ミニアンを見た。


 その視線に気付いたミニアンは冷たい視線で一瞥を返した後、その美しい目を逸らして敵陣を見定める。


「……どちらが上か、徹底的に躾直さざるを得んな。その戦、受けて立つ。」


 その言葉が口火となり、開戦の炎が上がった。




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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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