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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
終章~彼にとってのハッピーエンド~
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2.入学前

「行って来まーす!」


 入学式当日。子どもたちは保護者より早く学校に向かい、屋敷の中で今村たちは今村たちで入学式の準備をする。


「華凜~ご機嫌だったね~?何して~あげたの~?」

「添い寝。」

「私も~「嫌。」……ケチ~」


 見送りをして身だしなみを整えながら会話をしているとすぐに正装に着替え終わる。尤も、今村などは「錯視錯覚」を使ったりするので殆ど時間はかからないが。


「そう言えば、何か別世界に行って無駄に成長したらしいタナトス達の子どもたちが普通クラスに来るらしいな。」

「へ~」

「アリスは思うところないのか?」

「?何で私…………あぁ、無いに決まってるでしょ?怒るよ?」


 今村の言わんとすることの意味が分かって軽く怒るアリス。そんな場で今回の今村の言葉の情報源で、今は白崎のスタイリストをやっているマイアが口を開いた。


「あじゅみゃ……アズマ様が、ご友人として、まにぇ……にゃう!招いてた所で聞いたのにゃ!」


 自分の滑舌の悪さに苛立ったマイアは自分の頬を一度ビンタしてそう言い切った。


「にゃんでも、好きな人が出来てその為に燃えてるらしいにゃ。叶わぬ恋らしいのにゃ。」

「へー……応援してやろうかな……」

「……碌なことにならないと思うから、止めた方がいいと思いますよ……」


 サラのスタイリストをしているレイチェルは髪に櫛を通しながらそう言ってシニヨンを結い上げ、首を傾げて別の髪型に変える。


 その間に既に髪型のセットは決まっている女性たちが着替え始めたので今村は外に出た。するとそこで何やら息せき切ってるイヴの息子、サイフォンに出会った。


「よぉ、何やってんだ?」

「何か、知らない間に婚約者が異世界の俺の家にいて……勝手に、決めてないですよね?ねぇ?」

「ウチは自由恋愛超推奨だから何も決めてないぞ。……にしても婚約者ねぇ。据え膳喰わねば何とやら……」


 詰め寄りつつ尋ねてくるサイフォンに今村は笑顔で何度か頷く。サイフォンはそれどころじゃないと更に食って掛かった。


「母さんは何か向こうのことを応援するし……さっきだって、密室に二人で何かもう……疲れた……」

「で、ヤったんか?」


 元も子もない今村の台詞にサイフォンは深く溜息をついた。


「シませんよ……確かに可愛い子ですけど、別に好きでもない子なんで……」

「向こうは何て?」


 息子の恋愛話にグイグイ行く今村。サイフォンは何とも言えない顔で答える。


「……二番目でも何番目でもいいから、って……この前は危うく雰囲気に流されて襲いそうに……」

「襲えばいいのに。ウチで面倒看るぞ?相手も望んでるんだしいんじゃね?結婚とか妥協だぞ。取り敢えず籍だけ入れとけ。先っぽだけでいい。」

「……お父様……先程から何を言ってるんですか……?」


 そんな二人の話の間に呆れた顔をした百合が入って来た。その瞬間、サイフォンの顔色が変わる。それを見て今村は気付いたが、何も言わなかった。


 その代わり、百合が今村に言う。


「全部、ご自身に突き刺さってますよ、その台詞……」

「俺は例外者だから。」

「……例外者の子は例外者ですよ?サイフォンくんも、例外者です。」

「俺はダメだからね。そんな事より何か用?」

「……そろそろ、向かわれた方がいいのではないですか?先方の挨拶回りなどもあるでしょうし……」


 百合は色々言いたいことを呑み込んで今村にそう告げる。今村は時計を見てそんな時間かと頷いた。


「そろそろ行かないとな。面倒臭ぇけどアズマたちの為だ。理事会の奴らの挨拶を受けないとな。……そう言えば寄付金は……」

「既に渡してます。そのお礼もあるかと……」


 面倒臭い世界の話を考えながら今村は百合に母親たちの準備が出来たのかを確認させて百合が居なくなったところでサイフォンに尋ねる。


「……お前さ、百合のことが……」

「し、失礼します!」

「いや、逃がさんけど。」


 愉しげに笑う今村の表情からおそらく自分が危惧していることがバレたと気付いたサイフォンは今村から逃げようとするが魔王の中の大魔帝【魔神大帝】からは逃げられない。


「百合のこと、好きなの?」

「いえ、その……」


 今村が自分を見ている目の色が違うことで嘘をついてもバレると観念したサイフォンは全てを認める。


「……はい。」

「よし、頑張れ!安心しろ。愛があれば何とかなる!クハハハハハ!」


 哄笑する今村に若干の驚きを見せるサイフォン。少なくとも今村はイヴと異なりサイフォンに一般的な常識を語るので応援されるとは思っていなかったのだ。


「え、でも、姉弟で……」

「大丈夫大丈夫。神々の世界じゃよくあることだし、元々俺は要素を貸しているだけであって血の繋がりなんてもんはない。まぁ例えあったとしても負の神である俺に関係はないな。世界が敵にまわろうが俺はお前を応援する。頑張れ。若者よ!ヒャハハハハハ!」


 笑う今村にサイフォンはどう返そうか悩むが、今村が急に真顔になってそう言えばと付け加えた。


「ただ、無理矢理とかするんだったら……まぁ、イヴの教育なんてものは生ぬるいと思うような再教育を施すが……あ、後百合を嫁にもらう奴は一発思いっきり殴りたいと思ってるから頑張って鍛えてね。」


 今村の言葉にサイフォンは震え上がった。今村が言うことは当人は自覚していないものの事実上の死刑宣言と同じような物だ。


「まぁ、鍛えるのは……そうだな。キバ辺りと相談して鍛えるといい。俺はそろそろ時間がないからじゃあね。」


 言うだけ言って今村はサイフォンを逃がさないように創り上げていた結界を解除して母親陣たちがいるであろう玄関へと移動する。


 今村が立ち去った後、魔灯具が揺らめいてそこから百合が現れる。


「ふふ……お父様は本当にブーメランがお好きですね……ご自分で言ったことですから……ね……?」




 母親陣たちが待つ玄関に向かう途中で今村はサイフォンと話していたところの影に居ると思っていたイヴに出会い、サイフォンの応援に念を押しておくが首を傾げられ、説明をしつつ今村も首を傾げるが影の中にいたのはシェイムだったと思うことにして母親たちが待つ玄関へと急いだ。


「……フォン、ちょっと、メイクを落とせ……それか、封印を強化しろ……」

「何よ……折角頑張ったのに……」

「頑張り過ぎだ。滅ぼす気かよ……」


 あまりに美し過ぎる状態のフォンにクレームを出しておいて今村は戻る時間も少ないので自分でメイクを剥がし、入学式へと向かった。




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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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