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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十九章~次世代と共に~
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10.決まり

「父様たち、遅かったね?」

「……へぇ。悪い悪い。ちょっとフィトが我儘言っててな……」

「む~……我儘じゃ~ないよ~?迷惑は~かけてないもん~」

「……母様、あんまり父様困らせちゃダメだよ……?」


 先に送っていた華凜と合流すると開口一番にそう言って、止めたはずの世界の中でも普通にしていたことを覗わせる華凜に今村は少し感心しつつフィトが化物を目指していることを適当に伏せながら謝った。


 そんな感心された華凜はフィトが今村を困らせたのだろうと判断してフィトを簡単に窘めると今村の手を取り、目の前の建物目掛けて歩き始める。


「おっでかっけおっでかっけうっれしっいな~」

「……ここは、微妙だな……セキュリティ的に……」


 ニコニコしながら今村の手を引く華凜を見て既に魅了されかかっている職員たちを見て今村は非常に微妙な顔をして呟いた。


「危ないね~?変態さん~いっぱいだよ~ここだと~華凜が~危ない~」

「……その吊るしてるのは何?」


 空中に横になったまま今村に付いて来ていたフィトが何かしらの植物の蔦で職員と思われる人物たちを引き摺りながら移動し始めたのを気配で感じ取って今村は後ろを振り向く。


「痴漢だよ~?私~隙だらけってね~思われやすいの~」

「……可愛いしな。」


 今村が付け加えた言葉にしばしきょとんとした後、何を言われたのか理解してフィトは顔を赤く染め上げた。


「えへ~……」

「父様、華凜……」

「華凜も可愛いよ。」


(……事実だが……言ってると何か自分を殴りたくなるな……まぁいいけど。)


 母娘揃って同じようなリアクションを取るのを見ながら今村はフィトの触樹が照れているフィトと華凜に魅了されて襲い掛かってくる職員たちを捕まえては吊るしているのを見てこの場を後にすることに決めた。


「……じゃあ白百合学園しかないかなぁ……ここでこれほどまでに魅了されるなら後の候補も微妙だし……」

「父様、父様、もっかい言って?」

「華凜は可愛いよ。」

「きゃー!」

「私は?」


 喜んで走り始めた華凜を生暖かい目で見ていると突如至近距離にフォンが現れて今村に笑顔でそう尋ねて来た。今村は少し色々考えたが黙って口を口で塞ぐ。


「……い~な~……」


 フィトがそう言いながら桜の蕾のように可愛らしい唇に人差し指を当ててそう言うのを尻目に今村はフォンから口を離すと顎で別方向を指す。


「……余韻くらいちゃんと浸らせろこのバカ!もう……うっかりときめいた私がバカみたいじゃないの……」

「俺から見たら狂ってるから安心しろ。で、これを感じ取って味を占めようとする奴らを防いでね?」

「……まさしく顎で使われたわ……はぁ……いいけど……」


 神すらをも魅了する唇を指でなぞり、来た時同様音もなく消えるフォン。今村はそれを見てからフィトと華凜の手を取って自宅に飛び直した。













「さて、全員集ごぅぶっ……」

「お兄ちゃん!来たよ!クロノだよ!」


 子どもたちが通う幼稚園を決めたので召集を掛けようと思った今村に張りのある柔らかい何かが突撃してくる。


(……クロノ……何故、到着と同時に飛び付けるんだ……)


 少しでもズレがあれば避けられるくらい能力には差があるのにもかかわらず思いっきり顔面に胸を押し当てられながら今村は普通にクロノを引き剥がして今のことはなかったことにする。


「さて、今度こそ……あ、そう言えば……」


 このタイミングで何故かふと脳裏にゲネシス・ムンドゥスの3男神、タナトス、トーイ、イグニスのことを思い出した今村は遅れて現れた自称・ハーレム軍団の面々に抱き着かれたまま首を傾げる。


「……何だっけ?何か、面白いことに……最近、能力を特化し過ぎて色々忘れ気味だからなぁ……」

「なんじゃ?」


 取り敢えず近くにいる面々の中で一番顔が近くにあったサラを見て彼女に3男神のことについて尋ねてみた。


「……むぅ、仁が好きそうなことで、彼奴等……あぁ、子どもが出来「あ、それだ。捕まえないと……」た……役に立てたようで何よりじゃ。」


 サラが答えを返す前に今村は既に彼女のことは眼中になく、目の前に3男神を呼び出す作業に入っていた。


「おぉ……た、助かった……枯れるまで、絞られ……」

「うっ……眩し……」

「俺は……まだ、生きてるんだな……」

「……汚い物を見せないでください。」


 今村の召喚によって全裸で現れた3男神。甘酸っぱい匂いと梨の花の匂いがする中で出遅れて一番外にいたレイチェルが冷酷にそう言ってタオルを投げつけた。


「よぉ、随分な恰好……俺の方が大分アレだわ。退け。」


 面白そうな状態になっていた面々を見て揶揄しようとし、自分の方が大概なことになっていると気付いた今村はそう言って全員退けると言い直した。


「脱・童貞おめでとう。ざまぁみろ。あ、てめぇら猥談するから邪魔だ。どこかに行ってろ。」

「くっ……やばっ……」

「キモ……」


 今村を囲っている面々を見てタオルで覆った部分の一部が屹立するのを慌てて隠したタナトスを見て誰かがそう呟く。


「おい、キモいとか……まぁ仕方ない。」

「あ、アリスさん……」

「嫌よ!近付かないで!」


 全裸にタオルでアリスを見つけて近付いて行くイグニスからアリスを守るために集団リンチして怖かったと言いつつ再び集まり始める面々を退けて今村はタナトスとトーイに尋ねる。


「で、子どもは今何人?」

「そ、その前に……刺激が強い方が、大勢……引いてもらえませんか……?無理ですかね……?」

「いや、簡単。えーと……これ以上ここに居るってことはこいつらの裸体を見たくて居るってことに強制認て……ほら居なくなった。」


 蜘蛛の子を散らしたよりも早く消えて行った女性陣を乾いた笑みで見送ったタナトスとトーイはその場に胡坐をかく。


「子ども……2人です……男と女で……全身統制使っても……堪えきれなくて……」

「俺は、男が一人……」

「へぇ。ん~……」


 思ったよりまだ少なかったので今村はリアクションに困ってそのまま黙って元の場所に送還した。


「……微妙な感じの面白さ。……まぁしょうがない。高見東志の新作が出てたしそれを読んでテンション上げるか……」


 この後、今村はしばらく子どもたちの幼稚園が決まったことは忘れた。




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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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