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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十九章~次世代と共に~
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8.続いて訪問

「さて、いつまでも引き摺るな。いい歳してんだから。」

「……はい。」


 外見16歳の漆黒の目をした青年が外見22歳程度の妖艶な美少女を叱りつけて4歳程度の愛くるしい子どもを抱えている状態で今回来てみたライシャリア幼稚舎の前に着くとすぐに出迎えが出てきた。


「ようこそ。」

「あ、ダメ。媚びる所に置くとか子どもが碌な成長を遂げん。帰る。」


 盛大な出迎えを前にして今村はそう言い捨ててすぐに帰った。


「……まぁ、出迎えたんだし掛かった分の金は出してやるよ。」


 最後に顔と金を出して今村は本当に家に帰った。














「……じゃあついでだし引き続き別の場所に行くか。明神学院幼少部……」


 今村が名前を術式の中に入れて開こうとするとその手をザギニが引き、今村はザギニを抱え上げて目線を合わせ、話を聞く。


 するとザギニは心配そうにマキアを見ながら今村に尋ねた。


「何でママ、泣いてたの……?」

「あ?馬鹿なことしたからお仕置きした。飲み物を変な物に変えて俺に飲ませやがったんだ。だから仕返しに夢の世界でもっと嫌な物を飲ませた。」

「……じごーじとくじゃん……心配して損した……しかも実際に飲ませてないし、パパ甘い……」

「甘いよなぁ?」


 事実を軽く話し、娘に甘いと評された今村は口の端を吊り上げてマキアに笑いかける。マキアはその顔を見て震えながら土下座した。


「もうしませんから……これ以上は、止めてください……」

「ザギニ、許す?」

「んー……本当に反省してるの……?」


 ザギニはそう言って今村から地面に降ろして貰いマキアの顔を見る。


「してるみたい!」

「そうかそうか。じゃあ罰の上乗せはやめておこう。さて、そんなことより明神学院幼少部に行くぞ。ザギニ達皆が通うかもしれない幼稚園だから自分で判断するんだぞ?」

「はーい。」


 ザギニの言葉によってこれ以上の罰はないと判断したマキアは今村たちに続いて別の幼稚園へと向かった。




「……あ、どうも。お久し振りです。そちらのお子さんが……?」

「今村 ザギニです。神時歳で5歳……?見学に来ました。よろしくお願いします。」

「はい、よろしくね?この歳できちんとご挨拶で来て偉いねー」


 お久し振りと言われても知らないのでマキアに目配せで尋ねてみるとどうやらここにも元教え子がいるらしい。

 だが、特に印象にない名前を聞いても思い出す気もないので用件に入ることにした。


「えぇと、取り敢えず連絡したとおり異能者組に……」

「あ、はい。」


 ザギニが両手を上げて抱っこをせがむので今村はザギニを持ち上げて案内を受ける。その際に周囲の子どもたちがザギニを見て不思議な顔をしていた。


「……こちらになります。日馬くんのお子さんとか居ますけど……」

「へー、あいつ子ども作ってたんだ……そう言えばご祝儀あげた気もしなくもないな……」


 魔界の王になった前世での第3世界の神の眷属、第11族赤狼族筆頭の日馬のこととその妻になったエリナのことを思い出しつつ今村は少し笑った。


「……そういや、あいつ若干おっさんみたいになってきてたな。アッハッハ。エリナとかいう魔王の娘も老けて来てたし。」


 そんな感じでザギニを降ろし、自己紹介などをさせていると後ろから呆れたような驚いたような声が聞こえてきた。


「今村さん……子ども出来てたって本当だったんですねぇ……」

「老けたと噂をすれば。えーっと、まぁ魔王でいいや。よぉ。」

「……老けたって……俺の外見5年に1歳程度しか進まないんでまだ30歳行ってないんですけど……」


 後ろを見るといい歳の取り方をした20代後半の男性が濃い灰色のスーツでそこに現れ、それを見ると比較的年長の男の子が駆け寄って行った。


「にしても、やっぱ噂は本当だったんですねぇ……タナトスさんも寧々さんに約束守って?と言われて子作りしたとか……」

「マジ?面白そうじゃん。やったぜ、後で呼ぼう。」

「……変わらないんですねぇ……」


 外見も思考も変わらない今村を見てそう呟く日馬。彼は子どもが今日何があったのかを一生懸命に話すのを聞きながら今村に一礼した。


「すみません。色々話したいこともあるんですが……」

「あぁいい、いい。帰り……あ。」


 申し訳なさそうにしていた日馬が部屋の中心から発される呪術によって昏倒させられる。今村がそちらを見るとザギニが全員を倒してその上に足を置き、冷酷な目で何か言っていた。


「蟲どもが……私に気安く触るにゃ……」

「先生しか使いこなせない呪いの力!きゃー!しかも噛んだ後が可愛い!ザギニ最高!」

「何やってんだテメェら……」


 毒々しい闇が地面を這いながら学舎を侵食していく。厄介な敵と判断された日馬は優先的に毒にやられたのだろう。

 そんな状況の中でザギニに飛び込みタックルをして抱き締めるマキアと満更でもなさそうなザギニを見て今村は溜息をついた。


「どうしてこう面倒事を起こすかねぇ……まぁ確実に俺の要素か……でも俺はきちんと自分で処理してるし。」


 自分で頷いてそう言う今村。白魔法で片付けても良かったが、ザギニに自分で処理させることにして今村は倒れた日馬の周囲を心配そうにして見守る彼の子どもを見る。


「おー結構、期待できそうな子どもだ……まぁ俺は何もしないけど。でも上手くいけばお前のお父さんは越えられるだろうな。3年以内に。」


 子どもは目の前で父親が倒れたのだから今村の言葉などを聞いている暇はなく騒ぎ続ける。そんな姿を見てザギニが何故か子どもに対して怒った。


「……私でもあんまり構ってもらえないのに……せっかく、パパがお話してるのに聞かないなんて……信じられない。」

「オイ、あの呪いの映像の所為で変なこと言ってるじゃねぇか。どうしてくれるんだ。」

「あ、す、申し訳ないです……けど、実際そうだと思いますよ……?寧ろ、先生のことを無視してるのに、怒る程度で殺してないことを褒めてほしい位で……」


 マキアは今村に強くものを言えない状態でそう言った。それを見て今村は深く息を吐いて答える。


「何で俺の話を無視したくらいで怒られなきゃいけないんだ……俺なんか世界の最高神の話を全部無視して襲い掛かったりしてるのに……洗脳紛いの映像上映は本当に悪影響だったよなぁ……」


 今村の言葉にマキアは一応反論しておいた。


「ですけど……アズマくんと華凜ちゃんは生まれてすぐに先生を殺そうとしてましたし、サイフォンくんも先……ザギニ(私の子ども)が同じようなことをするのは嫌ですから……」

「……ま~何となく言わんとすることは分かったが……別にどうでもいいのに。あぁ俺は気にしなくてもお前らが気にするのか……」


 この話はここまでと言うことにしてザギニにこの幼稚園のことを尋ねてみる。すると意外と好評価を出したので一先ずここは候補に入れることにした。




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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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