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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十九章~次世代と共に~
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6.初手の見学終わり

「……あの、アズマくん……先生と手を繋いで嬉しくないなら私が手を繋いでほしいのですが……」

「え……?別に、いいよ……?」

「先生……お願いします……」


 今村がアズマと手を繋いで廊下を歩いていると祓がじっと今村の手を見てそう言うのでアズマは周囲から子ども扱いして欲しくないという思いもあり、今村に手を放してくれるように言った。


「まぁ、アズマはそういうお年頃だからいいとして……祓と繋ぐ意味が分からんのだが……」

「触れていたいんです。」

「……ボクを間に惚気るの止めてくれる……?」

「まぁしゃあないし後ろに下がっとくわ。」

「いえ、ですから手を……」

「相変わらずですねぇ……」


 見学中の今村親子を見て園長になった元生徒はそう呟きつつ施設の案内をしていく。その間今村はずっとアズマのことを気にするが、アズマはずっと祓のことを気にかけ、祓はほとんど今村のことしか気にしないという妙な三竦みが出来上がっていた。


「……つーかアズマ。お前他の子どもたちの代表的な立ち位置でここに来てんだからもう少し観察をしろっての……」

「え~……どうせ、何か欲しい物があれば自分たちで創るし……あんまり興味ないかな……」

「……思考が先生そっくりじゃないですかこの子……今回は拾ってきた子じゃないって本当なんですね……」


 擦れた発言に軽く頬を引き攣らせている園長に対して今村は何とも言えない笑みを浮かべるだけだ。


「まぁ、そうだな……俺もそんな感じだし……強くは否定できん。」

「いえ、結構違います。先生でしたら自分で創る……と言って、勝手に居なくならないでくださいよ……」

「いや、今俺別にそんなこと言ってないし自分の発言に勝手に落ち込まれても困るんだが……確かに自分で創るとは言っても自分たちとは言わないかなぁ……」


 勝手に凹む祓を適当に慰めながら移動していくと能力者の子どもたちのクラスであるアヤメ組に着いた。


「はい、じゃあ今から……?」


 園長が部屋に入ってこれからのことに着いて園児たちに何か言おうとした瞬間開いた扉の隙間からアズマは乗り込んで行き、全員をスタンさせた。


「……フフ。ボクの勝ち。ボクがここで一番!」

「この辺も先生と違いますよね?先生は集団を見ても基本的に自分の関心を惹く物が無ければ無視しますし……」

「何呑気なこと言ってんだタコが……」


 今村は勝鬨を上げるアズマの襟をローブで捕まえて引き摺り戻し、その場にいてスタンさせられた面々が自分が倒れたことに気付く前に白魔法をかけて溜息をつき、祓の頭を軽く星が爆散する程度の力で叩いた。


「アズマ、普通に自己紹介。フォンからできるって聞いて「呼んだ?」……別に呼んではいないが……」

「今村 吾郷アズマ神時歳で5歳!よろしくお願いします!」


 フォンが来るなりいきなり礼儀正しくなったアズマに今村は苦笑しつつ祓の手を取っていた手を放させてそこに割り込んでくるフォンを冷たく見る。

 フォンはそれに気付いて祓から奪い取った今村の手に腕を絡ませつつ今村を見上げた。


「何?」

「……折角のアズマの自己紹介がお前の到来による魅了の所為で誰も聞いてない。帰れ。後、何回も言うが魅力に対する障壁を付けて外に出ろ。」

「……最近冷たくない?……それと、仁以外のその辺の塵芥に気を配るのが面倒だからこのままここにいていい?」


 フォンの言葉に今村は話が進まないと軽く俯いて溜息をついて答えた。


「今日、帰って遊んでやるから……」

「えっらそうに……まぁいいわ。言質取ってるからね。また夜。」


 不機嫌そうにフォンは綺麗な舌を少し出して消えて行った。それによりこの場に平穏が訪れる。


「うっわ……は、天明先生より、美人だった……初めて見た……あんなのが存在、するんだ……凄いなぁ……記憶にも残らない……取り敢えず流石です先生。」

「何がだ……アズマ。もう一回自己紹介。」


 この時点で疲労感たっぷりの今村。アズマは寂しそうに手を握ったり開いたりしながら横目で今村の腕組み姿を残念そうに見る祓をちら見して先程行った自己紹介をした。


「は、はい。じゃあ皆も一緒に遊んでね~?」


 園長が色々なショックから立ち直ってそう告げると園児たちの多くがアズマに群がり、一部が祓の方に寄って来て抱っこをせがんだりする。


「え、あ、ちょっと……」


 誰も寄りつかない今村の方に助けを求める視線を向ける祓だが、今村はアズマの方を気にして祓を助けてはくれない。祓は普通にこの子どもたちを吹き飛ばしていいものか……と悩んだ。

 その間に子どもは自力で祓の胸辺りに飛んでそれを揉み、騒ぎ始める。


「思ったよりおっきー!ママよりおっきーのー?」

「せ、先生にもまだそんなに触ってもらってないのに……この……」


 殺気を迸らせつつアズマの方に気を配りながら本を読んで笑っている今村を見て、祓は一先ず今村の方へと向かった。


「先生……あの、胸を……セクハラされました……」

「へぇ。大変だったね。」

「……マキアが妖学校に行ってセクハラを受けた時は、お風呂で綺麗に洗ってくれたんですよね……?」


 祓の言葉に今村は本から不機嫌そうに顔を上げた。


「……だから何?気持ち悪いから死ねって?」

「そんなこと言う訳がないということくらい、流石に、分かりますよね?」

「……いや、あり得るだろ……」

「あり、得ま、せん。」


 断言する祓に今村は仕方がないとばかりに懐に手を当てると最近フォンから技術を盗んだ術式で記憶がない際に殺しにかかって来た祓の図を見せた。


「……これはっ……もう、怒らないって……」

「別に怒ってない……気持ち悪いから死ねって言ったことはあるという証拠を見せただけだ。あぁもう面倒な……」


 すぐに涙目になって本気で凹み始めた祓を見て今村は冗談冗談と映像を消して視線を感じ、振り向き、アズマと目が合った。


(……何をそんなに緊張して……?あぁ、そういう。)


 この後起きることへの予想はついた今村だが、一先ず見守ることにして目の前の祓に視線を合わせ、悲鳴に軽く目を細める。


「う、うぇ……また、触られたぁ……しかも、せんせの、目の前でぇ……」

「どんまい。」

「気に、しますよぉ……うぇぇえぇぇ……」


 割と本気めに泣く祓と何やら感動して手を開いたり閉じたりするアズマを今村は交互に見た後に祓に尋ねる。


「何か、やって欲しいことがあるなら「マキアと同じで、洗ってください……それと、今、ぎゅってして、頑張ってるから、嫌いにはならないよって……」……」


 割と図々しいなこいつ……と思ったが演技で泣いているわけではなく本人的にはかなりショックだったらしいのでまぁ子どもがやったことの責任は取らないといけないし……と了承した。


「まぁ、色々頑張ってるし多分、そんなに嫌いにはならないよ……?」

「…………あのー、これ、見学の意味あります?家に帰ってやって貰ってもいいですかね……?」


 変な物を見せられたと園長からそう言われて何の収穫も無く今村たちは白百合幼稚園から出て行った。





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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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