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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十八章~覚醒と創出~
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10.ゲーム開始

「その前に1ついい?」


 今村がゲームの内容を告げる前にフォンがそう言って手を上げた。


「何だ?」

「あのクロノって子も、愛情が無限だったことに着いてちょっと訊きたいんだけど……もしかして、ロリコンなの?思慕じゃなくて、思いっきり愛欲を掻き立てるようなことしたの?」

「あ゛ぁ?してねぇよ。死ねよ。」


 割と真面目に今村はイラッと来たのでそう答えた。フォンは眉間に皺を寄せてそれに応じる。


「……の割には、おかしな量なんだけど……」

「大体何だ無限って……思考放棄じゃねぇか。お前の能力の限界値なだけ……というのも何か多過ぎて嫌だな。エラーだ!」


 今村の反論にフォンは溜息をついた。


「……私の仁への愛情が、14。……別に狙ってないわよ?その尺度で測って今ここで寝てる子も、無限。……意味分かる?」

「お前はそれほど俺のこと好きじゃないってことだ……危ねぇな。」

「ふざけたこと言うからよ。」


 フォンのからの攻撃を軽く避けて今村は少し睨むと彼女はもっと不機嫌な顔で術を仕舞って今村に告げる。


「尺度1は、あなたの身代わりに地獄に堕ちたとして、あなたが仮に知らない女と幸せに暮らしてるのを見れば満足して笑いながら永遠の責め苦に遭えるくらいの巨大な愛よ。」

「嘘つけ。」


 間髪入れずに今村はその発言を否定し、フォンはムッとした。そして術式を起動させて可視式にするとまず今村に当てる。


「これがあなたの自己愛値よ。……ん?ちょっと概数で出すわね……」

「0.0000000000000000000000000000000000000000000000427?馬鹿な俺はそれなりに自分のこと好きだぞ?」

「……低過ぎよ!何コレ……勝手に最低値が変わってるじゃない……この尺度は幼児が蟻に対して持つ親愛感情レベルよ?」


 要するに気が向いた時は可愛がるが、飽きたら意味もなく殺したり水攻めしたりするレベルだ。


「何を……いや、合ってると言えば合ってるかも……」

「ほら、この尺度で私を映したらエラーになる!尺度を大きくするのを見てなさい……」


 フォンは若干怒りながら今村にその機器を見せながら数値を弄る。だが、今村の方は既に飽きていたので次に移らせた。


「もういい……そうだな……そろそろ始めるかな。」

「あんまりよくないんだけど……この話はまた後でね。それで?ゲームの内容は何かしら?」


 今村は別の、フォンにとってはえげつなく、達成できない条件を考えていたが今はフォンにイラッと来ていたので別の条件を課すことにした。


「……その前に、フィト。」

「な~に~?私が~先~?」

「うん。取り合えず言っておこう……お前、2日間術式とかの全ての能力を使わずに不眠で居続けろ。そしたら、成功。」


 フィトは今村の言葉に固まった。


「え、え~……?ね~お薬とかは~……」

「なし。自力でやれ。俺は近くにいないが計測器だけ置いておく。……意識が飛んでもアウトだから。」


 フィトは今村がいることで起きられているが、既に眠くなり始めていることを自覚し、軽く泣きそうになる。だが、頑張って堪えて言った。


「が、頑張るよ~……!」

「因みに、この範囲内から動くなよ?計測器がきちんと反応しなくなったらその時点で失格だから。」

「う、ん~……」

「よし、じゃあこの辺にドルミールの花を植えて、『雲の欠片』の準備も万端にして、後は……眠くなる音楽をかけつつ、目の前では意味もない難解な講義を行ってもらうことにしようか……」


 強力な麻酔薬の原料で、それ単体でも強力な睡眠誘発を行う花を植え、今村が考える中でも移動できる物の最高峰の寝心地を誇るベッド。そして安眠を推進する音楽に眠気を誘発するようなローマ数字とアルファベット、それに関数の入り混じった黒板で優しく低い声を出して解説する学者を出して今村は微笑んでフィトから目を離す。


「さて、フォンは……取り敢えず以下のことを実行してもらおうか。」


 フィトから目を離した今村はフォンにそう言って空中に文字を浮かべた。


「……恋人関係の全面撤廃……神と人としての関係性の排除、及び隷属化……」

「嫌だろ?じゃあ諦めてもらおうか……」


 当然のように拒否されるものだと思っている今村はフォンが軽く激昂し、攻撃をして、下手をすれば殺されかねないことまで考慮に入れてそれでも軽く笑いながらそう告げる。


 そしてしばらくの沈黙の後にフォンは頷いた。


「……分かったわ。」

「だろ?だか……ら?は?何て?」


 拒否されなかったことを受けて今村は思考がわずかに止まった。その間にフォンは勝気な笑みを浮かべる。


「隷属化、すればいいじゃない……私のこと、見下せばいいじゃない……でも、その代わり、あなたの愛を貰い受けるから……」

「……え、いや、ちょっと……」


 ここで能力による子どもの付与です何て言ったら何か大変なことになりそうなので今村は困った。能力の高い旧神がこんなふざけた申し出を受けるわけがないと高を括っていたのだ。


「ちょっと待てよ……?あー……マジックルーム。」


 今まさに頑張っているフィトや、乗り気になっている他の面々に聞こえないように自分とフォンがいる空間だけを切り取って黙っていたことを告白することにした。


「何?……え、もしかして……もう?いきなりなの?ここで?初めてが外……?しかも空間は切り取られてるけど、そこに人がいる状態で?」

「違う。いや、隷属化とかそういうの……お前はプライド高いし絶対しないと思ってたから、大ごとになる前に先に言っておこうと思ったことがあってな……」


 今村の言葉にフォンはギクッとした顔をして小声で答えた。


「何?……もしかして、不能なの……?」

「殴るぞ?」

「いや、ちょっと……さっきまで色々聞いてたから……下手したらそうなんじゃないかって思ってて…………それはいいわよ。それじゃないなら何?初めてだから上手くできるかどうか自信がないとか?」

「……確かに初めてだが、十二の難行の時に大概なことはやってのけてるから上手な方だとは思うが……それはさておいて、子どもの件だが……」


 フォンはそれを聞いて契制約書を今村に見せて冷たく言った。


「これがあるから、今更ナシとか言わせないわよ?」

「いや、別にいいが……」

「だったら何?」

「……生殖活動を伴わない術式だけの子作りだが、それでもさっきの条件を受け入れるのか?」


 今村の言葉を聞いてフォンはしばらく固まって、やっとの思いで一言絞り出した。


「……はぁ?」

「いや、絶対無理だと思ってたから。で、万一負けても問題ないように保険を掛けといたんだよ。そしたら無茶を飲みやがったから……」

「………………うー……ん……そう、だったわね……あんた、人じゃなくなったからそういうこともできるようになってたんだった……」


 蹲ってぶつぶつ何かを言い始めるフォン。今村は目の前の滅世の美少女はおそらく現在の自分と大して変わらないレベルの力を持っていると見積もって戦闘に入った時のことを考えて警戒を高める。


(……ブチ切れられても、勝てる。……問題は、その回復のためにかなりの時間を費やす必要がありそうってことだ……原神を殺して滅したいからそういうのは……あんまり歓迎しないな……)


 そう思っているとフォンは何かを納得して頷き、立ち上がった。


「……分かったわ。……じゃあ、部下とか、下に見るまでならいいけど、隷属化は流石にダメ。それ以外はその条件で飲むことにして、どうかな……?」

「え、マジ?」


 旧神の言葉に今村はどうするか考えることになった。





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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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