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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十八章~覚醒と創出~
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6.御転婆様方

「にゃにゃなjかおうらおおにゃになやかやぱらぱ……」

「落ち着け。」

「今村さん!イヴさんが懐妊って何ですか!?うにゃあぁあぁあああぁっ!私も子ども欲しい~!」


 ゲネシス・ムンドゥスの女神たちを引き連れてやって来たミーシャが来るなり発狂した。今村が呼び出した4人組の人事異動に気付いたことで今回のことが発覚したらしい。


「落ち着け。」

「落ち着く!?無理ですよ!何で罰だと思って私たちが離れてる間に、イヴさんだけが!?うわぁぁあぁぁあっ!」

「……うるさいな。『自聴他黙』」


 五月蠅いのでミーシャの声を聞こえないようにすると今村は放心状態だったり混乱状態だったり色々な状態異常に掛かっている面々を見た。


「……あ、先生…………………………精子ください。」

「祓、お前今、割と最悪なこと言ってるからな?お前はそんな子じゃないだろうに……」

「……いいじゃないですか。だって、私だって、先生の子ども欲しいんですもん。先生とえっちなことしたくて妄想ノート増え続けてるんですよ!」

「……シテないからな?」


 暴走気味の面々に今村は説明した。理解してもらえなかったので懇切丁寧に術式の説明とイヴの体内断面図のようなものを映像化して見せた。


「……分かった?」

「意味は分かりませんけど、何となくわかりました……」

「ね~……それで~いいから~私も~これに~入れて~?」


 木神フィトがそう言って種を差し出してくる。今村はそれを普通に拒否したがただ拒否しても続けて交渉が始まって面倒になるだけなので到底不可能だと思われる条件を課すことにする。


「はいはい。じゃあフォンっていう風神の封印場所を見つけられたら考えるよ。まぁ無理……んむっ!?」


 今村の発言にフィトが眠そうにしている目を開いて今村の唇に飛びついて立ち上がった。


「『プリンス~キッス~』!」

「フィトちゃんが……立った……!」


 シェンがいつも宙に浮いて横になっているフィトが立っているのを見て驚愕の声を上げる。ついでに今村も驚いたが、その間に何名かがキスをしてきた。


「えぇい!びっくりしたが……何しやがるんだボケぇ!」

「お姉ちゃん頑張るよ!」

「……こんな凄いチャンス……逃せないわね。」

「めくるめく官能の為に!マキア、イっきまーす!」

「ま、まぐれで、当たるもんじゃのぉ……妾も行くぞ!」


 「プリンスキス」で性能を上げた5人が神速で移動を開始した。今村は情報統制でフォンが何者かもわかっていないのにどうやって何をするんだろう……と思いながらそれを見送る。


「……ま、考えるだけだから別にいいや。つーことで全員仕事に移れ~はい解散解散。」


 諦めの悪い者たちもいたが一先ずは諦めて引き下がり、全員がいなくなったところで一人になった今村は再び口を開く。


「……サルグルア。……いや、違うな。ウッディータ。」

「ご主人様、御前に。」


 目の前に煙の塊が現れ、人型を取ると跪く。今村はその男に命じた。


「御転婆共の面倒を見て、危険なことをしてたら引き戻せ。」

「はっ!」


 今村の命を受けた煙の塊は霧消し、消える。それを見送った今村はフォンの封印の解除式に着いて考え始めた。


(……おそらく、12か国連合隊によって俺の死後に捕まったらしいからな……殺すことも出来ない相手を封印した場所は膨張した所為でどこだか不明。ただ、封印術式はおそらく言語コードだ。……つーか、解けるな……)


 言葉自体は簡単だが、音と魔術によって変えなければならないらしい。しかし今村にとってその程度のことは朝飯前どころか朝に目を覚ますより簡単だ。


「何か解除方法が間抜けだけどこれ、当時の人達からすれば大まじめだったんだろうな……」


 今村はそんな感想を抱きながら解読班に回っている瑠璃とユリンの所に戻ろうかと思う。


「ご主人様。」

「あん?」


 だが、そこに煙の魔神がやって来た。彼は跪きながら今村に報告する。


「御転婆様方が、フォン様の居場所を突き止めました。」

「っ!?あ?何だ?」


 今日はやたらと驚くことの多い日だな……と頭を抱えて思いながら今村は再び煙の魔神であるウッディータに説明を求めた。


「どこだ……?第1世界の……」

「いえ、第2世界のここから直線状にあるすぐ近くにです。」

「んだとぉ……?」


 フォンは旧神で、現在の世界の始まりの前にいたこと。そして、非常に強い力を持っていることから勝手に第1世界にいると思っていたが、この近くにいると聞いて今村は何と言っていいのか分からない感情に駆られた。


「……あ~……何か、絡繰りが見えてきた気がする……もしかして、封印って現在も移動中?」

「はい。」

「成程……正体不明の扉って……」


 今村はつい先日、死にかけている状態なのに五柱神どもが厚かましく魔力を寄越せと言っていたことを思い出して溜息をついた。


「……あ、思い出したらイライラして来た。理不尽なことしよう。取り敢えずお前は俺を案内しろ。」

「畏まりました。『シェムハムフォラッシュ』!」


 空間が裂けると、今村の目の前には上部に3つの透明な宝玉が埋め込まれ、本体は鈍色に光る扉があり、その前には得意げで興奮している女神たちがいた。


「見つけたよ!」

「……おう。」

「ご褒美!ご褒美!」

「ちょっと待て。……今から、まだ色々あるからなぁ……」


 アリスが今村の腕を取ってその豊満な胸を押し付けながら逆の手で扉を指しつつ移動する中、今村は邪悪に嗤う。


「っ!何をする気なのかしら?」

「そりゃナニに決まってるでしょう!五月蠅いんで黙っててください!先生早くシテください!」


 白崎が警戒するも、マキアによってそれは遮られる。そんな中で今村は呼び出した煙の魔神に身の回りを囲わせて咳払いをして声の調子を整えるとゆっくりと口を開いた。


「『グレイプニル』。」

「やん!緊縛プレイですか!」

「この……どこまで能天気なの!?こんなの、何か変なことしようとしてるに決まってるじゃない……!」


 銀色の鎖に拘束されてもきゃっきゃしているマキアに白崎から鋭い突っ込みが入るが、それに地獄の女帝である赤竜帝、サラが不思議そうに返した。


「?何を言っておるのじゃ?役に立てるならいいじゃろ。」

「……サイコね……」

「同感だ。まぁ安心しろ。別段危険なことはしない……」


 白崎に同意した今村は全神モードに入り、扉の前に立つ。


「さて、『飛髪操衣』。」


 そして扉の小さな窪みにローブを捻じ込み、形状を変えて扉の上部にあった一つ目の宝玉が緑色に光る。


「次、『呪言発剄』……」


 次いで今村は声を幾つもの音にして発しつつ様々な魔力を込める。これで2つ目の宝玉が黄色に光った。


「最後、ここに在る者たちの最も強き感情を全て食い尽くすことで以てこの封印を解かん!【解放】……」


 瞬間、全員から膨大な愛氣が飛び出して、宝玉に吸い込まれて最後の一つが深紅に光る。それを受けて鈍色に光る扉が金色に輝きだして開いた。


 そして、中から薄いライトグリーンの長髪をし、透明度の高いエメラルド色をした髪留めで髪の一部を上げている滅世の美女が現れた。


「……久し振りね。仁……」


 彼女は妖然とした笑みでそう言い、後ろで崩壊する扉の前に降り立った。




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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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