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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十八章~覚醒と創出~
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4.古代の世界

「……やっぱりか。」


 今村はゲネシス・ムンドゥスの今村が生まれた星と第2世界の地球を比べて大陸等が大まかには合致していることを知り、コピーしてきた文献を見てそう漏らした。


「どうしたの?」

「……これを見ればわかる。」


 そう言って今村は半透明にしてある地図と文献を被せて瑠璃に見せた。そして瑠璃は首を傾げる。


「ん~……これは?」

「過去、現在の状態になる前にずっと繰り返された世界のある惑星の……俺らの視点で一番栄えていた時代の大陸分布図だ。そして上に載せているのが現在もある第2世界の地球。そしてその上が俺がいたゲネシス・ムンドゥス。」

「……半島とか、島とかが大分違うけど……大まかには一緒かな?」


 瑠璃も今村と同じ感想を持ったのを見て今村は頷く。


「過去のやつは流石にこのコピー自体が本物でもないし、原神でも通れないような時間遡及の結界陣があって行けないが地球とゲネシス・ムンドゥスの星の構成は大体見たが、ほぼ、一致した。……まぁ、魔素とか神力とかの違いは結構あるがな……」


 その後も今村は色んなことを推測しながら話していく。そうすることで自分の考えをまとめるのだ。


「……フム。じゃあやっぱり古代世界における日本とか言う島国に俺のルーツがあるみたいだな……ゲネシス・ムンドゥスで言えば自治区。」

「ボクもそっち調べた方がいい?」


 瑠璃の言葉に今村は首を横に振った。


「いや、過去ばっかり考えても無駄になるかもしれない。ユリンと一緒に新術の開発を頼む。」

「はーい。」


 瑠璃は元気よく返事をして現在は食事中のユリンの方に移動していく。それを少しだけ見送った後、今村は解析に入ってある固有名詞の時点で止まった。


「……風神、フォン……?何か、強烈な聞き覚えが……いや、確かに……多くの人名の中であっただけかもしれんが……」


 古代世界の日本の興隆から破滅までの歴史について書いてあるそれを見て今村は首を傾げる。


「世界最強の、桁違いの神である風神フォンを手に入れたことから科学大国ではあるものの魔導国としては後進国だった日本は急速な発展を遂げる……その一極集中に対して諸外国から批判を受け……フォンに対する保障など……?」


 頭痛が強くなっていく。だが、激しい頭痛でも今村は目を動かし、手を止めることはない。


「……フォンが反乱……日本人の男と……?名前は……は……?俺……?」


 風神、フォンはエレンホスによって管理されていたが、ある時今村と名乗る青年が現れてフォンを連れて管理棟を破壊したらしい。


 文字だけだが、読みは完全に一致していた。そして管理棟の中にいたはずの人物についても非常に今世で見覚えのある人物の名前が挙がっている。


「イヴ……?エレンホスの、管理人で……超能力者……?イヴって、あの……?」


 唐突に、イヴと初対面で出会ったの時のことを思い出した。あの時、何故か彼女は自分の名前を知っていた。

 そして会った時から好感度が果てしなかった。


「……覚えて、るのか……?いや、これが俺と決定したわけじゃ……」


 読むにつれて、何故か知っている情報が頭の中を過る。


「サイセツ……彩雪だな……あの時は陰陽道の八将神の歳殺って知らないで適当に当ててたんだが……あ、やっぱりこれ……」


 誰かと同一化している恐れもあるが、ほぼ自分と言うことで間違いないようだと確信すると今村は意識を切り替える。


(知ってるなら話は早い。どんな黒歴史が混じってるのかも知らんが……どうせ俺なんだし、まぁガンガン行こうか。)


 急に変な意識が生まれて古代の文字も何なく読めるようになり始めた今村はそれを統合して読むスピードを上げてメモを取る。


 そして、8時間ほどかけて今村はそれを読み終えた。


「半端ないね……フォン……か。まぁ初めて原神を見た時に魅了されなかった理由もこの辺にあるのかな?嫉妬深かったらしいし。」


 全身の力を抜いて椅子に凭れ掛かると一つ伸びをして自らの体を探り始めた。


「……ま、意識をすればあっという間だな。……つーか俺、全身統制とかしてるけど以前の『憎禍僻嫌』にしろ今回の術にしろ自分に掛けられた術に気付かな過ぎるだろ……やっぱこれからは敵意とか害意だけじゃなくて色んな所にも目を向けるべきだな……能力にも少しゆとりが出来て来たんだし。」


 今村は自分に科せられていた術をはずしてそれを適当な所に放り投げてどこかの世界の誰かが大変なことになるだろうな……と思いつつぐでっとした。


「あ~……悪魔神の神核が沁み始めた~……つ~か、色々~」


 堰き止められていた何かが蠢く気配がして今村の体の中を這いあがるような感覚がある。すると今村は非常にやる気がなくなり始めた。


「……まぁ、でも……うん……動くけど……何か『怠惰』とは違う感じでの億劫さを感じるね……っとぉ……!」

「……?どしたの?ご飯食べてないみたいだから持って来たけど……」


 瑠璃が食事を持って今村の前に来ており、今村はその顔を見て少し動悸が激しくなった。


「お前、可愛いな……ビックリした。」

「へ?……え?な、何……?急に……」

「いや、ちょっと色々封印されてたのを外してみたから驚いた。……うん。こんな感じでピントを合わせてある程度魅力を……」

「え、ちょ……ちょっと!ボクを可愛く見れるならそのままにしてよ!」


 瑠璃は良く分からない術式を今村が組み上げるのを見て止めに入るが今村は無視して術式を続ける。


「いや、襲いかねないし……」

「ボクは大歓迎なんだって!えぇい、流石に恥ずかしいけど、脱ぐか……?でも痴女じゃあるまいし……」

「いや、目の前にいたのがお前で良かった。……恥知らず達なら攻め時と判断した瞬間脱いでただろうし……よし、相手に応じて魅力に対するレジストを設定する術式を組み上げた。」


 今村の言葉に瑠璃は落ち込む。


「うぅ……こういう時にパッと動けないからボクは泥棒たちに仁を持って行かれるんだ……ボクが一番最初に好きになったのに……」

「ん~……まぁ確かに若い頃は過ちを犯しかねなかったからなぁ~……何かもう一押しあればお前と結婚してたかもね。」


 その言葉に瑠璃は更にいじける。


「ボクの馬鹿……でも、今から頑張るもん……あ、もうすぐ面白い術式が出来そうだよ。」

「ほう。なら何かあげないとな……」

「キス!ディープなの!仁から本気でされるとすっごい気持ちいいって評判だからさ。一度本気でやって欲しかったんだ!」


 今村は無言になった。瑠璃は期待した目でこちらを見ている。その上、遠くからこちらも期待しているユリンの目が見ている気がした。


「……まぁいいけど……どこまで?」

「やった!……どこまで?」


 瑠璃が喜び、ユリンがこちらにやって来る。そして瑠璃は今村の発言の後半に首を傾げた。


「唾液を変換するとか、舌をどこまで伸ばすとか……」

「一番気持ちいいの。」

「あ、あの……そこまで、あぶのーまるじゃないもので……お願いします。」


 この後、約束通り面白いもので、更に強力な術式だったので今村は二人が満足いくように色々してから再びゲネシス・ムンドゥスへと戻って行った。




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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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