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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十八章~覚醒と創出~
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1.ちょっとした問題

 完全回復を果たした今村は困っていた。一先ず大量の重要書類を片付けて適当な場所に置きに部屋から出ると挙動不審な人物と目が合う。


「にゃうっ!お、お兄ちゃ……ぅ、あ……ごめんなさぁぁあいっ!」

「何だ?クロノか……最近避けられ気味だが……」

「……あ、お父様!天明さんから預かり物です。」

「……飯か。」


 今村の言葉に食事を運んできた百合は頷いて言う。


「避けられてます……よね……何か、されたんですか……?」

「いんや、特に。」


 ゲネシス・ムンドゥスにいる面々は最近今村を避け気味だが、それは別に彼にとってどうでもいい。


 問題は、


「……これ以上普通にやって強くなる方法を俺は知らないんだよなぁ……」


 これだった。困りながら百合と一緒にやって来たキバと食事を開始するとキバが口を開く。


「信者を集めて信力を集めるのとか「論外。」……愛の奇跡とか……「頭おかしいんじゃないのか?」……手っ取り早いと思うんスけどねぇ……」

「気持ち悪いのは却下。つーか、それは俺の力じゃないからゴミ。所詮他人頼みの、自分で得た力じゃなければ土壇場で裏切る。」

「……もうちょっと他人のことも信用してあげたらどうッスかねぇ……」


 キバの手っ取り早い、その上かなり強化できる案をバッサリと切り捨てて今村は溜息をつく。


「……情報規制の最大になってる部の閲覧に行くか……れぐ……【観測者】を誤魔化すために何人か連れて……」


 今村はあまり会いたくないが、治療の礼も兼ねて多少値が張る物を土産に持って【清雅なる美】、【精練された美】、【無垢なる美】の3柱に会いに行き、その中で都合が付きそうな者を連れてアカシックレコードへと行くことにした。


「ん~……じゃ、俺は鍛えることにするッスね。少なくとも負の原神くらいには強くならないと正の原神との戦いの時に唯の足手まといにしかならないのを実感したッスから。」

「ん?……あ~……まぁ、そう。頑張れ。……アレ。対人戦をちゃんとやっておいた方がいいぞ。お前その形になってからの経験が少ないから、大勢の相手と色んな戦いをした方がいい。」


 今村はそんな感じに適当なことを言って食事を瞬喰らいで片付けてから別世界へと飛んだ。


「……また、今日もやるッスか……?」


 今村の気配が完全に消失した後、キバは沈黙を保っていた百合に少し心配げな顔をしてそう尋ねる。すると、百合は頷いた。


「はい。……お父様の、お役に立たないと……勿論、私の心からお手伝いしたいという思いですが……家の機能的な問題でもそろそろ支障が出て来そうなので……」


 そう言って百合は見ないようにしていた大量の書類に目を向ける。それは恐ろしいほど強固な術式が掛かっており、更に外部に対する防衛陣の所為で禍々しいオーラを放っていた。


「……でも、座学で……」

「実学が必要なんですよ……そのために実践は不可欠です。……協力、よろしくお願いしますね?」


 百合の言葉にキバは項垂れながら頷いた。


(……正直、この人本能的に急所を狙ってるから嫌なんだよなぁ……ご主人の娘さんだから邪険に扱うことも出来ないし……やたら強くなるスピード速いし……)


 自分より強くなられたらどうしよう……そんなことを思いながらキバは食事を終えて百合と一緒に訓練室へと消えて行った。











「……お前ら、用事があるなら帰っていいよ?いや、本っ当に大したことじゃないし、あんまり構えないから……」

「でも、ちょっとは構ってくれるってことだよね?」

「こ、これ……図書館デートという物ですよね……緊張します……」


 今村は【清雅なる美】と【精練された美】を連れてアカシックレコードに来ていた。【無垢なる美】に関してはこの2柱が来ると決まった時点で誘うことを止めている。

 因みに、【無垢なる美】は今村に礼を貰った時点で何かあることは察していたが、治療に当たって少し色々と満足することをしていたので今回は【精練された美】の瑠璃と【清雅なる美】に譲った。


「デートねぇ……デッドにならなきゃいいが……まぁそんなことはいいや。取り敢えずついても俺が何か言うまではこの面被っててくれ。」

「ん?……まぁ、何かあるみたいだし……いいよ。」

「これでいいですか?」


 二人は素直に受け入れ、狐の面と鬼女の面を被ってくれた。それを見て今村は頷いて唱える。


「ありがと。『アクセス』。」


 全身を精神化させた今村たちはアカシックレコードに向けて移動し、すぐに脱走を試みているアカシックレコード館長と鉢合わせする。


「……またしても!」

「働け。」


 露骨に顔を歪めて逃げられずに今村に捕獲される【観測者】ことアカシックレコードの館長、レグバ。彼を連れて本館に行くとそこでは大規模な捜索班が結成されていた。

 そして、捕まっているレグバを見ると解散し、その中で責任者らしき女性がこちらに歩いて来る。


「秘書ちゃ~ん……見逃してぇ……」

「ダメです。……【魔神大帝】様、ご協力ありがとうございます。館長。お仕事の方に戻っていただきます。」


 引き渡しを求める秘書に無駄な抵抗を行うレグバ。彼は抵抗するように見せかけて秘書の胸などへとボディタッチをしており、秘書に不快な顔をされた。


「今のことは奥様に御報告させていただきます。」

「許してよぉ~……軽いお茶目じゃないか~」

「まぁその辺は置いといて、ちょっといいですか?」


 今村がそう切り出すと秘書がレグバから警戒を逸らさずに目だけを今村に向けて尋ね返した。


「何ですか?」

「いや~……ちょっと、禁書を閲覧したくてね……」

「ダメダメ!ぜぇったいダメだね!僕を逃がしてくれなかったことがまず第一の理由。次、君にそれを見せるのは危険すぎる。」


 今村が続きを言うより前にレグバが今村の言葉を却下する。秘書はそんな感情的なレグバを冷ややかに見た後に今村に答える。


「……館長の理由、前者は戯言ですが、後者は我々としても同意致します。禁書は我々が観測した物の中でも現世に対して強い影響を与えてしまう可能性がある物ですので、あなたのような存在値が非常に大きな方に見せるのは……」


 秘書も拒否の意を示したとみると今村はお面を被っている二人にそれを外すように合図し、そして念話でこう言わせた。


「ぐはっ……ま、まさか……生【清雅なる美】と……生【精練された美】……っ!こ、これは辛抱たまらん……」

「私たちも、禁書を見せて頂きたいのですが……」

「ぐっ……」

「何を言おうとしているんですか館長?ダメに決まってますよ?」


 【清雅なる美】の言葉に思わずOKを出しそうになるレグバを非常に冷ややかな目で秘書は睨む。今村は非常に不本意な手を使うことにした。


「【闇玉】……弱化【χモード】……」

「ひぃっ!にゃ……にゃにをぉ……?っ!っ!こ、こんにゃお……」

「……何が……?」


 突如として顔の部分を闇に包まれた今村と秘書。【清雅なる美】がレグバを説得している間に【精練された美】が今村の方を見て不思議に思うが、彼女は今村に任されたレグバの説得に移り、そこから目を離す。


「見せて、くれませんか?」

「わ、わたしはぁ……っ!こ、こんにゃのに……屈しない……!せ、責務が……」


 闇の中で何やら攻防があるが、それより早く外にいるレグバが陥落した。瑠璃と【清雅なる美】の上目遣いにやられたようだ。


「ほら……君の上司は良いって言ってるんですよ?君には責任はない……君は秘書。責務は館長のサポート……なら、あなたがすることは……?」


 この後、禁書のエリアが解放された。




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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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