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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十七章~帰郷~
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18.圧倒的不人気

「……あれ?そう言えば俺……キマイラ何処に置いたかな……?」


 再会を祝したパーティの翌日、今村は起き抜けに首を傾げた。そして仕方がないので適当にお取り寄せしてみる。


「……お、見っけ。」


 今村は一切喋らない人形のようになっているライオンの鬣のような茶髪のヘアスタイルをした筋骨隆々の2M程の精悍な青年を捕まえた。


「……一応、成功?……氣源を入れて……「……フハハハハ!殺され」うん。大丈夫っぽい。……これなら。よっと。」


 今村は一度青年を起動させた後、五月蠅かったのですぐに動かすのを止めて目の前にもっと強くなりたいと訴求して来たペット中で、個体としての限界に立っている面々を呼び出した。


「はーい。皆さん今から強くなってもらいます。……その際に、現在の自我がなくなることは了承済みですが、いいかな?」


 極楽鳥などの鳥、銀狼族のような獣、そして人型の魔物たちはその首を縦に、スライムは触腕を、その他の者たちも何かしらを動かして賛同の意を示す。


「じゃあ、これから合体するけど……何か要望ある?例えば名前とか……ふむふむ。俺の牙として頑張りたいからキバって名前がいいの。そう。後、人型の雄になりたいのね。……金髪、細身の筋肉質……目はグレー……はいはい。形質変換は自在にできる……まぁその辺は自力で頑張れ。大体要望は通した。んじゃ……」


 今村は大規模な術式を行使した。その際に自身の体の状態が変わり、ペットたちが光りの中に消えて行く中で今村は自分の体を見回した。


「……?俺の体も変わるな。『全神モード』とかいうのか……まぁいいや。」


 何か視界が少し増え、額の辺りに目が出来たらしい。その他にも右目と左目の色が異なる金銀のオッドアイになったり、皮膚が極小の鱗になったりと色々あるが特に気にしないことにして鏡を砕くと今村は術式を続ける。


 すると、一際大きな光が放たれて収束した。


「……出来たかな?」

「ご主人!出来たッスよ!」


 光の中から現れたのは金髪にグレーの目をした細身の筋肉質な体を持つ若く軽薄な感じの美男子だった。その頭には金色の狐耳が乗っており、2本の尻尾が楽しそうに揺れている。


「……何かアホっぽいな……」

「うわ、酷いッスね。まぁいいッスよ。」


 微妙に残念系の香りがしたのでそう告げるとちょうどいい所と言っていいのかよく分からないが、外に敵性反応を示す巨大な氣が揃ったのを確認した。


「……ん?何か見覚えのある……あぁ、あいつらか。」

「どうするッスか?」


 キバは最初の任務と言うことで張り切って今村に尋ねる。今村は頷いた。


「皆殺しだ。」

「りょーかいッス!」


 今村は自分の家が傷つかないように外に出て出迎えることにした。その際に動かないキマイラを見て少し思案する。


「……ま、こいつの試運転にも丁度いい。持って行くか……」


 少々過剰戦力かな……と思いつつも今村はキマイラを適当に持って接敵地点を割り出してその場に飛んだ。

















「……来ました。」

「いいかい?相手は菫さんたちを一瞬で洗脳した手練れだ。最初から本気で行くよ。」


 神野がそう言うと目の前に今村、そしてキバとキマイラが現れた。


 今村は酷薄な笑みを浮かべるとともに優雅な動作で一礼する。


「ようこそ。……今なら、まだ見逃してさしあげましょう。来るなら、自殺届けにサインしたと見做して……皆殺しです。」


 今村は全員が退く意思を持っていないことを確認したうえで笑いながらそう告げる。だが、その言葉に幾人か揺らいだようだ。


(……意志薄弱かよ。まぁいいけど……そんなことより。あれと全員デキてるのか?ならちょっと面白い案が……幾つか……)


 揺らいだ様子を見せる彼女たちと完全に剥き出しの殺意を向けている神野に対して今村は「恋愛視」を向ける。


 すると、細い、極々細い赤い糸が全員から神野に、そして今村の目の前にゆらゆら相手を探して彷徨っているかのように見える赤い糸が何かに阻まれて一定の距離で弾かれている。


「……ウザってぇ……消えろ!」


 それらを認識した今村は苦々しく巨大な不快感を覚えて「赤糸繰り」の能力を以て赤い糸を消し去りにかかる。


「チッ……まだ消えねぇのか……まぁいい。死ねば、もっと完全に弄り回せるしな……今度は欠片も残さねぇ……エクセラールの魔法技術は世界一ぃっ!」


 目の前から赤い糸が消えないことを見て不機嫌になったが、気を取り直して今村は目を変え、戦闘態勢に入る。


「さて、勧告はした……五秒以内に立ち去らなければ敵と見做そう。」

「……話し合いは、できないのかしら?」

「敵意を持ってる奴らと話し合いしても結局は同じ末路だ。ならさっさと片付けたいんでね。」


 今村は神野を見据える。司令部の彼は、彼だけはやる気満々だった。


「今村さん……と言ったかな?」

「面倒だからさっさと終わらせたいんだが?いいからどこか行くか殺されに来るかしろよ。俺はまだやることがあるんだよ。つーか5秒既に経過してるからもういいや。キバ。殺れ。」

「ウィッス!」


 キバが戦闘態勢に入るのを見て相手も合成していく。五行女神としてクロノの姿に、天地女神としてマキアの姿に、そして陰陽女神としてアリスの姿になると簡単に彼女たちは合図をする。


「じゃあ私はあの筋肉の人を。」

「……え、私があの大きな者を相手にしたいんだけど……何か見ててすっごい不快感がこみ上げて来るし……」

「あれ、クロノもあの人大っ嫌いで殺したいんだけど……」


 全員の目の敵にされているのはキマイラだった。因みに今村はそんなキマイラの起動をしている。


「……このくらいの出力で。」

「グハハハハハ!うぬ?何故、我が【魔神大帝】の傀儡に……」

「黙れ雑魚。ゴミは大人しく黙って働け。何かテメェは大人気だから俺はサボることにする。まぁ何かあったら俺を守りつつ戦え。」


 今村の命令により彼は黙って敵を見据える。瞬間、女神たちの敵意がキマイラに集中した。


「……あーもう。仕方のない人達ですねぇ……じゃあ私はあっちの金髪の人にしますよ……」

「クロノ、私があの敵を……」

「アリスお姉ちゃんに神野さんから一番褒められそうな敵をあげるよ。」

「……いや、何か……その、あの人とは戦いたくない……」


 そんなやり取りを見て今村は苦笑する。


「圧倒的不人気な俺は仕方ないから引き下がるよ。良かったな人気者。流石は元正義の味方だ。……まぁ今は【世界の敵】の哀れな傀儡だがな……」


 今村はそう言ってキマイラの言動の縛りをなくした。


「不人気……じゃないよ……?寧ろ、戦いたくない理由は……」


 アリスが最後まで言葉を継げるより前に封印から解放されたキマイラが呵呵大笑を上げる。


「グハハハハハ!アリスよ……我の妾にしてくれる……そして、機を見て絶対に貴様を殺してやるから覚悟しろ【魔神大帝】!」

「絶対に許さないわ……」

「うるさいなぁ……死んでよ。」


 憎悪の感情を剥き出しにしつつキマイラに対して武器を取る二人、彼女たちのことはどうでもいいとして、今村は適当にキバとキマイラの能力を試す。


 そして、解析した後は神野がウザいので二度と係わらないように少し虐めた後に全員の記憶を弄ることにした。


(……まぁ取り敢えず、キバの方はこの程度の相手になら負けんだろ。キマイラはどうか分からんが……)





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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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