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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十七章~帰郷~
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11.秘密基地バレる

「あ、瑠璃……」

「ひぃぅっ!ご、ごめんなさぁあぁいぃぃっ!」


 研究室に戻った今村は瑠璃に声をかけてもの凄く逃げられた。


「……まぁ別にいいんだけどさぁ……」


 逃げられたと言っても生活居住区として創った場所から研究室に移動されただけの話なので特に気にしないことにして今村はこの部屋にある自作のソファに腰かけた。


「さて……そろそろこの世界の用も済んで来たな……オロスアスマンダイドは瑠璃が大量に無償提供してきたし、瑠璃にあの術式もかけた……」


 そう言って一人満足気に頷く今村。酒でも飲もうかと思ってローブでテーブルを寄せると電話が鳴った。


 ゲネシス・ムンドゥスからだった。


「はいよ?俺だけど。」

『今村さん!百合ちゃんがみゃーたちに気付いたにゃ!』

「あっそ。」


 電話の相手はここ最近で今村があった人物の中でも1位2位を争うあざとさを持ち合わせた黒猫耳ロリ巨乳という属性の役満、マイアだった。


『あっそで済ませたにゃ!?』

「割とどうでもいい。で?百合は何て?」

『笑ってたにゃ。あ、それと百合ちゃん大学で魔素と氣、それとエネルギーと物質についての解析とその論文を書いてにゃんか表彰されたらしいにゃ。』


 マイアの報告を聞いて今村は少し黙った。


「……俺、そこに森羅万象破壊丸のプロトタイプの設計図とか置いて行ってないよな……?」

『にゃ?あのみゃーたちを乗せてたやつにゃ?……多分目の届く範囲にはにゃかったと思うにゃ。』

「……じゃあまぁ滅びはしないか……しかし、独力で見つけたなら……百合、天才かもなぁ……今そっちで何歳?」

『百合ちゃん10歳ににゃったにゃ。』


 10歳。今村が初めて意識を持って10年となると、ちょうど幼少期の発明品を巡っての殺し合いの現場からその世界の管理者である神に目を付けられ、その近しい者に挑んで、良い所まで行ったものの途中で今いる世界に飛ばされたあたりだろうか。


 過去を振り返って今村はふと思った。


(……俺も俺で何やってるんだろうな……まぁ血は争えんということでいっか。血は繋がってないけど。)


『今村さん~いつ帰って来るのにゃ?みゃーたちお留守番を選ばにゃかったらよかったにゃ……』

「そろそろ帰るよ。術式の成立も済んだ時期みたいだし……あぁ、こっちの話な。気にしなくていい。」

『にゃー♪早く帰って来てにゃ!バイバイにゃ!「バカ……私も……」にゃっ!レイチェル、急ににゃにするにゃ!』


 電話先で何やら争う声と音が聞こえるが今村は気にせずに切った。


「……さて、でも時の流れが違うしもう少しこっちに居たら大分遅れることになるんだよなぁ……まぁいいかな。」


 電話を切った後、それを仕舞いながら今村はそう独りごちると今から何をしようと思っていたのか忘れた。


「何しようと……そうだそうだ。酒でも飲んでから活神拳と殺神拳の両方と戦おうと思ってたんだった。……無理かな?真正面から戦うにしては遊神さんとかマジキチだし……」


 一応、この世界に来てから倒すことは出来たがアレは意表をついただけで二度は通じない。しかもあの技『無撃総乱舞』は現時点における今村の素手での最強の技なのだ。


「新技の開発は進んだけど……やっぱ『無撃』が最強だったし……やっぱ魔法とか魔導術を使うか……武術家にこの技使うって何か邪道だけどまぁいいや。」


 そうと決まれば酒盛りの準備だ。


「培養液の奴の名前はまぁもうキマイラでいいや。アレが出来たら戦争起こして全部修復してから帰ろう。」



 今村はあの生物を使って結構大規模な戦闘を行ってから帰ることに決め、酒盛りを始めた。











 酒盛りを始めること30分。酒気だけで酔った瑠璃が半泣きしながら今村の方へとやって来た。


「うぅううぅ~……ボクは、自分で思ってたよりやらしい子だったよぉ……仁ぃボク変態でごめんねぇ……」

「アッハッハッハッハ!まぁ気にすんなよ。飲め飲め。大丈夫大丈夫。恥の多い生涯なんて珍しいもんじゃないし、そこまで気にすんなよ。」

「……やっぱりボク、やらしい子だよぉ……だって口移しで飲ませてほしいとか思っちゃうんだもん……ごめんねぇ~!」

「仕方ない。口移しが御所望か……じゃあ行きますか!」


 今村は口にリキュールを含むと瑠璃と焼けるような口付けを交わし、その直後に秘密基地の天井が割れて大量に人がなだれ込んで来た。


「瑠璃ぃぃいいぃぃいぃぃっ!…………貴様ぁぁあぁぁっ!まいすーぱーうるとらすうぃーとぶれてー瑠璃に何してくれとんのんじゃぁあぁぁぁっ!」

「何って……キスですが何か?ほら。」


 突入して来たのはまずは飛燕山の名人の面々の内、遊神老人だった。彼は発見と同時に今村と瑠璃が口移しで酒を飲んでいる場面を目撃して怒髪天を突いた。

 そんな彼に対して今村は酔っているので笑いながら瑠璃に、今度は何も口に含まずにただ口付けを行う。


「貴っ様ぁああああぁぁぁぁぁぁあっ!許さんぞ!絶対に許さんぞぉぉっ!じわじわと嬲り殺しにしてくれる……!」

「……瑠璃さんズルい……ボクもにぃにとちゅー……」

「えぇい、一々羨ましいな貴様は……取り敢えず殺してやる!」


 遅れて着地した飛燕山の面々は今村に総攻撃をかける。今村は酔っている目のままでその中に遊馬少年とその恋人候補の彼女を見つけると更に相好を崩して猛攻の合間を縫いその横に移動する。


「はろ~?元気?俺は酔ってる。瑠璃も酔ってるよ。」

「え、あ、は……はぁ……」


 突然何を言ってるのだろうこの人と言う目で見られたので今村は半笑いになりながら手を打った。


「そうら。面白うこと考えた……よっし!お前、拉致るから……クカカカカッ!さぁ追って来るがいい!」

「え、あ、ちょっ!うわぁぁあぁぁっ!」


 今村は笑いながら瑠璃をお姫様抱っこし、遊馬少年をローブで包んで適当に持ち上げると空を舞って全員を見下ろして告げた。


「今から雲隠れすん。期限は教えないが……その期限を過ぎても俺の下に君らの誰もが来なければ……この少年は……去勢される!」

「なっ!」


 あまりの意味の分からなさに一同が驚くしかできない中、今村は笑いながら続けた。


「しかも豊胸手術まで行う!その上、精巣を魔術で作り変えて卵巣にした挙句、これまでの全ての記憶を奪い取って女として生きて来たという偽りの記憶を捻じ込む!それが嫌なぁ追いついてみろ!キャハハハハハ!因みにこれが完成予想図だ!」


 今村は脳内に描かれたイメージをそのまま書き写すペンをローブで持ってその絵を地面に向けて舞わせる。その間、地上から猛攻が繰り出されるがそれを全てのらりくらりと躱しながらだ。


「降りて来給え。我らが弟子に手を出すならズタズタにしてくれる……」

「じゃあ手は出さないけど術は出す。ニャハハハハハ!アレだあれ。……えーと?何だっけ……まぁアレだ。うん。あんまり遠くには逃げないよ。半径30キロ圏内には多分居る。」


 今村はそう言って頷く。その次の瞬間、何かしらの脅威を感じてその場から飛び退いた。


「うわっとぉ……流石遊神さんだねぇ。この距離でも正確に攻撃してくるとは危ないなぁ……瑠璃に危害が加わらない程度の攻撃だから何とかなったけど。」

「屑がぁ……」

「まぁどうでもいいや!アゥディーオ!」


 今村は培養液の水槽ごときちんと転移する時間を稼ぎ切ると笑いながら消えて行った。





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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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