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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第三章~異世界その1~
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2.再会

「…この世界狭い上に魔力指数少ないな…」


 今村は世界中を見て回って溜息をついた。


(もっと派手な世界が良かったなぁ…まぁアーラムのとこより魔力使ってる奴は滅茶苦茶多いからいいけど…多分この世界出来て間もないな。精々10億年って所かなぁ…)


 そんなことを上空から見て思った今村。思ったより小さい世界を見て当初の目的である召喚者の下へ行くことは頭の中から消えている。


「はぁ…はぁ…や…やっと追いつきましたですよ…賓客様…」


 だが向こうから来てくれたようだ。今村の後ろから少女の声がする。今村は先程までなかった気配に少しばかり驚きながら声の主を見る。


「おー…その年から動悸、息切れとは大変そうだねお嬢ちゃん。…で、その魔力的に呼び主だな?」

「そう…です…けどぉ!何で動き回るんですか?」


 今村は一応魔力探知をして来そうだなぁと思ったら高速で移動することを繰り返していたのだ。そんな今村に対するクレームに今村はしれっと答える。


「いや、見物の邪魔だな~って思って。先に世界中見て回らないといけないじゃん。…にしても召喚直後に俺を追って来るだけの魔力…若いのに大した腕前だねぇ…」

「若いって賓客様幾つですか!?私こんななりですけど18ですよ?」

「…合法ロリツーか…まぁいいや。俺の年齢?知らん!」

「そんなに自信持って言われても困るですよ…」


 今村は良い突っ込み役が召喚主でよかったなぁ…と思いながらふざけ倒すことに決めた。


「で?俺を呼んだってことは何?世界を滅亡させればいいの?」

「そんな物騒なことしませんです!…あ、でも…戦争はするですよ…」


 最初の勢いは戦争の部分で完全に失われた。少女は上目遣いに今村の方を見る。


「あの!いきなりでスミマセンですが!私たちに協力していただけませんか!?」

「いーよー」

「不躾で申し訳ないです!ですが…え?」

「戦争しろってだろ?相手にもよるけどいいよん」

「かっる!え?あの…ゲネシス・ムンドゥスの賓客様ですよね…?あ!世界名は知らないですか…」


 あまりにも軽すぎる返事に思わず敬語を忘れる少女。召喚失敗かと一人で焦り始める。だが、そんな少女を安心させるように今村は少女の問いに答えた。


「いや?アーラムが創ったゲネシス・ムンドゥスの世界人で問題ないよ?」


 だがその言葉で少女は固まった。


「え…っと…その世界の創造神様の名前を呼び捨てってことは…もしかして相当高位の神様ですか…?」


 油の切れたロボットみたいな状態になる少女に今村は笑顔で答える。


「いんや?…まぁでも…いや。これを聞くとこの子は…やめておこう。」

「何ですか!?すっごく気になるんですけど!?」

「…世の中には知らない方がいいこともあるのさ…」


 慌てる少女にそっと目を離して応じる今村。その態度に少女は空中ながら地団太を踏む。


「悪魔!悪魔です!」

「…そんな生易しいもんじゃない…」

「ひぅぃっ!」


 少女の罵声に今村は戯れ程度に殺気をぶつける。だが彼女にしてみればおっそろしい殺気で震えあがった。だがそんなこと今村は気付かない。殺気を収めて自己紹介を始めた。


「どうも今村仁だ。取扱注意物質だが説明書は付いてない。不親切設計だが戦う事と軍略については一応使えると思ってもらって構わない。さあ君は?」


 実に芝居掛かった仕草でふざける今村。だがその眼は一瞬だけ妖しい光を放った。その光を浴びて少女は体を強張らせる。


「あ…アドラメルク第二王女…ルゥリン=アドラメルクです。あぅ……今回はアドラメルクを滅ぼしてもらうために呼びました…」

「ほう。母国を滅ぼすね…理由は?」

「あの…ここから先は…反乱軍の本部で…」


 自己紹介を行った少女ルゥリンの言葉に目を細める今村。ルゥリンは話をつけるために自身のアジトへ向かうことにする。


「『ワープホール』」


 ルゥリンがそう言うと空間に先の見えない黒い穴が開き、ルゥリンが中に入った。今村は見送りながらその術式について考える。


(…固有魔法だな。俺も使ったことがない空間転移系の術式で…!これは練度次第じゃ異世界にも簡単に行けるんじゃ…?欲しいな…)


「行くですよ…?」

「あいよ。」


 動かない今村を不審に思ったルゥリンが今村の様子を見に穴の中から顔だけ出した。今村はすぐに行動に移し、穴を通る。するとどこかの建物の中に繋がっていた。


「ふむ…地下か。」


 今村は辺りの匂いからそう判断し、周囲を見渡す。そこで思いもよらなかった人を見つけた。


「おぉ…お前俺の知り合いの蜂須賀はちすかってやつにそっくりだな~」

「い…今村か?」


 相手も驚いた顔をしている。今村が頷くと相手はどこかに行ってしまった。


(…?速くなったな…異世界補正か…つまり少なくともここはゲネシス・ムンドゥスより下位世界ってことに…ってことは自重は少なくていいよなぁ…)


 ものすごく歪んだ笑みを浮かべる今村。視覚情報を完全にローブに戻すと横にいるルゥリンを見た。


「さて、説明会といきますか。」

「え?あの…先程のと知り合い…」


 ルゥリンが尋ねようとしたとき美男子が二人と美少女が一人この場に戻って来た。


「あーっ!今村!心配かけてごめんね!?」

「…心配してないんだが…」

「心配しなさいよ!」


 謝罪と同時に入って来てそのあとすぐ怒る美少女。彼女にも今村は見覚えがあった。…見覚えはあった。だがよく覚えていない。視線を横にずらして先程どこかへ行った男と別の方を見て少女の名前を思い出す。


(小野だ。美川の片思い相手!…ってか美川もいるし蜂須賀もいる…これあと白崎も来れば俺の中学時の知り合い全部揃うな…)


「まぁ…それはそれとして、…俺たちがいなくなってあっちはどうなったんだ?」


 美川が今村に訊いて来た。だが今村には彼らがいなくなったという情報は入って来ていない。そこでアーラムの言葉を思い出した。


「…お前らがいなくなったのは高1の3月だな?」

「え?あぁ…そこから3ヶ月経ったが…」

「向こうは経ってない。…多分時間の流れが違うな。俺は向こう時間で多分お前らの3時間後位にこっちに来た。召喚陣にカバー掛けなきゃそれ位で発動してただろうしな。」


 3人は唖然としている。ついでにルゥリンも唖然としている。自分の術式が完成後に勝手に細工されていたなど思ってもいなかったからだ。そんな中小野がルゥリンに訊く。


「…ところでルゥリン。何で今村を呼んだの?美形じゃないよ?」

「…悪かったなこんな顔で…」


 いきなり飛んだ話をされた上に侮辱されて今村は変な笑みを浮かべ、ルゥリンは顔を青くする。小野は続けた。


「この世界じゃ美形に加護が与えられるから強いんでしょ?今村はあっちの世界では強かったけど…」

「…ここそんな世界なのか。ここの神独断専行タイプか…」


 今村は呆れたような顔をする。ルゥリンはその間に小野に説明をする。


「えっとですね…今村様は特別な方でして…」

「ちょっとルゥラン!今村にそんなこと言ったら中二病が悪化しちゃう!」

「…『呪炎』、『呪水』」


 今村は小野の周りを黒炎と黒水を交互に積み重ねた円で覆って黙らせた。


「…あぁ因みに触るとドロドロに溶けるから。知り合い殺すのはあんまし気が進まないから黙っといて?」


 今村は中にいる小野が頷いた気配を感じて「呪炎」と「呪水」を解いてルゥリンに歪んだ笑みで笑いかけた。


「さぁ…話を聞こうか。」




 ここまでありがとうございます!


 因みに祓ちゃんについてはアーラムの方から神核を貰っているので加護対象外です。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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