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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十六章~魔法大世へ~
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11.準備体操

「よっしゃ。登録完了!どんな冒険しようかな~?」


 現在また変な関係の集合体を作りかねないような状態になっている今村は自分で作ったホテルの屋上で上機嫌でこれから何をしようか考えていた。


 因みに、本日も入っているのはリオノワールこと黒猫娘とシャンブランこと無口白犬娘、そしてエキャルラットラパスの3人公女だ。他にも入りたそうにしている者たちはいたのだが、魔力値14事件の際の反応を鑑みて気まずそうに諦めていた。


「一先ず、学校に行く前に何かしらの大規模な活動をしたいなぁ……能力を預けて来てる今、この世界ならそれなりに本気出しても大陸すら沈まないし。いいよねこの世界。」


 何の脈絡もなくいきなり正拳突きをしたくなった今村は軽く膝を曲げて腰を下ろし、腰の捻りと手の捻りを効かせた突きを外に向かって撃ち出す。


「……お~衝撃波で大変なことに。まぁいっか。」


 普通の世界、仮にゲネシス・ムンドゥスでこんなことをすれば正拳突きを放った方向にある一定以上の高さの建物の崩壊、正拳突きの一直線上付近にある衛星の破損、星の自転軸や公転軸の変更、風の流れの変更、その他にもたくさんの問題が出るだろうが、この世界だとそんなことを気にしなくてもいい。


 ただ、近くにあった大樹が折れて倒れたが……まぁ気にしないことにする。


「まぁでも俺ってインドア派だからそこまで動き回らないけどね。にしても夜寝るのが早い村だと暇だなぁ……さっさと都に行きたい。」


 そう思ったら止められないので今村はホテルを形成している粒子の下部組織に走行式のプログラムを加える。


「よし、これで寝ている間に移動距離が稼げるだろ。安全運転を心掛けた障害物徐行……アルゴリズムはこんな感じでいいかな?」


 今村は一応ミニカーを粒子で作らせて同じアルゴリズムを書き加えた後、それを障害物の多い机の上で走らせて頷いた。


「オーケー。じゃあ俺が寝ている間の安全運転頼んだ!さて、行き先は……そうだなぁ最寄りの文化発展レベルC⁻以上……とかやると術の組めない今の俺じゃ組むのが怠いな……じゃあ光の強さが50ルクス以上の場所を半径1キロ以内に感知したらそこで止まらせるか。」


 要するに夜の外灯クラスの明るさか、夜が明ければ自動的に止まるように設定を組んだ今村は時速40キロ程度での移動を開始し始めるホテルの屋上で夜風にあてられながらしばらく風景を楽しんで室内に戻った。


「にゃぁあぁっ!いっみゃみゅっらしゃん!ホテルが大変にゃ!」

「動いてますわ!危ないですわ!」

「……大丈夫だ。問題ない。障害物があれば避けるし、揺れてもないだろ。それよりお前らが全裸でここに居ることの方が大分問題だ。」


 風呂に入っていたらしい女性陣が慌ててホテルの中を駆け巡っていたらしく今村を見るなり突撃して来た。落ち着いた今村の反応に自分の状態を鑑みた少女たちは慌てて逃げ出す。


「……流石、ファンタジーなのか?」


 奇妙なほど発達し、まるで漫画のように盛り上がっている胸部を持ちつつもくびれはあるというパッと見では凄いとは思うが、何となく不安になるようなスタイルの少女を見送って今村は部屋に戻って寝た。
















 翌朝、今村が持ってきているホテルは山の上にあった。


「……ふぁ……ふぅ。さて、町はあるかな?」


 欠伸を一つした後に今村は外を見て城壁に囲まれた建物があるのを発見して、ホテルから出た。


「あ、朝飯喰わねぇと。そうだったそうだった。いくら食べなくても死なないとは言え、術式がないからちゃんとご飯は食べないとダメだね。」


 そしてすぐに食事を摂るためにホテルに戻る。機械の中に入っている適当な食事を持って来させると食事場に乗合の女性たちが降りてくる。


「あっ、今村さんおはようございます。」

「おはようにゃ……」

「おはようございますですわ。」

「はよー」


 それぞれが挨拶やお辞儀をしてくるので一応返事を返した後に今村は彼女たちの分の食事も持って来させる。


「……さて、ここの通貨を稼がねばな……手っ取り早く稼ぐには国でも滅ぼすかな?やるなら狐っ子か狢っ子の国にしよう。」

「あ、あの、お金にお困りでしたら我が家から提供させていただきますから国を亡ぼすようなことは……」


 エキャルラットラパスの公女様が今村にそう言って翻意を促す。だが今村は首を振った。


「集るのはな~……あ、そう言えば何か金属類を持って来てたな。換金してもらえば多少は……ん~でもなぁ……何かもっと面白い感じの稼ぎ方はないものか……」

「カジノとかどー?」

「んー……俺って基本的に運ないし……」


 基本的に運がないのでカジノは却下だ。やろうと思えば別の手段を使って勝ち続けることも可能だが、それだと作業になってしまうので面白くない。


「何か商売をなされるのはいかがですか?当家のブランドをお貸しいたしますわよ?」

「既得権益を切り崩すのって面倒だからなぁ……術があれば楽に行くんだが……まぁ案として一つ入れておくのもいいか……」


 この世界は産業ごとの組合、簡単に言えばギルドがあり職人や商人たちの横の繋がりが強く、バランスを崩せばすぐにストライキを起こしてくるので面倒そうなのだ。術があれば全ての情報を丸裸にしてあらゆる弱みに付け込み……など色々できるが、今回は喧嘩になる。


「……にゃら、森でにゃんで素材を持って来にゃかったのにゃ?災害級にゃんかの魔物にゃら高値で売れたにゃ。」

「え、だってキモいし。」

「基準がわからにゃいにゃ……」


 そんなもの気分だ。その時や今はそんな気分だからそうなだけ。特に理由はない。


「まぁその辺は良いとしてどうやって金を稼ぐかな。飯とかは適当に作ればいいけど、流石に本とか娯楽を買うには金が要るからなぁ……」


 面白そうなアクセサリーがあれば買って改造しなければならない。気を惹く本があれば取り敢えず買ってみる必要がある。その為にはお金が必要だ。


「よし、じゃあ何かこの辺にいる強そうな奴でも探し出して狩ろう。今日の活動はまず最初に狩りからスタートと言うことで。」

「わかったにゃ。」

「……頑張る。」


 やる気を見せるケモ耳の美少女達。そんな彼女たちを今村は不思議そうに見て尋ねる。


「来んの?」

「……え?」

「別にいいけど……邪魔だったりしたら死ぬよ?」

「さ、さっきまでの言葉はにゃんだったのにゃ?」

「独り言に決まってんだろ。」


 至極当然のことを言って今村は紅茶を飲んで席を立つ。そして軽く準備体操をした後に食事中の面々のことなどおかまいなしにホテルを消して本格的な準備体操に入った。


「う、うわぁ……」

「にょわっ!」

「手、手、手手!手!腕!腕!腕腕!肩!肩肩肩肩!肩ぁっ!足!足、足足足脚脚ぃっ!脚脚脚脚ぃっ!ひゃっはーテンション上がって来たぁっ!……ふぅ。後は首首首首頸頸頸頸頸頸頸……おまけにも1つ頸ぃっ!そして適当。」


 周囲に衝撃派などが飛び交う中、徹底的に手足と首の体操を行った後今村は哀れな犠牲者を求めて狩りを開始した。




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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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