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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
章間2
51/644

四界会議

 「よし!全員集まったね?」


 アーラムがにこにこしながらここにいる4人皆を見た。4人の表情は様々だ。困惑、心ここに非ず、敵意、顔を伏せる…そんな状態の皆を前にアーラムは会議を始めようとする。


「さて、ぃが復活したことだし…」

「ちょっといいか…?」


 アーラムが会議を始めようとしたとき、トーイが手を上げて止めた。アーラムは不機嫌そうにトーイを見る。


「何?」

「…何で兄貴が…」

「兄ぃが見つかったんだし当たり前だろ馬鹿。黙れゴミ。」


 アーラムは虫を見る目でトーイを見て不意に空を見上げるて言った。


「…あ~お前を見ると昔のことを思い出すなぁ…シュグナイツグラツェッサーの戦い…」

「悪かった!だからもう…!」

「兄ぃがいなかったら僕死んでたなぁ…ねぇトゥールハンマーボーイ。」


 意味ありげな顔を向けるとそこでトーイは顔を背けた。


「さて、トゥールハンマーボーイ略してトーイは放っておいて会議始めるね?はいまず天界。」

「…王子様が来ました~付いて行きたかったです~」

「…チャーンド?」


 陶然とする天界の主を尻目にアーラムがチャーンドを見るとフードを目深に被ったチャーンドは頷いた。アーラムはしたり顔で頷く。


「…やっぱり兄ぃか!うんうん…兄ぃはもてもて!こうじゃなきゃ!」

「知り合いですか~?」


 アーラムの言い方に天界の主、ヴァテン・ルへテン・ゴクハブラは気持ちを戻って来させた。アーラムはヴァルゴをじっと見て「カーレリッヒ」を使用した。


「…うん。僕の兄ぃ。…そこの自分の名前に酔って僕を殺しかけたアホと違うホントの兄弟。あっちの男女おとこおんなとは違う繋がりを持った…」

「ちょっと待ててめぇ…殺すぞ?」


 その声に地獄界、人間界の代表者が目を見開いた。


「「しゃ…喋った?」」


 驚く二人を無視してチャーンドはアーラムを睨む。


「貴様さっきから聞いてれば言いてぇことをべらべらと…犬っころが…」

「おやおや子猫ちゃんがどうしたんだい?兄ぃが君の不要なこと言って反省してみゃあみゃあ言わなくなって静かでよかったのに…で、君!ゴクハブラ君!兄ぃのために体を変えよう!『カーレリッヒ』!」

「…まぁ俺もついでだ。『月光の加護』」


 この場に光り輝く何かが舞い降りてきた。そして何故か喧嘩していた二人は急に協力して光る何かに力を注ぐ。すると光は急速に収束していき中にあるものが見れるようになった。


「これは…私ですか~?」


 現れたのは透き通るような水色の髪に薄ピンクの目、柔らかそうな頬をしたあどけない顔立ち。全体として1メートル位しかないのではないかと思われる。スタイルに関しては完全に子供。膨らみはないが少しくびれているその美幼女ボディを見てヴァルゴは落胆した。


「…あの~もっと…」


 ヴァルゴは地獄の女帝サラが誇る2つの山をちらちらと見ながらアーラムとチャーンドに何か言いたそうにするが二人は説明に入った。


「まず、兄ぃの相手は処女じゃないとね。…まぁ元の体も処女だったけど1億年生きてたって何かアレだし…」

「あぁ…矢張り若い体にしておきたいしな。」

ぇとか25年に一回は体を作り変えてたしね…兄ぃは全く気付いてなかったけど…」

「まぁ…と言うより好かれている自覚もないだろうしな。…と、そんなことはどうでもいい。まぁあんまりよくないかもしれないが…さて、説明に入ろう。」

「今君が使ってる体じゃあ兄ぃとあまりにも釣り合いが取れないから新しく作ってみたよ。」


 交互に話していく二人、ヴァルゴは黙って聞き入る。


「まず、魅力を上げてみた。とりあえず兄ぃの好みはきっちりキャラが立ってることは必須だからね。」

「じゃないと忘れるからな…」

「今回のコンセプトは美幼女あどけない系。」


 そこで小さくヴァルゴが不機嫌になる。


「…どうせでしたらもっと大人な感じにしてくれれば良かったですのに~…」


 その言葉を聞いて二人は苦笑いする。


「それは…姉ぇがいるから…多分効果薄いよ…?」

「自身の力を上回るものは創れんからな…」

「ム~…諦めます~…でもこんなので好みのタイプに入ってるんですか~?」


 それには二人は頷いた。


「うん!兄ぃは禁書とか弾圧された本とか大好きだからね!むかーしロリータって言葉の元になった本が生まれた時にその本出版拒否受けたから兄ぃ読んでたよ!で、爆笑してた。」

「後で読んだが…全く笑える内容ではなかったがな…まぁそんなことはいい。そして色々あって我らの居た大世界が滅んだんだが…」

「保護対象の中に入れてたんだよその本。確か『…これは色んな娯楽本の祖になる匂いがする』って、」

「…それは…ロリータが好きとは関係ない気がするんですが~」


 話を黙って聞いていたヴァルゴだったが、もう二人は昔話に花を咲かせてこちらのことなど気にしていない。ヴァルゴは一つ溜息をつくと精神分離して体を入れ替えた。


「…っ!何ですかこれ~…もの凄い力なんですが~」

「そりゃあ兄ぃの伴侶になるかもしれないんだし最低でもこれ位は…ね…」

「まぁここから頑張って強くなってくれ…少なくとも今の倍は…」


 驚くヴァルゴに対して二人はかなり冷静に言って相談を始める。


「…これじゃ弱すぎかな…?今の兄ぃの力って昔の1000分の1位だよね」

「あれじゃまだぜんっぜん満足してないだろうな…とりあえず何か能力足すか。」

「そうしよっか。え~と…じゃ、羽を足して、『フェザーストーム』足そっか。」

「あぁ前の天帝が良く使ってた…じゃあ俺はそれに羽の高速再生を付与して…」

「…あとは…あ!僕らが当然できることは足しておかないとね。」

「…『神核』入れるか。あと、何か武術を修めさせないとな。」

「だね。『カーレリッヒ』あいよっ!」

「…こんなところか。」


 ヴァルゴ魔改造終了。


「…えっと~こんなに強くなってどうしたらいいんですか~?」

「…強いか?」

「弱いね。そこのボーイぐらいしか力ないし。…兄ぃと付き合うならボーイは瞬殺ぐらいできないと…」


 ヴァルゴの問いに顔を見合わせる二人。ヴァルゴはそれを聞いて首を傾げた。


「…何があるんですか~?」

「兄ぃ趣味が本とゲームと冒険だから…時々とんでもない所に行くんだよ。昔は戦争中で時間がなくて大世界しか行かなかったからよかったけど…今は僕の世界だから平和だし…あ、この世界ももう少し面白くすればいいのかな…?」

「まぁ冥界はダンジョン創ろうと思ってる。…少し前に小説を借りてみたら結構好きみたいだったんでな。」

「…僕は何しよっかなぁ。…兄ぃ最近のお気に入りは?」

「異世界ものと転生もの、あと飛来者。」

「…じゃ、呼んでみるかぁ。でも正直兄ぃの好みの世界にしてるはずなんだよなぁ飛来者招いても意味ない気が…」

「まぁそれはそれだろ。…あ、これそう言えば一応会議だったな。…と人界報告。」


 少し考え込み始めるとここがどこだったか思い出したチャーンド。とりあえずボーイ呼びされて落ち込んでいるトーイに話を振る。するといきなり真剣な顔つきになった。


「タナトスが…消えた。」

「あぁ兄ぃが閉鎖空間に入れっぱなし。多分あれ忘れてる」


 こともなさげに解答を渡すアーラム。頭の中はどんな人を招くかでいっぱいだ。


「じゃあ次、地獄。」

「…敵対勢力が強くなっておるのぅ…天界が。あとでこのちみっこいのは潰す。…それで地獄の問題としては…バルバロ…」

「それもう知ってる。あとヴァルゴちゃんは潰させないよ?兄ぃの嫁候補だし。…さて兄ぃはあの子とどっちを選ぶかな?」

「…最近ハーレム物も気に入ってるみたいだしどっちも選ぶんじゃないか?」

「ん!なら飛来者は美女にしよっか。」

「…アリスさんに殺されるぞ…?」

「いーのいーの僕は兄ぃの味方だから今は姉ぇのことは置いとく!じゃ、今日は解散!」


 強制転移を発動、チャーンドとアーラム以外はこの場から消え、会議は強制終了となった。




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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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