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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十六章~魔法大世へ~
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6.野蛮なのはよくない

(あーびっくりした。こんな感じで適当に生まれるとは……俺も竜神さんのことを他人事のように言えた義理じゃないのな。)


「ボス!着きましたぜ!」

「おう。……あ、そうだ。ここは通信のための中継地点になるんだが、俺にまで知らせる必要がないと思ったやつはお前らで対処しておけ。」

「「「「Yes, sir!」」」」

「それじゃ。」


 そして、今村は念願の土地である魔法大世エクセラールへと足を踏み入らせたのだった。












「Oh,Year! ここはどこだろうか?魔力の充填の為にしばらく滞在すればいいだけだが……まぁ、それじゃつまらんよな。色々して遊ばないと。」


 今村は深い深い森の奥に迷い込んでいた。呪具も能力も使えない今村は基本的に方向音痴だがそんなことは気にせずに前に進む。


 そして夜の館に辿り着いた。そして夜の帳の中で妖しく光る不気味な洋館の壊れた扉を叩いた。


「誰かいませんかー?……まぁ聞こえるわけねぇか。お邪魔します。」


 返事がある前に今村が扉を開けるとその中から武装した人型の何かが出てきて今村に紅蓮の炎の槍を向けて怒鳴った。


「貴様っ!ここをどこか知っての狼藉か!?」

「いや、道に迷ってここがどこか知らないんですけど。ここどこですか?」


 今村の言葉を挑発と受け取ったその武装兵士は今村に対して槍を繰り出してくる。そんな技を見ながら今村は笑った。


「いや~流石魔導大国……いい術だ。うんうん。」

「なっ……俺の槍を素手で、だと……」

「第3世界の下級神程度には強かったようん。でも残念。ばいばい。」


 炎の槍を握り潰した今村は武装兵士に蹴りを叩きこんで鎧ごと粉砕して殺してから大声で宣言した。


「さぁ、喧嘩売って来たのは貴様らの方だからな?歌え!踊れ!騒ごうぜ!気が狂うほどに楽しめ!狂った化物の御来場だ!笑おうぜ!ヒャハハハハ!『破牙一刀閃』」


 今村が森羅万象破壊丸から適当に持って来た剣の一閃で城が半壊する。だが、ある一角だけは無傷で終わっていた。


 その一角に無音で、しかし神速の速さで以て距離を詰めてその途中に在った結界を切り裂いてその中にいる人物の頸下に剣を添える。


「き、貴様は……一体……」

「俺かい?俺ぁ迷子の化物だ。ところで、人里の方に行きたいんだけど、どうしたらいいの?地図とかない?」

「……は?」


 急に襲われ、命の危機に瀕しているその人物は今村が何を言っているのかよく分からずにポカンとした。


「おっさんのぽかん顔とか見ても楽しくねぇよ。もっと可愛くなって出直してきな。角圧し折んぞ?」

「ひ、人里なら、この迷い黒夜の森から出なければない!」

「何か話し方が気に入らない。もっと可愛く!」


 可愛くと言われても非常に困る。角を2本生やし、グレーの短く刈り込んだ髪型をした髭を生やしたおっさんがどうやって可愛くなれるというのだろうかとその男は思いつつ何とか頑張ってみた。


「人里はこの城の正門から真っ直ぐ行ったところにゃん。」

「キモッ!何おっさん。それ可愛いと思ってんの?うわー……ないわー」

「……うがぁあぁぁぁああっ!」

「落ち着こうぜおっさん。短気は損気だ。しかし……にゃん、か。かわい……いや、ないな。」


 しばらく鬼畜の所業をやってのけた後、今村は財産になりそうなものを適当に持って来させて森羅万象破壊丸に乗せていた適当な物とトレードし、ついでに損害賠償を払ってからその館を後にした。


「じゃーねーにゃん丸さんー!」

「……にゃん。」

「手の振り付けは?後、もっと元気よく!」

「にゃん!」


 招き猫のように手を握って手首で曲げるおっさんを見て今村は真顔になった。


「……ないわー」

「ふっしゃぁあぁぁぁああっ!」

「血圧上がんぞおっさん。体は大事にしな~」


 今度こそ今村はその館を後にした。そして静かになった部屋の中、拍手を送る謎の影が現れる。


「ボスも酷いな。この男には『にゃん』じゃなくて『ぴょん』が似合うと言うのに。」

「あらマイケル。違うわ。『わん』の方が似合うわよ。」

「何言ってるんだ。この男に似合うのは『うっきー』に決まってる!」

「私は何かを喋る前に『ふぇぇ』を付けるべきだと思う……仕方ないわね。全部させて優劣を決めましょう?私が勝つに決まってるけど。」


 影から現れたのは森羅万象破壊丸に乗っていた乗組員の面々だった。


 彼らは紙切れに台本『彼氏とのラブ×2 遠距離恋愛の手紙♡』と書いて、ああでもないこうでもないと言いながら台詞を書き綴り、書き損じを床に放り投げる。いくつか書いた後に最初のが一番良かったのでそれを読めと言われた後、男は手紙を拾って泣いていた。











「……んー俺、結構まっすぐ歩いてたはずなんだけどな~」


 乗組員たちが館の主で遊んでいる頃、今村は遭難していた。非常食を3年分持っているので別に焦りはしないがちょっと困る。


「せっかく遊びに来たのにこれじゃ面白くないしな~……仕方ない。視力を少し調節するか。」


 そう言って今村は目の周りの力を少し変えてピントを調節した。


「これ使うと細かい所まで見えて汚く見えるから嫌なんだよね~……っと。何か変なの見っけ。光かな?……炎だ。」


 そう言いつつ今村は尋常じゃないスピードで歩く。かなりの距離だったがすぐに今村は踏破してその火の番をしている人間たちに声を掛けた。


「いや~変わった炎ですね~普通にしてれば見えないんですもん。」

「テメェ!何者だ!?」


 今村が来たことを認識できていなかった面々が声によりやっと気付いて今村を相手に武器を構える。一部は眠っている馬車の中の人物たちを起こしに行ったようだ。


 だが、今村はその辺のことも意に介さない。


「あ、俺は普通の迷子ですよ。人里はこっちであってるんですかね?」

「嘘つけぇっ!ここは迷い黒夜の森の深部だぞ!?こんなところまで普通の奴が迷い込むわけがねぇ!」

「地図これで合ってます?」


 ゴーイングマイウェイで今村が地図を広げて男に尋ねると彼は炎の鞭でそれを切り裂いて燃やした。そんな彼は次の瞬間に頭を炸裂させる。


「俺の地図燃やしてんじゃねぇよ。これ以上迷子になったらどうする。」

「ひっ……」

「何事だ!?」

「敵で「アッーと驚くホモの味方を惨殺する化物だ。」す。」


 ふざけまくる今村のことは無視して死んだ仲間の亡骸を見て後から来た男たちは警戒を深めて様々な武器を持った。


「テメェ何が目的だ……」

「道案内。こっちが人里でいいのかな?」

「フン……ふざけたことを……どっちにしろ死人に道案内は要らんだろう!」


 次の瞬間。今村の右手がぶれてこの場にいた男たちは全員息絶えた。そのついでに近くにあった馬車も斬れて天井部分が斬り落とされる。


「……ありゃ。かなーり手加減したのに斬撃が出ちゃったか……まぁいいや。それにしてもこいつら道案内しろって言ったのに俺に死出の道案内させてどうするよ?全くこれだから野蛮な連中は嫌なんだよねぇ……」


 そう言いつつ今村は燃やされた地図の代わりになりそうなものを探すために馬車の方へと移動する。中には人がいるようなので道案内を頼む予定だ。


「……ん?ガキ?」


 だが、今村の予定から外れたことに、中にいたのは檻に閉じ込められた身形のいい、だが薄汚れている男女の子どもたちだった。そして皆一様に手枷と足枷、それに猿轡を噛まされて怯えている。


「んー……ほい。好きに生きな~」


 そんな彼らを縛めている物を一刀の下に斬り落とし、檻も斬ってから解放して今村は地図を探した。




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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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