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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十四章~さぁ、動き出そう~
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24.どーでもいいです

「……あ~取り敢えず、色々言いたいことはあるだろうが……」


 口火を切ったのは今村だった。この場にいる全員が今村の発言に緊張し、そして集中する。


「……俺さぁ、明後日まで休みなんだよね……」


 だが、紡がれた言葉は彼女たちが考える物からかけ離れていた。そのため音として入って来た情報を理解するのに僅かに遅れが生じる。その間にも今村は続けた。


「休みの間くらいさ……自由にさせてくんないかな?後で色々考えるから……別に何かするわけでもないけど……」

「……そ、それは、その……許して貰ったということで……いいんですか……?」


 頭を掻きながら怠そうに言われた言葉に対して一番最初に反応したのは祓だった。それに対して今村は首を傾げる。


「許す……?」


 何を言ってるんだろうと言う顔に祓は泣きそうになりながら説明する。


「き、記憶は……その、先生の所為で……ですけど、それでも、別の男の人といたということには……」

「……それが何か?」

「い、いいんですか……?」


 許されるのかと少し希望を覗かせる祓に今村は意味が分からないが取り敢えず頷いておく。


「え、別にいいけど……むしろ望ましいし、俺がやってほしいことだし……え?何か問題が?好みじゃなかった?」

「違います!け、穢れたじゃないですか……」

「ん?ヤっちゃったの?ん~それは流石に早過ぎるかなぁ……まぁ、ウチは子育ても応援する企業だから安心して……」

「してません!」


 祓は大きな声で断言した。その声には幾分かの怒りが混じっているかのようで今村は少し顔を顰める。


「……人事部に問い合わせが必要だな。全く……俺今日休みなのに……でも直に言われちゃったからなぁ……産休と育休の内訳と説明から……」

「子育ては応援してるかもしれませんけど!私は子なんていません!」

「……避妊はしっかりしてたと。……まぁ、じゃあいいんじゃ……」

「あの、そろそろ真面目に話しませんか?」

「至って真面目なんだが……」


 不満気な今村に間に入って来たシェイムが話の整理を行う。


「あの、今回の計画について皆様が納得いっていないことはお分かりですよね?それで怒っているのは前提ですが、大丈夫ですか?」

「……ま~い~よ。色々言いたいことは無きにしも非ずだが……それで?」


 今村は再びやる気なさそうに横になった。そんな態度など気にせずにシェイムは続ける。


「ですが、ある一定の能力がある方たちには全く影響がなかったことを鑑みるに弱い方が悪いと言われてしまえば何とも言えないので黙っています。」

「逆だけどねぇ……」

「……その辺は価値観の違いなので何とも言えませんが、続けます。弱かった上に仁様以外の男性と付き合っていたという事実がある7人は現在何とかしてそれを許して貰おうとしているわけです。……許します?」

「別に俺が許しても許さなくてもいいだろうに……前みたいに殺しに来たわけじゃないんだし……」


 何気ない一言に痛く傷付いた顔をするサラと祓、それにアリス。だが、他の面子も浮かない顔であることには変わりない。


「ハーレムに、入れてもらえるかどうかが問題なんですよ。」

「作った記憶がないものに入れろと言われてもねぇ……どーでもいいなぁ……」

「……異性として、見れます?」

「言われなくとも性別は違うだろ……あ~何か知らんが……好きにしたらいいと思うんだが……」


 非常にやる気がない今村は適当に答えを出した。


「あーあれだ。別に今まで通りに過ごしていいよ。それよりさ、全員ここにいるけど仕事は?俺、休み明けに馬鹿みたいに仕事があるとかマジで勘弁してほしいんだけど。」

「本部からミーシャ様と側近たちが応援で来ています。それに、白崎さんと何だか知らない人も頑張っているらしいです。……とにかく、お許しが出たということでいいですか?」

「だからさぁ、俺に許す許さないとか言う権利がないって。それに非っ常にどーでもいい!……終わった?これで、終わり?あ~休みを浸食された分ロスタイムとかあればいいのに……」


 やってられないと溜息をついて今村は甘ったるい地上の紅茶を飲む。そんな彼にクロノが少しぎこちない動作で近付いてきた。


「だ、抱き着いて、いいですか……?」

「嫌だ。」


 間髪入れずに答える今村。クロノは泣きそうな顔になる。


「や、やっぱり……ダメだよね……?何で、クロノあれだけ気を付けてたのに……こんなの……酷いよ……」

「あーうっさいなぁ……じゃあ乗れよ面倒臭い……俺は動かないからな……」

「……ふぇ?」


 悲観的なことを考えていたクロノが動かなかったので今村の方がローブで抱き止めた。


「オラ、これでいいんだろ……あ、泣くな。濡れる。で、もういい?」

「あ、う、うん……」


 状況に追いつかない頭のクロノが今村の頭のすぐ傍で返事をすると今村はかなりぞんざいに放した。


「あ、あの……次、私いいですか……?」

「列成してんじゃねぇよ……俺さぁ、何回も、お前らに伝わるまで何回も言うが、休みなんだよ。有給出して直接業務に関わりないからいいよねって仕事押し付けてくる屑上司かお前ら?増えるな!みゅう!見えてるからな!」

「あの……じゃあ、失礼して……」

「何もいいとか言った記憶がない……それよりミーシャ?お前仕事してるって聞いたんだけど?何でここに居るのかな?ねぇ?喧嘩売ってるの?」


 背後を取られるのは嫌なので大体が少し身長が低めなので自分の胸に顔を埋める形で抱き着いて来る。そろそろ付き合い切れなくなったので今村は逃亡術式を編んだ。


「先生が抱いてくれるって聞いて来まし「付き合ってられんな。」あぁっ!酷くないですか!?」


 何か休みなのに精神的にかなり疲れそうなことになる前に今村はさっさと逃げ出した。










「……はぁ。こういう時は馬がいいかなぁ……自動の機械でもいいが……猫たちでもいいが……まぁ、移動用術式組み込んだ馬がいいか。邪魔されにくいし何も考えないで適当に運んでくれるし……ということでおいで。」

「のりものがよばれたきがしたの!」

「お前じゃねぇよ。お前鳥だろうが。帰れ馬鹿鳥。」

「さいきんはやくなれたのにひどすぎるなの……」


 無条件で追い返して今村は召喚陣を作る。


「にゃー……」

「みゃー……」

「だから俺が呼んでるのは馬……みゃーとかにゃーとかはまだ人を運ぶには早いからな?」


 イラッと来たが子猫たちに罪はないので苛つきはその辺の全く関係のない世界に押し付けて次こそ今村は馬を呼んで世界を駆け始めた。




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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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