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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十四章~さぁ、動き出そう~
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18.それはない

「…………また女の子を……」


 白崎は基本施設の案内された後に訓練を付ける少女たちを紹介されて今村をジト目で見た後に溜息をついた。


「るぅね、お前はついでに白崎に機械の体の使い方を教えてやれ。」

「うん!」


 だが、その程度では意に介さない今村はるぅねに指示を出した後、リビングにも備え付けられている大型のソファに横になる。

 そんな今村を見てサラに溜息をついた後白崎は子どもたちの方に目を移して自己紹介から始める。


「初めまして、『レジェンドクエスターズ』庶務課・課長の白崎よ。あなたたちに合気道を教えるわ。」

「……初めまして、レティアです。」

「ジェシカです。」

「エヴァです。」

「ドリスです。」


 最後に人語を喋れない獣娘が残るが、そちらに関しては今村が念話で適当に過去を探って名前を告げる。


「ンーニャだな。」

「!」


 今村に名前を呼ばれたことにピクリと何かのケモノ耳を反応させて獣娘改め、ンーニャは今村の方に恐る恐る近づいて行った。


「ぱ……ぱ…………?」


 すんすんと今村の匂いを嗅ぎまわるンーニャ。今村はそれも無視して白崎の方にローブを使って戻す。ンーニャはしきりに今村のことを気に知る素振りを見せたが今村は一応否認した。


「俺はお前の父親じゃない。あ、でもそこの小娘のことは母親だと思って甘えるがいい。フハハハハ。」

「……小娘って、この前まで同級生だったのに……」

「ま、ま……?」


 首を傾げているンーニャに今村は一つ悪戯することにして白崎に幼子の母親の匂いの概念を入れてみた。するとレティアとエヴァとンーニャがその匂いに敏感に飛びついた。


「……今村くん、今何かしたでしょう?」

「認めよう。」

「あっ、こら、そんな所の匂いを嗅がない!」

「キマシタワー!ふぁ馬鹿らし、寝よ寝よ。」


 幼子たちに群がられている白崎を見て適当なことを叫んだ後、今村は昼寝を開始する。


(ん~……【数え殺し】を最後までしたかったな…………それはそれとして何か急に焼肉したくなってきた。でも働きたくないんだよなぁ……動くことすら面倒な気分なんだし……)


 だがものの8秒ほど目を閉じた後、起き上がった。


「焼肉しに行くか……新鮮な肉じゃなくて熟成肉がいいな。新鮮なゾンビどもを狩りに行くかね……あ、何かアレだ。ギルド【働きたくないし働かない】に居た時のこと思い出す……そうだ、アイツ等を呼ぼう。」

「熟成肉ならあるじ様いっぱい作ってるのに、何でゾンビ?」


 眠そうに立ち上がった今村にるぅねが質問し、白崎とその教え子たちはゾンビを食べるという発言にドン引きしている。今村は普通に答えた。


「……新鮮な、熟成肉が食べたいからな。」

「そっか!じゃあ仕方ないね!んーと、この世界にゾンビは……」

「この世界のゾンビは不味そうだから違う世界に行く……」


 欠伸をした後、今村は瞬時に自らの体とるぅねを転送し、家に残された女子たちは微妙に引き攣った顔で訓練を開始した。

















「……腐ってないゾンビじゃないとな、流石に食欲失せる。この世界のゾンビは美味しいんだ。まぁゾンビとか喰うと正の神に蛇蝎の如く嫌われるんだが。」

「ふぇ~そうなんだ!」

「でもな、全部が全部美味いわけじゃないんだ。……キチンと、分別しないとダメなんだ……」

「あるじ様~おねむなの?るぅねが代わりに準備するよ?」


 眠そうに歩く今村をるぅねが気遣って声をかける。


「いやいい。お前ゾンビの喰い時知らなさそうだし。まぁお前の場合は勘で何とかなるんだけどな……でもまぁ、ゾンビの状態とか気になるし、俺がやる。」

「えい。ふ~ん……じゃあるぅねいっぱいお手伝いするね!」


 大筒から放たれた魔力が込められた弾の着弾と共に飛んできた瓦礫などを今村に一片たりとも当たらないように弾き飛ばしながらるぅねは今村と並んで歩く。


「お、ギルマスだ……大規模侵攻だって。」

「よーリェン。焼肉が来るみたいだから来た。」

「えー……ギルマスが働くならオレも働かないとダメじゃん……」


 るぅねはまた可愛い子がいるなぁ……と自らの主を半眼で見るが本人は全く気にしていない様子で状況の確認をする。


「何だっけ、ほら……アレ、ギルマスが働きたくないって言いながら城で護衛させられてた時のあの護衛対象?アレ、今頑張ってるんだって。」

「……ここさぁ、アレからどれくらいの時が経ったんだ?」

「寝てたから知らない……多分?2年かな~?」


 外の世界では膨大な時が流れているがこの世界の流れは非常に遅いらしくその程度しか経っていないようだ。


「そっか……【働いたら負け】ギルドは……?」

「……?そんな名前だっけ……【Yes, lazy No, work】じゃなかった?」

「ニュアンスが通ればいい……」


 二人とも眠そうに会話する。その様子を見ているだけでるぅねもスリープモードに入りそうな雰囲気が漂う。


「……あの、働く人が、ギルマス探しにどっか行ったから……事実上解散みたいな感じかな……?」

「へぇ……で、お前が外歩くとか珍しいな……」

「そろそろこの国が亡びそうだったから……調理なしですぐ食べれるのを買いだめしてるの。」


 背後で王都を囲んでいる城門が突破されただの何だの怒号と悲鳴、それからモンスターの呻きや叫びなどが聞え、住民が逃げ惑う中、3人は路上で話を続ける。


「君!に、げ……!絶対的なやる気のなさ……!黒いローブ……!混沌を表すかのような黒い瞳……!それに、隣にいるのは圧倒的な倦怠感に徒労感、全身から漂う働く気概のなさ……!1日に18時間は寝ていそうだが思わず永久的に養いたくなるような愛くるしさを感じさせるその顔……まさかぶっ!」


 あるじが罵倒されている気がしたのでるぅねが王国軍をアッパーで空高く殴り飛ばし、今村たちはそれを気にせずその後ろにいた敵を見据えて笑う。


「おぉ、もう来たか。」

「じゃー終わったらさぁ、オレ、ギルマスの布団で寝ていい?『雲の欠片』だっけ?超寝れるアレ。」


 緊張感の欠片もない会話と共に悠然と歩く3人。その歩みは本社から役員が来るため、朝礼込みでいつもより早く起きなければならない日に午前を回ってから起き、開き直った新入社員のようだ。


「……ここだと俺って【死者喰らい(デスイーター)】とか言われたっけ?まぁいいや……まず廃棄の屑肉の処分から行くか……」

「ギルマス~聞いてる~?も~……『闇夜の死喰い』……じゃーオレの焼肉豪華にしてよね~」

「るぅね炭火用意しとくね!」

「るぅね、それは罪を焼く業火だ……何?ボケてんの?」

「るぅねはいつだって真剣だよ!」


 王国軍10万を壊滅させた大量の魔物が押し寄せてくる中、既に食べられなさそうな奴らを全滅させた3人は欠伸交じりに進み、まず今村が呟く。


「【呪言発剄】『集まれ』……フム。」

「人型はあんまりオレがあんまり食べたくないからぽいで。」


 逃げ出したいと言う目でこちらを見て来る魔物。今村たちは一切意に介さずに奈落の底へと落とした。


「リェンは好き嫌いばっかり……だから大きくなれないんだよ。」

「うるさいなぁ……大きくなったら養わせる魅力が薄れるからいいの。」


 雑談交じりに国が亡びかねない危機を脱させた今村たちは活きのいい猛牛がゾンビ化した群を見つける。


「お、この辺だな。次世代が残らないから面倒なんだよなぁ……魔力暴走によるゾンビ化ってのは分かってるが……これにしよう。」

「おっ……じゃー焼肉だぁ。」


 一行は再び奴隷を買った世界へと戻って行った。





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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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