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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十四章~さぁ、動き出そう~
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14.外道ですよ?

「あ~せっかくの休みが……あ~何しよう。仕方ないから人体実験でもするかね。敵に使うには副作用が軽すぎるタイプの。」


 それなら助手が必要だなということで今村はるぅねを呼び出した。


「る?」

「……いや、こんな状態なら召喚拒否しろよ。」

「あるじ様だ~!ひゃっはー!」

「服を着ろ!」


 農作業をする服から普通の服に着替えるところだったらしいるぅねに服を着させると今村は別に呼んでもいないのに付いて着ていたシュティを見る。


「……な、に?」

「……引き籠ってろよ……危ないぞ?」

「だいじょーぶ…………だよ。…………元々、第……1世界、の上級、神だし……少し回復してきた…………から、ね……」


 この喋り方は疲れたからと言うわけではなく素なのか。と全然違うことを考えながらシュティを見ていると、不意に空間が割れた。


 瞬間、るぅねとシュティが警戒態勢に入り、冷や汗を流す。


「…………来る……」

「あ、あるじ様……とっても強そうなのが……」

「……何しに来たんだろうな?【狂危きょうき凶瀾(きょうらん)恐厭姫(きょうえんき)】は……」


 二人とは違う感じに首を傾げる今村。割れた空間から降りてくるその存在に最大限の警戒を払っているシュティとるぅねの二人は能力の封印などしていられないとばかりに全力を出し、その美貌だけで世界を止めた。


「…………………………………………………………ぁ、う?うー……にぃ……様……」

「はいそうですよ?どうかした?」


 そんな警戒対象の黒いフリースにフードが付いた上着の中に迷路のような文様が描かれたシャツを中に着て、デニム生地の短いスカートを履いた美幼女が今村の前に降りて上目遣いに尋ねて来た。


「………………似合ウ……?」

「買ってもらったのか。よかったな。…………?誰に?」

「……おーか。」


 透明感の高い白雪のような肌をした頬に朱を差しながら【狂危きょうき凶瀾(きょうらん)恐厭姫(きょうえんき)】は以前の城での一件から友人になった【消血妖鬼】の名前を告げた。


「桜花か。ところでその捻じ伏せてる奴らは解放してやってくれ。」

「ウん……」


 すれ違いざまに捻じ伏せられていた二人は【狂危きょうき凶瀾(きょうらん)恐厭姫(きょうえんき)】から解放され、立ち上がる。


「ったたぁ……あるじ様ぁ~、それ……誰です?」

「【狂危きょうき凶瀾(きょうらん)恐厭姫(きょうえんき)】って呼ばれてるが。アルマって名前にした。」

「……私、アルマ…………よろしく、ね……?」


 アルマは一切後ろで捻じ伏せた二人のことを見ずに今村のことだけを見ながらそう言った。その目は自己紹介したから褒めてと書いてあるようだ。取り敢えず撫でておくと目を細めて喜ぶのでそうして今村は彼女を抱き上げる。


「……ということで、シュティ、逃げた方がいいぞ。」

「……………………………………うん。……タラシの、スケベ……またね。」


 またお礼が言えなかったと今村が気付かない程度に不貞腐れながら危険を見にひしひしと感じたシュティはそう言い残して今村が与えた空間に帰って行った。


「…………ぁにー……様。アレ…………食べちゃ、ダメ…………な、の……?」

「ん~アルマは多分難しいこと考えるのは無理だから今はダメってことにすればいいよ。魔牛は食べていいけど、あいつはダメ。」

「………………?にぃさまの、言う通り……する……」


 案の定よく分かっていなさそうだったが今村のプライベート空間には飛べないようにしてあるので大丈夫だと言うことでいいことにして今村はるぅねに呼び出した用件を告げた。


「人体実験だ。やったね。俺が言ったことだけ書けばいいよ助手。」

「やったね!」

「…………やったね……?」


 よく分かっていない二人を連れて今村は言うことを聞いてやることをやれば問題ないと被検体を探しに移動開始する。


「奴隷だな。犯罪奴隷。極悪人用の猛ど……お薬を使うのは仕事に近くなるから見てて楽しそうなお薬を使える位の犯罪者がいいな。」

「ばらばら…………?」

「しないよ。いい子はねんねしな。」

「……う、ん……」


 振り子のように腕の中で揺られる【【狂危きょうき凶瀾(きょうらん)恐厭姫(きょうえんき)】を見てるぅねは羨ましそうな顔をして指をくわえるが今村はガン無視して何かやたらと強そうな氣が立ち上っている巨大な奴隷商店を発見した。


「おぉ。良い奴隷が居そう。」

「いらっしゃ?いませ!」


 今村の顔を見て愛想を振りまいた男だがその腕の中にいる美幼女と後ろに控えている美女を見て一瞬首を傾げ、すぐに業務状態に戻った。


「……手前から3、12、45、56……後、子どもかな?そのベースによろしく。」


 今村は氣の流れを読んですぐに魔力の質が良さそうな者、素氣が綺麗で体が健康そうな者、バランスよく魔力と素氣が調律している者、そして恨み辛みが非常に強い者を選んで奴隷商に告げる。


 後、子どもを見るのは趣味みたいなものだ。いい子が居れば「レジェンドクエスターズ」に放り投げる。最高の素体が居れば自分で育てる。


 そんなことを考えながら今村は奴隷商にそう言って待機する。その間に人を連れてくる奴隷商は今村の連れ人を思い出していた。


(……非常に高価そうなアクセサリーを付けていましたし、可愛らしい女性が二人ついてましたね。……ヨシノ様のお言いつけのここでは稀にしか見ない黒目黒髪の少年なんですが……貴族なんですかね?まぁ、確実に言われた人を送ることと後は売れ残りの高い奴隷を……)


 そんな思惑で今村の前にはかなりの美女が8割、そして屈強な男たちを2割の配置で準備した。無論、子どもたちも男たちの後で連れてくる。


 それらを見て今村は呟く。


(……男が、弱いんだけど?まぁいいや、こっちの嬢ちゃんたちが強すぎるのかも知れんしな。)


 5人。今村はすぐに目星を付けた。全員女性だったがまぁ仕方ない。急に呼ばれた自分で選んでいない世界なので男が弱いとかいう世界かも知れないのだ。


(……この5人と、後……このおっさんかな?罪状的に微妙だが……)


 今村が選んだ人選は全員不敬罪と言うお揃いなのだが、おっさんは女王陛下の下着を盗み出そうとして失敗して捕まり奴隷落ちしたというアホっぽい感じだったので買うのに悩む。


「……ふむ。まぁガキども見てからでもいいか、ぁっ?」


 突然店の奥が騒がしくなり、こちらに猛スピードで何かぶつかって来たので今村はそれを蹴り上げ、縛り、そして吊るして顔を見る。


 狐の亜人だった。しかもまだ幼い顔立ちだ。その幼女は自分が吊るされたことに一瞬呆気に取られていたが縛った犯人を見るとその顔を怒りに染めた。


「がぅぅうううぅぅぅぅっ!」

「涎を垂らすな。全く……あ゛?」


 挑んでくるような視線を続けていたので今村はその幼女に殺気を向ける。すると一瞬で負けを悟った幼女が急に大人しくなった。


「……まぁ、いいバネしてるとは思う。うん。買うか。じゃあおっさんはなしということにして……」


 今村は超適当に「ミダス王の右腕」を使って巨大な金塊を作るとそれを置いて店主にこれで足りるか尋ねる。店主は首が取れそうになるほど首を上下に激しく振り頷いた。


「じゃ、この5人で。あっ……とぉ……子どもはねぇ……いなさそうだな。うん。これでいいや。」


 1000ほどある新薬をどう誰に使おうかワクワクしながら今村は奴隷を買ってその場を後にした。





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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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