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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二章~最初の一年後半戦~
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10.天界

これ含めてあと3話で2章終了です。

「…オーブランご苦労だった。そしてコロル。心が覗けなくなったようじゃな…」


 フェデラシオン首都ミグラテールの城。出発した翌日の日、理事長と祓はその城の謁見室にいた。場はフェデラシオン大公リュゼ・ネージュの言葉で一瞬だけざわめいたが貴族の集まりの場、流石にそのまま五月蠅いままではない。そんな重圧の中祓は頷いた。


「…はい。」

「よい。…これならば婚儀のほど、変えることもできよう…」


 大公リュゼの言葉に周りの貴族の目が鋭く光る。それもその筈で現時点での婚約者、毘舎利は貴族の中で唯一祓が心を少ししか見ることができなかっただけの外様貴族で、祓はテレパスが五月蠅くないという理由だけでの指名だったのだ。

 そんな折にテレパス使用不可の報告。更に感情を持ち始めたとの報告まで入っていれば貴族は我先にと祓にアプローチをかけたいと思うのも訳はない。何せ美人で現在のトップの権力者の娘なのだから。

 ざわめき出す場を治めたのは大公リュゼだった。


「…婚儀は国内の伝統ある決闘で決める。開催は明日だ。皆、解散せよ。」


 リュゼはそう言って皆を下がらせた。


(…どうせ…みんな一緒…誰が来ても同じ…)


 そんな中祓の心は沈んだままだった。



 ―――ところで、何故決闘がすぐに行われたのかというのには訳がある。これは云わば貴族の咄嗟の判断力とバックボーンを計るためだ。対戦相手を買収や恐喝したりするには人脈やコネがいる。そのため勝ち上がった者はその人脈やコネを持つ者たちのトップで、その時一番良い判断を下したものの親戚になる。

 それは有事の際に最も素早く合理的な動きをするであろうものをバックに持った者が勝ち上がるということだ。

 そのため急に行ったということで、実際に実力を見るものではないのだ。…ただしどんな圧力にも負けないだけの実力があるものは別だが…












 一方冥界。今村は朝起きてすぐに天界を締めようと思っていたのだがアーラムに止められていた。何でもそろそろいい時間が来るらしい。


「…うん!行こ!ぃ!…ってぇ何で今ぁっ!?あぁもう!行って来るよ兄ぃ!」


 止めていたアーラムだったが天をしばらく眺めていた後許可を出してすぐに消えて行った。今村とチャーンドは首を傾げながらアーラムが用意した宝玉を使って天界に飛んだ。




「…さて行きますか。」


 今村は天界の城に着くと速攻で門番を締め上げた。


(…侵略問題になるか…?まぁあの万年ガキ創造神が手を出しているから我が手を出してもよいか…)


 チャーンドは今村が尋問している間に方針を決める。今村はそのまま力づくで開門すると突撃して行った。チャーンドもそれに続く。


「…にしても兵が少ないな…陰謀は一般人にはばれてないからもっと抵抗があるかと…」

「陰謀?」


 チャーンドが今村の独り言に気になる言葉を見つけて訊いたので今村は兵を薙ぎ倒しながら答える。


「あぁ。まあ前王をぶっ殺して今の王が出てるんだが…」

「待て、そんなこと初めて聞いたぞ?あれは地獄軍の過激派による暗殺じゃ…」


 まず前提の話から知らない話だった。今村は何だか名乗りを上げている極楽鳥の将軍のようなやつを髪で捕まえて閉鎖空間に放り込んで続ける。


「まぁそんなに他言することじゃねぇしな。で、個人的に『呪式照符』で図書館にあった天界の歴史書を見たときから気にいらなかった。天界の統治も格差広げまくって奴隷制が復活中だし、高官は全部身内。典型ウザ貴族だったからな。」

「…そんな報告入って…」

「ないに決まってんだろ。自分の不正を態々報告する奴がいるか?」


 今村の言葉に返事ができないチャーンド。そんなチャーンドに今村は続ける。


「まぁ俺の感情は置いといて、それでもばれてないって『呪式照符』にはあったんだが…もしかしてアーラムがばらしたのか…?」


 そんな考察を持ちながら玉座の間に到達。所要時間は天界到着から3分だ。


「んっん~…?何か先客がいる。」

「…我はとりあえず追っ手を止める。」


 チャーンドはとりあえず門の前で兵を止める役を買った。今村は金色に輝く10メートルはありそうな鳥とその前で一所懸命に日本刀を両手に持って戦っている幼女の下に歩いて行く。


「な…なんだえ!?次から次に!」


(オカマかよ…鳥のくせに…で、手前のお嬢ちゃんは…?)


「はぁ…はぁ…あなた…誰ですか~?」

「いや、通りすがりの狩人なんだが…アレが極楽鳥の親玉ってことはわかる。あんたは?」


 ものすごく胡散臭い自己紹介をして汚れてボロ布を纏った幼女にも自己紹介を求める。因みに極楽鳥は羽を飛ばして攻撃しているが今村はローブで逸らして大理石の床だけが傷ついている。


「私は…」

「あ、やっぱいいや。とりあえずっと『αモード』」


 呆気にとられる幼女が自己紹介をしようとするのを自分で訊いておきながらやっぱりいいやで片付けて今村は「αモード」に入って右手から「呪刀」を出し、大きく振りかぶった。


「『呪死裂断』っ!」


 そのまま勢いよく振り下ろすと極楽鳥の前で透明な何かにぶつかり一瞬斬撃が静止、しかし次の瞬間には透明な何かは粉々に砕かれ辺りに綺麗に降り注ぐ。


「ば…馬鹿な…ありえんえ…」


 呆然とする大きな鳥、それと隣の幼女。今村は獰猛な笑みを浮かべるとローブで浮遊して極楽鳥に斬りかかる…だが意識を取り戻した幼女が叫んだ。


「あの!お止め下さい!」

「ん?別にいいけど…」


 幼女の声に反応して今村は地面に下りる。ついでにローブで色んな箇所の羽を毟ったり「呪死裂断」を上に放って嘴を切り落とした。


「何?」


 今村はそれら全部をローブの中にしまうと極楽鳥の爪を切りながら幼女に尋ねる。幼女は引き気味に言ってきた。


「あの~…あれ…私の両親を…」


 そこまで言って今村は分かった。


「あぁ復讐!悪かったね邪魔して。じゃ、観戦してるから頑張りなさい。危なくなったら俺が殺るから。」

「えっ…あ…はい…」


 あまりにもあっさり引き下がられて逆に困惑する幼女。今村は襲い掛かってくる爪が鬱陶しかったので更に斬って後ろに下がり、「ドレインキューブ」を生成し、極楽鳥の血を無駄にしないようにしてから読書を開始した。




 今村は本を読み終えた。戦いの方を見ると幼女が優勢になっている。対する極楽鳥は失血の為フラフラな上、攻撃するための場所を今村に採取されているので殆ど抵抗できていない。


(…あのガキが小さいから決定打を与えられないのか…何かアレだし『死霊召喚』)


 幼女の手にしている右手の日本刀に明るい男の霊が、左手に優しげな女の霊が宿る。


「トト様…母様…」


(…ん?あれ何となく写真で見た気が…先代の天帝じゃね?ってことはアレ先代の娘か。思ったより強力なの召喚しちまったなぁ…一撃じゃね?)


 感動的な雰囲気の幼女たちの後ろで仕掛け人はちょっと付与するつもりだっただけなんだがなぁ…大物呼んでしまった。と思いながら行く末を見送る。今村の予想通り極楽鳥は真っ二つになった。それと同時に霊たちも去る。

 そして幼女は今村の方にやって来た。


「…ありがとうございました~。」

「いや、気にすんな。…ところであんたは先代の娘でいいよね?」

「…はい~」


(何でいちいち間延びした声なんだろうね?似合うけども。まぁそんなことより)


「じゃ、天帝になってもらおうか。」


 今村は幼女の肩に手を置いて言った。幼女は突然何を言われたのか理解できなかったようでしばらく停止した後ようやく理解したようだった。


「はいっ!?」


(あ、短かった。)


「無理ですよ~私には誰も付いて来てくれません~」

「理由をどうぞ。」


 今村の態度にムカついたのか幼女はボロ布を一気に剥ぎ取って今村に呪いまみれとなり素肌が全く見えなくなっている黒い裸体を晒す。


「わかりました~?不信の呪いに~、」

「ヌルい。『ドレインキューブ』」


 説明しようとする幼女の呪いを一気に「ドレインキューブ」で盗って行く。すると当然真っ裸になるわけで…


「ちょ…ちょっと待ってくださいよ~!」

「…ついでだし。『身支度セット』」


 止める幼女の頼みを無視して今村は幼女の髪や体を呪いのセットで綺麗にしていく。そして更に自身の予備の普段着を着せて「ウェアーアップフレーム」を通すと先程までとは見違える美幼女となった。

その子供に今村は天帝を任せようとしていた。


「さぁ断る理由を述べろ。」

「…私…裸で牢につながれてまして~…」


 そんな屈辱を受けていたもののいう事などだれも聞かないだろうという自虐的な笑みを浮かべる幼女。だが今村は何の感銘も受けずに行動に移った。


「『ドレインキューブ』…その記憶は全部奪った。さぁ他には?」

「えっと…こんな容姿ですし~」


 一つ目の問題を難なくクリアされた幼女は次に自身の体が幼いことを気に掛ける。だが今村は頭を振った。


「最近は幼女が神とかテンプレだから大丈夫。次。」

「…部下がいませんし~」


 自身がやる気になっても一人では何もできないと言う幼女に対し今村はローブから黒いトランシーバーのようなものを取り出した。


「『呪具発剄』:『操死霊そうしれい官』これで極楽鳥ども全員と魂の契約を結んだ。最悪分からなかったら俺を頼ってもいい。」

「…もうあなたが天帝になったらどうですか~?」


 尽く難なく問題をクリアされていく様子を見てジト目で幼女はそう言ってきた。そこで今村はいつも通りの歪んだ笑みを浮かべる。…だが、この時点での今村の顔は「αモード」。つまり絶世の美男子だ。そんな顔で笑うと歪んだ笑みでも爽やかに見えてしまう。そんな爽やか今村君は良い顔でこういった。


「お前じゃなきゃ…ダメなんだよ。」


(頭潰したの俺だけど…仕事多いの嫌だし、面倒だし、異世界行くのに天帝なんかやってられん。だ・か・ら!血統良しで色んな操作も簡単。結構強いからこいつが倒したって言っても信じるだろ!)


 そんな感じの今村の心境を知らずに幼女の方は顔を真っ赤にして頷いた。無理もないだろう。先程は結界を前に両親の仇どころか自分の身まで危うかったところを救ってくれた。また今は復讐という人生の最終目標まで遂げてしまった自分に新たな居場所を与えてくれようとしている。

 何年も牢に繋がれ誰にも相手にされなかった彼女にとって今の今村はまさに救世主なのだ。なので張り切って自己紹介を行う。


「ひゃいっ!不肖ヴァテン・ルへテン・ゴクハブリャじゃない、ゴクハブラ!頑張ります!」

「うん。頑張ってね。」


 今村はそんな彼女の思惑を全く知らず厄介ごとを免れたと、にやりと(表面上は意図せずにも爽やかに)笑って名前を覚えられなかったので勝手にヴァルゴと呼ぶことにしてそう言った。そこにチャーンドが来る。


「…おや。ヴァリュースの娘…1億年振りか?」

「ちょっ…何であなたがいるんですか~?」

「仁に付いて来たんだが悪いか?」

「…仁。仁さんというのですね~?」


 最初思い人の前で思いっきり年齢を暴露されたことに怒ったが、すぐに論点をかなりずらしてしまうヴァルゴ。今村はそこで自分は名乗ってなかったことを思い出す。


「あぁそう言えば名乗ってなかったな。俺は今村仁。あ、『αモード』解除。」


 ついでに「αモード」を解いてなかったことも思い出す。だが乙女フィルターがかかったままのヴァルゴにはそんなこと気にならない。


「はわ…これからよろしくお願いします~!」

「あぁよろしく。」


 両者握手してこの場は別れた。




 ここまでありがとうございます!


彼女たちの活躍は大分後です。ごめんなさい…というより活躍が始まったら個人的に本編始めなんですが…付き合ってくれれば幸いです…

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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