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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十四章~さぁ、動き出そう~
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11.健全な精神には健全な

 別世界内では能力付与から2日が経過していた。今村が疲れていたので寝るために戻ったり、寂しがり屋たちの相手をしている間中、少年たちは苦しみもがいて体を大幅に作り変えられていた。


 薬物及び毒物を操作するスキルである「毒薬安繰どくやくあぐり」。この能力を付与された少年は黒髪と白髪が左右で分かれ、フィトよりも頭二つ分くらいの背の高さのオッドアイの美少年に姿を変えた。


 見たいものを見せるスキルである『無眼の欲目』。この能力を付与された少年は闇より昏い色をした撥ねまくりの黒髪と魔法陣が描かれた黒目を有するアリスの膝上くらいの背丈の美少年に姿を変える。


 あらゆる環境に瞬時に適応させ、その場、相手に最も適した戦いを行う存在へと姿を変えるスキル『荒戦獣』。この能力を付与された少年は赤銅色の髪に褐色の肌、そしてトパーズのような色をした目をした筋骨たくましい美青年に姿を変える。


 結界生成のスキル『世迂回の別層フォービドゥンアルター』。この能力を付与された少年はラベンダー色の短髪と目を持つ若く色気のある男性へと姿を変えてしいまい、これに関しては成長しないヴァルゴとこの状態の人が付き合う姿と言うのはどうだろうと少し今村も思うところがあったが保留する。


 時の流れるスピードを操る『自夢時間』。この能力を付与された少年はクロノと同じ色の少し釣り上がり気味の黒目と長めの黒髪をした美男子に姿を変える。


 世界改変のスキル『世異転換』。この能力を付与された少年は金髪碧眼でシェンと同じ背丈の美少年に変わり、奇跡を惹き寄せるスキル『的恵奇跡てっけいきせき』」の能力を付与された少年は青味掛かった白髪に祓より少し身長が高い美青年に姿を変えた。


「……よし、これで適当に見分けがつく。まぁ能力で呼ぶけどな。」


 そんな彼らを全員地面に叩きつけて今村は満足気に頷いた。彼らは能力を手にしたことで全能感を覚え、危険だからと口うるさい今村に結託して反抗し、襲い掛かって来たので叩きのめしておいたのだ。


「……さて、精神が悪い子だから一回洗脳しておくか。こんなんじゃあいつらの相手として相応しくないし。良い奴らには良い奴をあげたいしね。」


 そう言ってローブで電気椅子のような椅子に掛けられる元少年たちを見ながらシェイムは溜息をつきたくなる。


(……祓ちゃんの理想の身長が、仁様の身長の平均ジャストなのに気付いておられるのだろうか……?)


 悲鳴と血飛沫が上がる中でシェイムはそんなことを思いつつ今村の補助を行うために移動した。


「……あんまり時間ないなぁ……早めに行動しないとな……」

「……どうかしたんですか?」

「いや、こっちの話。」

「お急ぎの要件があるのでしたら私の方でこの作業はやっておきますが……」


 シェイムの言葉に今村は歪んだ笑みを以て応える。


「別に、急ぎの用件はないな……ただ、時間がないだけで。まぁ心配することはない。取るに足らないことだよ。」

「……仁様の取るに足らないことは私どもにとっては一大事であることが間々あるのですが……」


 そこまで言って今村に先を促すシェイムだが今村はそれ以上何も言うつもりはないようで目の前で呻いている元子どもたちの脳内を浄化するありがたいお話のチョイスに勤しみ始めた。


「……『挨拶の重要さ』と『礼儀1000種』の結構古い名作シリーズのビデオは確定だが……『真・流麗なる謝罪』と『坊さんの説話・完全版』も流すかな?『清らかに生きること』とどっちがいいか……あんまり時間がないからなぁ……」

「一人一本ずつ見せればいいと思います。」

「……じゃあ『清く明く』と『赤心を人に』も出して……『真の人・真の道』かな。うえぇ……何かパッケージ見ただけで反吐が出そう。」

「受け止めます。どうぞ。」


 今村はシェイムの言葉を黙殺して564分という無駄に長いディスクを彼らの脳内に洩れなく再生し始めた。そして眠らない様に薬を飲ませる。


「……これで全ての言葉を聞き逃すことなく聞けるな。良かったな!」

「良かったですね。……あ、すみませんが、祓ちゃんの担当の子には私の方から別のモノも流したいんですけど……『女性の喜ばせ方パーフェクトガイド』と『ガラス細工よりも繊細な乙女心を扱うために』は必須だと思うんです。」


 今村は何かやたらと祓のことを大切にしてるよなこいつ……と思いつつそう言えばと言った態で思い出す。


「……相馬は真人間を目指させたけどそういうのも入れてればよかったのかも知れんな。……まぁ、敵に回った時点でぶっ殺したから何とも言えんが。」

「後、『女の子のホンネ』と『乙女語翻訳辞典』、『エスコート』……」

「あ、『乙女語翻訳辞典』なら俺も持ってる。あれ面白いよな。」


 少し前のことを思い出しているとシェイムが今村が持っている本のことを言ってきたので今村はそこで相馬のことを完全に思考の外に追い出した。


「え、あの、仁様が……?」

「面白かったから。アレだろ?乙女は奥ゆかしいので言いたいことを飲み込むことがいっぱいあります!例えば『外見なんかより中身の方が大事』は『(そこそこの)外見なんかより(財布の)中身の方が大事』と言う意味です♡って書いてあるやつだろ?」

「……それ、全然違います。確かに乙女は奥ゆかしいからあります!辺りの冒頭部分は似てますけど、例文のニュアンスが全然違いますよ……女の子は皆天使なんですから、そんな酷いこと考えてるわけないですよ?」


 その言葉で今村は脳裏に女の子と呼ばれる人物が思い浮かべてみる。取り敢えず最近強烈にインパクトに残ったのは……


「……強姦されかかったな。何だ?とんだ天使がいたもんだな。」


 【可憐なる美】と【精練された美】のタッグによる強襲だった。そんな大物と会ったということは知らないが今村を慕う少女たちであればやりかねないどころかおそらくしていると判断したシェイムは取り繕う。


「お、女の子は時に小悪魔にもなるんです。」

「小悪魔……?大悪魔アークデーモンの間違い、いやもっと上だろ。悪魔王……悪魔神?」

「それは仁様の異名の1つじゃないですか。」


 このままでは話が逸れると判断したシェイムは強引に話の流れを変えた。


「とにかく、丁重な女の子の扱いを覚えさせましょう。女の子に優しい人に変えてもいいですか?」

「別にいいよ。……時間がかかりそうだから椅子に電気流して筋肉に刺激与えつつ薬品飲ませて改造を進めるか。」


 この映像鑑賞会は3日間不眠不休で続くことになった。




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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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