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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十四章~さぁ、動き出そう~
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4.子ども?たち

 7人。最近今村の家に入り浸っている人物たちの数だ。そして目の前にいる少年たちの数でもある。


「さて、これからお前らを引き取る化物だが何か質問はあるか?」

「その後ろにいる人は誰ですか?」


 今村を前にして全く物怖じしない子どもたちを見て今村は少し笑みを浮かべて答えた。


「モナルカ・クロノだ。」

「今村クロノになる予定のクロノです。……あんまりよろしくしたくないけどよろしくね。痛っ!」


 ローブで頭を殴られたクロノが今村に非難気な目を向けるが今村は無視して目の前の少年たちを視た。


(……これじゃまだあいつらの魅了にやられるな……対等にしてやらねぇと……クロノにも魅了されてるんだから……一先ず最初はこれでいいか。)


 まず、彼らに対して施した術式は魅了対策。現在今村の家にいる面々が相手に望んでいることは奴隷ではなく、対等以上の関係を保てることだ。


(クロノは魅了の力をかなりコントロールできてる方だからな……全部俺に向けてるだけとも言えるが……こいつは本当に世界全てに関心がないんだよなぁ……)


 他の面子もかなり世界に対する意識は薄く、ほとんどの意識が今村に対して向かっているがクロノはその中でもかなり異質だ。


(俺もそうだが特異点の特質なのかね?……みゅうはそうでもないんだが……あいつの本質が正に寄ってるからなんだろうか?というよりクロノが大分俺に近付いてきている話なのかもしれないが……)


 急速な思考で二人目が質問をしようと思うまでにそんなことを考えていると体の異変にすら気付いていない別の子どもが手を挙げて今村に質問して来た。


「あの、クーさんからとっても偉い人が来るって言われてたんですけど、どれくらい偉い人なんですか?『レジェクエ』のトップの人って本当ですか?」

「いや、トップはミーシャだ。俺じゃない。偉い……別に?」


 寧ろこの世界全てを統括している神から罪人扱いの世界の敵と呼ばれている。というところまでは言わないで黙っておく。


「あ~びっくりした。それ位身構えてろってことだったんだよね?」

「いくら俺らみたいな能力者でも『レジェクエ』のトップの人が来るわけないよなぁ~下っ端のクーさんにも勝ったことないんだし。」


 今村の一言でただでさえ物怖じしていなかった子どもたちの緊張がかなり解れたようだ。礼儀正しい外向きの顔から笑顔が零れる。


「……何でお兄ちゃん今嘘ついたの?」


 そんな和気藹々とした雰囲気がクロノの質問により壊されて子どもたちの挙動が止まった。クロノは続ける。


「ミーシャちゃん、お兄ちゃんの言う通りにしてるだけだし、お兄ちゃんが一番偉いよね?」


 クロノの中では今村がこの世で、いやあの世や全ての世界を含めて全体で一番偉いと思っているので不満気な顔をしていた。だが、今村は一応事実だけを教えておく。


「……この世界における『レジェンドクエスターズ』のトップの座の名前は結構前にミーシャにあげた。要らないし。」

「じゃあ何で働いてるの?お兄ちゃんの会社じゃないならもっとクロノと遊ぼうよ~」


 今村が何か隠そうとしているのを聞きとったクロノは今度は別方向に話を持って行きつつ事実を知って気になったことを尋ねた。


「……俺がいないと外部から呼んだ奴らは俺の言うことしか聞かねぇんだよ。特にミーシャはまだかなり若手だし……あ~働きたくねぇ……」


 重い溜息とともに吐き捨てる。別にやれないわけでもないし、一度やり始めるとすぐに終わるのだがやり始めるまで気分は乗らないのだ。


「……え゛。結局、トップなんですか?」

「もう面倒だからそれでいいよ。」


 それで質問を終えた後、今村はクロノの隙をついて……クロノは今村の背中にいる間は基本的に隙だらけだが、隙をついて子どもたちに念話を送っておく。


『お前らにはこのゲネシス・ムンドゥスで最高レベルの女たちを落として貰う。今から全員連れて行くからそのつもりで。』


「ん?何か、態度が変だよ?」


 今村の念話を直に受けて混乱している子どもたちの様子を見て不審に思うクロノだが今村がクロノを背負い直して足を持つと頬を摺り寄せて笑顔になり追及を止める。


「取り敢えず行くぞ。」


 かなり強引に追及を逃れた今村は全員を連れて別に招いてもいない人々が待つ自宅へと舞い戻って行った。



















「……?お帰りひとくん……何それ?モルモット?」


 帰宅そうそう危険な物言いをしてくる姉、アリスに前から抱き締められながら今村はリビングへと移動する。


「あれ?いつの間にか靴が……」

「玄関にうち捨ててある。」


 今村の部屋や自宅に掛けられている昨日に驚きの声を上げる子どもたちを引き連れながらリビングへと行かせるとそこに居た女性たちが訝しげな顔で子どもたちを視た。


「……ぅぉおおおっ!何だこれ!超!美人の人たちだ!」

「さ、触っても、いいのかな……?」


 それは逆もまた然りで子どもたちの方も美女たちを見てテンションを上げている。


「あなた~痴漢~痴漢が~」


 触られそうになったフィトが触ろうとしてきた子どもを絞め殺して今村の右側に抱き付いてき、縛られていたシェンも一人叩き殺して今村の左側にしがみついて来た。


「……『白法呪』。」


 取り敢えず死体を蘇生させるが、子どもたちはドン引きしていた。


「えっ……この人たちを、僕らで落と……」


 あからさまに怯えて今村の言った念話の内容をバラしそうになった子どもを先に絞め落として今村は空いている場所を探してくっ付こうとしている祓に食事の準備をするように頼んだ。


「……お前ら、邪魔。」


 今村が一言掛ければ全員離れた。その様子を珍獣使いを見る目で子どもたちは眺めていたが、今村は呆けている少年たちを連れて訓練場へと飛んだ。


「……さて、割り振りを決める。さっきの中で一番好みのタイプを告げろ。」


 今村はそう言ったが子どもたちは困る。全員彼らが今まで見たことのないレベルの美女、美少女、美童女、美幼女だったが、今の一件で凶暴な側面しか見れなかったのだから当然だ。


「……まぁ、いきなり言われても困るだろうな。だからここで食事中にお前らが言う自己紹介文を考えておけ。今からあいつらに自己アピールを俺に向かってさせて来る。」

「……え、でも、あの人たちどう見ても貴方のことが好きなんじゃ……俺らの出る幕無いと……」


 至極真っ当な意見を言った子どもは今村の邪悪な笑みで以て答えを返されることになる。


「黙りな転生者。お前らの前世の調べは付いてるんだよ。適正者しか集めてねぇから安心して前世と同じことやってくれ。因みに、だがお前らの共通点はモテ過ぎで、本当は一途なのに他の女性にも好かれ過ぎて本命女性に殺された20代半ばまでの……」

「うあぁぁああぁっ!分かった。分かりました!」


 一人の子どもが立ち上がって今村の台詞を遮った。周囲に何となく連帯感が生まれた所で今村は口を開く。


「今世は死ぬ気で指定した奴らを愛しな。そしたら……ま、色々と救われることになる。」


 意味深に見えるように嗤ってからそう言い残して今村はモニターをセットして自宅へと再び戻って行った。





 ここまでありがとうございます。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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