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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十三章~休息の時~
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21.待機時間中

 取り敢えず怯えられていることが判明した今村は3人組に客弄りは身内でもない限り不特定多数の時にしかやらない方が良い事などのダメ出しを行ってから場所を変えていた。


「……だが、この状態だとアレだな。見られるのは好きじゃないんだが……わざわざ術を使うのも怠いし……」

「るぅねお家に行くべきだと思います!」

「あ、お兄ちゃん。クロノも行ってみたい。」

「……死ぬぞ?」


 るぅねとクロノはいつの間にか仲が良くなっている。外見ではるぅねが大きく上回っており、実年齢も大幅に勝っているが精神面では若干クロノの方が理知的で今村は悲しい気分になった。


「死……?主、家なのに何をしておるのじゃ……?」

「研究材料を守るために要塞化した。」


 サラの質問に端的に答えた後、今村は少し考えてこの場にいる面々の能力を調べてみた。


「……あれ?結構強くなってね……?」


 今村はサラたちの変貌に少しだけ驚く。今の今村からすればそこまでの変化ではないが通常で考えるとかなりの変貌を見せていたのだ。


 今村が少しだけ驚いたのを受けてサラとクロノは唯でさえ豊かな胸を更に張って笑顔になった。


「妾たちも置いて行かれんように頑張らないとのう。」

「うん!ずっと一緒に居たいからね!」


 二人の眩しい笑顔を前に今村は誰にも聞こえないように悲しいなぁと呟いてから思った。


(俺はこいつらより間違いなく早く死ぬ……こいつらはその後どんな顔になるんだろうな……?いや、その前に心変わりしてくれるようにしないとな。……その時は俺に付いて行こうとしていたその時間について考えるんだろうか……)


「ど、どうかしました……?」


 今村が少し黙っていると袖を引いていたシェンが今村のことを心配げに覗きこみながら質問して来た。今村はそれに軽い笑みを返して全員に告げる。


「思ったより強いから……シェンはまぁ大丈夫として、るぅねがサラを、俺がクロノをサポートしながら屋敷に行ってみるか。」


 今村がそう決めるとるぅねが喜んだ後に今村に尋ねる。


「ねぇねぇあるじ様。サラってなぁに?」

「そいつだよ。」

「あ、このおっぱいが滅茶苦茶大きい人!」

「……突くな。これは仁のじゃ。」

「あ、ごめんなさい。」


 色々と言いたいことはあったが一々突っ込むのも面倒だったので今村は屋敷の方へと行こうとしてるぅねに尋ねる。


「……家、どこだっけ?」

「あっちですよ~!レッツ、ゴー!」

「爆走禁止。」


 クレーターが出来そうな勢いで走り出しかけたるぅねを今村は捕まえて道案内させてから一行は屋敷へと向かった。












 今村たちは城塞都市内の住宅街から少し外れたところにある煉瓦のような物質に囲まれた空き地の前で止まっていた。るぅねの案内はそこで止まり今村の方も思い出したような顔をして見上げている。


「お、着いた着いた。罠は覚えてるんだが……道は覚えてなかった。」

「るぅねとあるじ様の愛の巣!わーい!」


 はしゃいでいたるぅねはすぐに罠に引っ掛かって全身穴だらけになる。今村はそれを無言で見て、サラが不安気に今村の方を見て尋ねてくる。


「の、のう……思いきり罠にかかって……」

「……まぁ、アホの子だし仕方ない。」

「いや、妾の道案内をするのはこやつじゃろ……?仕方ないで済まされるとかなり不安なんじゃが……」

「痛かった!」


 穴だらけになったるぅねは次の瞬間には復活していたがそれに追随する予定のサラはそうはいかない。あんな状態になれば死ぬ。


「るぅね。罠にかかるな。」

「わかったよ!次は全部避ける!」


 今村の言葉を聞いてるぅねは元気に頷いて再び同じ道を進みだす。


「いや、わざわざ同じ罠に突き進むなよ……」


 るぅねは先程かかった罠に再び直進してぶち当たる。だが、今度は不可視の弾丸を全て避けきった。


「これでいい!?」

「……サラを、応接室まで、案内しろ。罠にかけるな。」

「わかった!」


 若干頭痛がしてきた気がしたが気を取り直して進------もうとして前方で爆発が起きた。


「……えへへ……あるじ様……るぅね、ここの罠効かないから安全な道忘れちゃったみたい……」

「……全員。俺の後を一歩たりとも間違えないようにして付いて来い。」


 るぅねに期待した自分が馬鹿だったと思いながら今村たちは応接間へと移動して行った。





 緊張感あふれる道筋を移動した後、一行は応接室ではなくリビングに移動してだらけていた。


「お兄ちゃんマッサージしたい。」

「ん。じゃあ頼んだ。」

「うん。」


 ソファに仰向けになってローブで本を読んでいた今村の上にクロノが馬乗りになりマッサージをしたいと言うと今村はうつ伏せになる。


 その光景を見ていたるぅねが自分もと名乗りを上げて来た。


「!るぅねもします!」

「サラにやれ。……そいつが大丈夫だったらお願いする。」

「うん!おっぱい大きいから肩コリしてそう。」

「にぎゃぁぁあぁあぁっ!」

「あれー?千切れちゃった……」

「……シェン。」


 振り向きもせずに事態を把握して今村はシェンに回復させて溜息をつく。


「弱いねー。じゃあはい。」

「……今、妾に何を飲ませたのじゃ?」

「何か、強くなるお薬。何が強くなるのかは分かんない。」

「そんなものを飲ませるでないわ!」


 今村は一応意識を向けて毒物かどうかの確認を行う。問題がないようだったので体の力を抜いてクロノのマッサージを受けることに意識を戻した。


「えへへ……えへへ~気持ちいい?」

「あ?あー……うん。」

「やった……」


 クロノと今村がほのぼのしている間に後ろではサラが強くなっていた。


「……何じゃ?この力の溢れる感じは……」

「お薬の力だよーるぅね特製エナジードリンク!」

「……地道に頑張って来た妾の努力は……」


 サラは若干落ち込み、シェンに慰めてもらうがるぅねはそんな心の機微などお構いなしで飛び掛かる。


「マッサージ受けれるかな!えいっ!」

「にぎゃっ……う、ま、まぁ、た、耐えられないことは……ないの。」

「あるじ様!耐えれるようになったよ!るぅねマッサージする!」

「シェンが受けたいって言ってた。」

「えっ!?」


 急に振られたシェンは驚きの声を上げる。るぅねは仕方なさそうにシェンに狙いを定めた。


「仕方ないなぁ……るぅねはあるじ様にマッサージしたいのに……そんなにるぅね式バストアップコース受けたかったの?」


 シェンは首を勢いよく何度も横に振った。だがるぅねは今村の言うことしか気にしていないのでそれを無視して近付く。


「あれ?何で逃げようとするの?」

「い、痛いのは……嫌い、なんです……」

「だいじょぶだいじょぶ。あんまり痛くない……はず。」


 この言葉が決定的になりシェンは全力で逃げることを決めて廊下に出る。


 そして次の瞬間、大爆発が起き、屋敷が大破。突如として姿を見せた屋敷とその凄まじい轟音によりこの町の人々は今村に対して新たな恐怖を抱くことになった。




 御来訪、有難う御座いました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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