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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十三章~休息の時~
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17.全体的な徒労感

 ゲネシス・ムンドゥスへと一度戻った今村はテイナーを「幻夜の館」の誰かに適当に任せるようにフィトに言ってその辺に転がしてから少し研究所がある世界へと飛んで来ていた。


「あ~……嫌われヤクEX君崩壊させられたし……今度どうしよっかな?」

「……………………………………………………そりゃ、そう……だよ……」


 この研究世界の中には材料となる畑などがあるのだが、そこには以前保護した魔牛の祖。シュティが気だるげに草原に横になっている。

 そしてその近くで戦闘や家事などのスキルだけ並外れた存在である今村謹製の魔導装甲人ゴーレムであるるぅねがシュティに何か教えてもらっていたようだが現在はそれを放り投げて今村の匂いを嗅ぎ回っている。


「……すぅっごい、女の子の匂いがする。」

「変態と会ってきたからな。つーか邪魔。」


 今村はるぅねを蹴り飛ばして畑を弄り始める。るぅねは蹴り飛ばされても普通に今村の下へと帰って来て今村に尋ねた。


「ねー何してるの?るぅねの畑だよ?」

「俺のだろうがボケが……大量に神を殺してきたからその魂を入れて霊樹の肥料にしてるんだよ。」

「間違えた。るぅねの今日畑のお世話もうしたって言いたかったんだよ?」


 どんな間違えなんだろうと今村は思ったが無視した。その光景を見ていたシュティはそれだけの並外れた霊氣持っているのであればるぅねに言霊を付けてあげた方がいいのではないかと言おうとして時すでに遅く黙る。


「なんかごきげんななめだね~」

「…………あなた、の……せい、だよ?」

「るぅねはシュティちゃんのこと結構好きだから元気だよ?あるじ様いっぱい来てくれるようになったし!シュティちゃんはるぅね嫌い?」

「……………………………………嫌い、じゃない……けど………………聞け……」


 面と向かって言うのは結構恥ずかしかったのに途中でシュティのことを放り出して今村の方に行き、無駄に絡んで邪魔者扱いされて再び飛ばされたるぅねを見てシュティは静かに怒った。


「……ま、仲が良くて良かったよ。」

「そーだよ!るぅねはシュティちゃんと仲良しだよ!」


 遥か彼方までローブで投げ飛ばされた数瞬後には戻って来てまだ怒っているのにもかかわらず肩を組んでくるるぅねを怒り切れずにシュティは頷き、そして今村を見上げた。


 次に来た時に伝えようとしていたここに連れて来てくれたことへの感謝の言葉を言うタイミングが来たとばかりに今村の顔を見上げ、シュティは意を決して口を開く。


「………………………………あ、あのね…………」

「さて、帰ろ。じゃね。」


 だが今村は霊樹に魂をあげに来ただけの用件だったので特にここに留まる理由もなくさっさと消えてしまった。恥ずかしさが何とも言えない感情に塗り潰されてシュティは呟く。


「だから…………君たちは、人の話を………………………聞け……」

「るぅねが代わりに聞く!後でね!わーい!」


 そしてるぅねがどこかに向けて走り出したところでシュティは溜息をついてその足を引っ掻けて転倒させてお勉強の時間に戻した。


















「ん~ちょっと畑の土買いに行くか。」


 今村は霊樹の畑を弄った後に少しばかり特殊な氣を入れなければ自分が納得できるレベルのモノにならないと判断して「幻夜の館」に戻って来たが在庫切れになっているのを見て独りごちた。


「……あ、……そ、それ、私も連れて行ってもらっても、いいですか……?」

「……どっから湧いて出た?」


 辺鄙な世界に行くので「ワープホール」だと時間がかかると転移方陣を組んでいると不意にシェンが現れて今村にそう告げて来た。


「あんまりついて来て欲しくないんだが……」

「そ、そうですよね……ごめんなさい……わ、私なんかが、一緒だと……」


 今村は面倒な奴だなと思ったが第3世界全体に少しだけだが異変が生じ始めていたことを感知して目の前の可憐な少女とこの段階世界はリンクしていることを思い出し、溜息をつく。


「付いて来いよ。かったるい……」

「あ、ありがとうございます!」

「む?……その陣。仁、どこかに行くのかの?」


 シェンの同行を許可したのとほぼ同時に湯浴みから出てきたばかりらしい薄着のサラが何故かここにやって来た。


「何でお前、そんな薄着でここに来てんだ……?あ。」

「……多分主が考えておることは違うぞ?妾はただマグマに浸かっていたら思いの外熱くなりすぎたからの。ちょっと寒い地方に行こうとしておっただけじゃからな?」

「……馬鹿だな。」


 そう言いつつも今村は少し考える。ここでサラを追い返すと今村がどこかに行くことが広まり、面倒なことになりそうだと言うのはすぐに想像がついた。


(……最近、力を取り戻してからというモノの五月蠅いのが俺のこと発見しやすくなったからなぁ……)


 単独行動をここの辺りしていないことが何だかストレスになって来始めた今村はサラを連れて行くことに決め、そして今村にとってはあまり嬉しくないタイミングだが彼女にとってはグッドタイミングであろうこの場面に現れたクロノも別世界へと連れて行くことに決めた。


「……クロノは何でここに来た?」

「?お兄ちゃんがいるからだよ?」


 答えになってないと思いつつも術を描くのもあり、対応が面倒なので一応納得することにした。


「……霊樹が大きくなるのを待つ時間が出来るから……その間に一回、別世界の魔温水の星でゆっくりしてから冬眠しよ……」


 ここ最近は何をやっても疲れる気がするのでしっかりとした休養を手にするために霊樹の手入れをした後、一人で小旅行に出かけて自己封印することにした今村は取り敢えず連れて行く面々にこの後行く世界の概略を教えておく。


「あ~……先に言っておく。変な世界だからな?人はゴーレムが殆ど。霊氣はほとんど存在してない。錬金術が盛ん。……後、神々が普通に下界で生活してる。それだけならいいが……まぁ、行ったらわかるか。」


 だが、それもまた面倒になった。本当に一度どうにかしないといけないなと感じた今村は今から行く世界の後のことを割と本気で考え始めた。




 ここまでどうもありがとうございまする。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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