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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十三章~休息の時~
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15.どっちもどっち

「はい。それじゃ伴侶、もしくは何らかの恋の相手がいる奴らは右。いない奴は左に並んでくださ~い。」


 一頻り、殴る蹴る斬る刺す毒に塗れさせる縊る捻る燃やす沈める削る破裂させる千切る呪い殺す……などした後、今村は殺した神々を簡単に復活させて整列させていた。


「ちっ……リア充め……」

「それ仁が言っていいセリフなの?」


 大勢が右列に並んだのを見て今村が舌打ちすると何故かナース服にさせられた瑠璃が今村の横で純粋に尋ねた。当然、回答はない。


「……さて、左の列の奴らは……うん。帰っていいよ?うん?」


 帰っていいよ宣言と一緒に回復を行って帰らせた時点で知り合いがいた気がしたがまぁいいことにして右列の奴らを見て今村は嗤笑した。


「それじゃ、現在の夫婦、もしくは恋愛相手と君らの問題点を勝手に暴いてこの場で大発表しちゃいま~す!」

「はっ!そんなものあるわけがないだろ……俺らは自分で言うのも何だが気持ち悪いぐらいの熱愛……」


 その男は最後まで言うことなく絶句した。いつの間にか現れていた巨大なモニターに彼の対になる存在があられも無い姿を彼の兄弟神に対して晒して、そして扇情的なポーズから……


「う、嘘だ!まやかしを!」

「は~い♪ご本人登場で~す!」


 今村の特大の笑顔と共にこの場に現れたのはその映像とは違う……もっと卑猥な恰好をさせられ、今、まさにソレを行っている最中の映像の二人だった。


「え?え?こ、ここは……?」

「っ!ガーラ……」

「えっ!あなた!?」


 絶望に打ちひしがれる男、そしてそれを見て周りの男神たちにも動揺が走る。今村は笑いながら一枚の紙をその男に渡しておく。


「……まぁ、こいつを見るために奥さんほっぽり出して来るような奴だから当然と言えば当然だが……独身貴族連盟は絶望したあなたの味方です。」

「……俺が、悪いんだな……」


 今村が瑠璃を少し前に出してそう言うと何だかドラマ的な流れが始まったので今村はこのグループは無視して次の標的に狙いを定める。


「ん~リアルタイムでやってるところは少ないな~……お、君ん所とかどうかな?まずは余罪からどーぞ?」


 これから何が起きるのか分からないと言った顔で前例を見て顔を青褪めさせている青年神を見て今村は笑顔でモニターに後宮内の他の女性の腕を捥ぎ、攻め立てている女の図を出した。


「お~……どう思う?」

「そんな……何でkkaryaeがkkrisyaauを……」

「名前が似てるからじゃね?因みにこれはまだマシな日のことです。今日はもっと酷いので括目せよ!」


 そして今村はこの場にモニター内の者を召喚した。


「……ぁ……ぅ……」

「声を発するな!アンタ如きが……アンタ如きがttashyukriup様に愛されるわけが!その声で惑わせ「kkaryae……」っ!?」


 青年神の声を聞いて顔を蒼白にする美女。その先にいる四肢を捥がれ眼球を抉られ、体の豊かなラインを切り落とされた最早生物としての形を保てていない少女を今村は一瞬で治し、現在状況を吹き込む。


「あ、あなたは一体……」

「ただの化物。はい。次行ってみよう!」


 今村は楽しそうに次の標的を定める。事ここに至って男神たちは彼らの愛する者たちを信じる気持ちと周囲の現実に対する猜疑心によって葛藤の色が見え始めて来た。

 そんな彼らは今村と目を合わせないように少し俯きがちになり始め、今村が面白そうに品定めする様から逃れようとする。


「君に決めた。クックック……おぉ。」

「…………嘘だろ……」


 今度のモニターには人間界の、しかもスラムからわざわざ汚水を完全密封状態で召喚し、台所で召喚獣に煮詰めさせた汁でボルシチを作らせている自らは完全防備体制の美幼女の姿が。


「……嘘だと言ってくれよ……」

「好物なんだってね?ふふっ……大体、食べる前にざっと鑑定しないのかよ……衛生管理の問題だろ?……ま、そんな君にもこの名刺をあげておこう。独身貴族連盟は君らのような人材を募集しているんだから。」


 取り敢えず今村は汚水ボルシチとその幼女を召喚。そんなに美味いならお前が食ってみせろをやって次の標的を探す。


「も、もうやめてくれ!」

「うすうす、薄々察してたんだ!」

「オーケーオーケー……そんな君たちには地獄をわざわざ見せるようなことはしないよ。これだけあげるからお帰り。」


 悲鳴を上げる男たちに今村は独身貴族連盟の連絡先が入ったカードを配るが足りなくなった。


「……しゃあない。呼ぶか。」


 今村は連絡先の魔法陣に魔力を込めて用件を伝える。すると筋骨隆々な男が一瞬にして現れ、今村の前にカードを山で置き、周囲に告げる。


「呼びましたか。……あぁ、スミマセンが……私の前ではホモ以外は帰って下さい。ゲイはぎりぎり、BLは「黙ってさっさと帰れ。」」


 何故こいつが来たのか若干イラッと来て今村は世界観を跨ぐように全力で蹴り返して続行する。


「お、これとかどうかな?TSした結果、ハーレムの中に入ってるという……その元の精神体、40付近のおっさんの姿とか。」

「や、止めてくれ……いや、止めてください!」

「じゃあ乱交パーティしてる方の奴にしようか。」

「誰だ!?教えろぉおぉおっ!」


 今村は憐憫の眼差しを向けつつ両方見せた。


「……お前の小さい奴じゃ、満足できないってさ……さぁ、思うがままにやって来い!時間は止めておいてやる!」

「殺してやる!」


 今村は笑顔で先程の敵を見送った。その後ろ姿は既に正の神ではなく負の神に転換してしまっていた。


「……お、君の家は誇っていいよ。嫁さん頑張ってるから。でもまぁ……お前はここで他の女見て悦に浸ってたけどな。奥さん可哀そ~面白くないから帰れ。」

「っ……お、俺は、実は恵まれて……カトリーヌ!すぐに帰るからな!」


 男が帰った後、今村は他の面々を見て少し天を仰いだ後に言った。


「……まぁ、ドンマイって感じだけど……面倒だからいいや。帰っていいよ。でも君らは恵まれてるね~……奥さん大事にしてやれよ。で、だ……そっちは……まぁ、頑張れ。でもお前らがずっと遊び呆けて外に出てるから、こんなことになってるんだぞ?」


 今村は苦汁を舐めるどころか飲まされたかのような顔をしている神々を前に笑いながらそう言って突っ込み要員を見つけに言った世界へ「ワープホール」を繋げる。

 それを目の前の神々は止めた。


「何があるのか教え……教えてください!」

「まぁ、仕方ないからこのカードだけ配っておくよ。何か知りたい場合はウチの係員に通報してくれれば依頼を引き受けるから。」


 そう言って今村は笑いながらここに来ていた男性神が何をしていたのか彼らの伴侶に一切れの紙切れを送りつけてから笑いを堪えつつ突っ込み探しの世界へと戻って行った。



 

 閲覧、ありがとうございました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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