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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二章~最初の一年後半戦~
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8.ツアー準備

これ含めてあと五話で2章終了です…この文量だったらもっと早く済んでましたね…ごめんなさいっ!

「先生。すみませんが今から理事長の所に行きますので席を外します。」

「ん。」


 冥界での一件から理事長のことを嫌悪するようになった祓は嫌そうにそう告げると「幻夜の館」を後にした。











「…は?」

「ですから…お父様から明日にはアフトクラトリアを発つようにとの帰還命令です。」

「…何で…?」


 理事長室に着いた祓は理事長からの思いがけないけない言葉に動揺を隠しきれない。理事長は溜息をつく。


「…最近の祓君の行動が目に余るからですよ。クリスマス。初詣。ヴァレンタインとずっと今村君と居たではないですか。」

「でも…それは…」


 抗弁しようとする祓だったが、理事長はそれを許さない。


「クリスマスは帰還要請を拒否して今村君と二人で宿泊。初詣は学校が休みの日に態々今村君を呼び出し、ヴァレンタインの日はチョコレートを渡してまたも一緒の部屋で宿泊…」

「何でそれを…」

「監視してますから。」


 理事長はしれっと最悪の台詞を口にする。祓は理事長を睨みつける。…が、理事長は動じない。今回はバックに祓の父がついているからだ。祓は深い溜息をついて首肯した。


「…わかりました。帰ればいいのですね?」

「はい。では今村君を呼んでください。」

「わかりました。」


 祓は素直に部屋から出て行った。


(先生は私と一緒にいてくれるってクリスマスの日に言ってくれたんだから…フェデラシオンにも来てくれるもの…)


 そんな祓の心中など知らない理事長は首を傾げながら祓がいなくなった後呟く。


「…思ったよりすんなりと行きましたね…その程度の思いで安心しました…ですが念のため…」











「お久しぶりですね。何か用ですか?」


 祓がいなくなった後、すぐに今村は理事長室にやって来た。理事長は今村を怒らせないように慎重に言葉を選び今村に用件を告げる。


「…えぇ。今村君。申し上げにくいのですが君を世話役から解任します。理由は…」

「あ、別にいいです。で、学校に通うに当たって今までとの違いは?」


 あまりにも軽い今村の言葉に理事長は一瞬唖然としたがすぐに形勢を立て直す。


「…祓君がいないだけで『幻夜の館』を自由に使ってもらって構いません。」

「そうですか。じゃあ特に言う事はないですよ…これだけですか?」

「え…えぇ…」

「じゃ失礼します。」

「今村君…」


 普通に帰ろうとする今村を見て理事長は不気味に思いあっさりと成功したのについ呼び止めてしまった。今村は立ち止まり、理事長の方を向く。


「何ですか?まだ何か?」

「い…いえ。自分が何故解任になったのか気にならないのかと思いまして…」


 理事長は言ってからしまったと思う。折角穏便に終わった話を何故自分から振り直すというミス。気分を損ねたか…と思うが今村はあっさりと。


「嫌われてんでしょ?別に理由が訊きたいとか思わないですよ。それに尽きるだけですから。」


 と告げると歪んだ笑みを浮かべて理事長室を後にした。思わず理事長は口から本音が出る。


「…あんなに好意を持たれていて気付かないのか…?いや…実に好都合なんだが…」












「…さて、免職くびか。う~ん…微妙な気分。やっぱり8割、とうとう1割ショックが1割かな?まぁどうでもいいんだけど。」

ぃ?どしたの?」


 理事長室から出て今、祓に会うと流石に気まずいなぁと思って中庭に来ていた今村の下に金髪碧眼の美少年アーラムが現れた。


「おぉ…お前暇なの?」

「むっその言い方は心外だなぁ…兄ぃが珍しくほんの少しだけ落ち込んでたから頑張って侵略者たちを『カーレリッヒ』で瞬殺して来たのに…」


 突然現れたアーラムに対する今村の反応が気に入らなかったらしく可愛らしく頬を膨らませ不穏なことを口にするアーラム。今村はそのサラサラな髪を撫でて機嫌を取る。するとアーラムは簡単に機嫌を直した。


「それで?どうしたの?」

「やっぱり人間とはうまくいかんなぁ…って思ってね。」

「…それは仕方ないよ…」


 二人は暗い雰囲気になる。が、アーラムがその雰囲気を壊そうと割と大きめの声を出す。


「あんな逆恨みの色惚けの事なんか気にしちゃダメだよ兄ぃ!元気出して!…そうだ!『バルバロス』復活させるからさ!」


 アーラムの元気づけに今村の顔が一気に歪んだ笑みになる。それにアーラムは付け足した。


「それに『極楽鳥』にも適当な理由つけて殺っちゃってもいいからさ!」

「…天界の主を…いいのか?」

「いいよ!兄ぃが元気な方が大事!それにそろそろあの子・・・が動くはずがから丁度いいし!」


 あの子が誰だかわからないが、創造神の流石の傍若無人さに今村も少し押され気味になる。


「おぉ…マジか…」

「『クラーケンキング』の封印解除法も渡すよ!」

「大盤振る舞いだな!」


 だが結局は嬉しい素材ばかりだったので今村の歪んだ笑みのレベルが上がり口角が吊り上る。そこでようやくアーラムも笑った。そして妙に真面目くさった仕草で付け加える。


「あ、でもこれだけするんだから異世界に行っても8年に一回は帰って来てね?」

「ちゃっかりしてんなぁ…まぁいいだろ。いつごろ出来る?」


 苦笑いの今村の問いにアーラムは腕を組んで考えた。


「…侵略者が来なければ…明日…かな?」

「よっしゃ!やる気出て来たぁっ!とりあえず準備しよっ!」

「うん!じゃあ僕も準備にかかるね!」


 アーラムは無邪気な笑顔で去って行った。今村は邪悪な笑みを浮かべると理事長室に戻った。


「ひっ…い…今村君…」

「はいどーもぉ!ちょっと地獄やら冥界やら天界やら回るんでしばらく欠席で!そんだけ!じゃ!」


 もしかして勘違いが解けたのかと思って焦った理事長に一方的に用件を伝えると今村は嵐のように去って行った。次に今村が向かったのは冥界だった。


「『冥門開界』…っと、よう!」

「…?突然どうした?」


 今村が飛んだ先ではいつも通り書類の山の間にいるチャーンドがいた。


「いや、明日から天界、冥界、地獄界巡りのツアーやるからさ部屋借りるよ?」

「勿論構わんが…」

「じゃ、よろしく!」

「あ、あぁ…待て、茶でも飲んで…」


 すぐさま立ち去ろうとする今村をチャーンドは呼び止めるが今村は待たない。


「悪ぃ!今は急ぎ!明日よろしく!」


 そう言うと人間界に戻った。


「っし!準備準備っと…『シルベル君』に情報入れて…」

「先生!探しましたよ…」


 忙しく色んなところを巡っていると祓が今村の下にようやくたどり着いた。


「あぁよう天明・・さん。」

「…?何を言って…何時もみたいに祓って…」


 突然の呼び方変更に祓は戸惑う。だが今村は何でもないかのように作業をしながら祓と会話する。


「あぁ、さっき聞いたんでもう大丈夫だぞ?俺は世話役御免って…」

「!…あの…クリスマスの約束覚えてます…?」


 今村の態度に不安になってそう尋ねる祓。今村はすぐに思い出した。


(あ~…新しい先生が欲しいってやつか…)


「勿論覚えてるぞ?」

「なら…守ってくださいよ…?」


 何となく威圧感を感じる言い方を感じ、その他にも別の気が混じっていることに気付いた今村は作業の手を止めて辺りに「氣」を張り巡らせた。


(おーおーいるいる…1,2,3,4…11人か…中途半端な数だなぁ)


 今村は「異化探知」を使い明確な殺気を持って今村を見ている人の数を数えた。それと同時に歪んだ笑みを満開にする。


「勿論。唯、準備・・がいるんでな…」

「!そうですか!わかりました。では明日の出発にまた…」

「あぁ…まぁ…ちょっと早いけど…」


 今村の答えに祓は満足して去って行った。その瞬間、襲撃者たちが今村を襲う。


「あの方のために死ねぇえぇええっ!」

「ヌルい。『αモード』」


 今村は退屈そうにそう言って一瞬だけ「αモード」になると全員を圧倒した。


「さて、…あの方ってのは天明祓の事でいいかな?」


 ローブで締め上げながら歪んだ笑みを浮かべて訊く今村。襲撃者たちは苦しげに呻いて頷く。それを見て今村は少し考えて「呪式照符」でその男の所属を見た。


(…理事長直属ね…天明・・が約束に痺れを切らし始めて理事長に頼んで俺に仕掛けて来たって所かな?…じゃあこれで良くね?)


「さぁて…頑張って精神改造して立派なニンゲン・・・・…いや、先生を作りますか…」


 今村は歪んだ笑みでローブを使い全員を「閉鎖空間」に引き摺り込んだ。その後今村は手加減を少し忘れて10人廃人にしてしまい、申し訳なく思ったので理事長に全員引き渡した。



 ここまでありがとうございます!


 理事長子飼いの彼らに下された命令は最悪の場合祓を眠らせろでしたが、美人の祓に言い寄られても無視する今村にムカついて自分たちの方が姫(祓)を幸せにできる!と実力の差も分からずに今村を殺そうとしました。


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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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