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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十三章~休息の時~
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11.それは夢なんだ……

「……あの腐れ宗教が復活してるのか……?」


 移動中、今村は気付かない間に増えているらしい変態達のことについて考えていた。


「なにそれ~?」

「……俺がやってることを正当化して何か崇めてる変な奴らの集まり。気持ち悪いから何回か潰したんだが……」


 そう言えばこの前、白崎やクロノと「レジェンドクエスターズ」の本町に行った時にも写真を売ったりしている奴がいた。


「……復活してるとしたら後でまた潰しに行くか。」

「え~なんで~?悪いこと~してるの~?」


 今村は黙ってフィトを見てこれを言ったら面倒なことになるなと反論代わりに溜息をつく。


 今村は死ぬほど面白いことに会って消滅するのが自分にとっての生きる意味だと思っているのでその目標を達成した後に今村が仕掛けた細工によってほぼ全ての世界中から今村の存在と行いが消える。


 そのとき、その宗教は根底を失い暴走を始めることが今村には容易に想像できるのだ。


(はぁ……強く、育て過ぎた……)


 彼の宗教のトップ、その一人は今村が育てた娘で術式抵抗力だけに限った話で言えば原神を凌ぐ。彼女には今村の仕掛けが通じないので居なくなった怒りに任せて暴れ狂うだろう。


「……子育てって、難しいんだよね……流石に殺し合いするくらい仲が悪いのはアレだが……程よく親離れして欲しかったなぁ……」

「きゅうに~ど~したの~?つくる~?」

「黙れ。埋めるぞ。」


 フィトがアピールして来たので黙らせてむしゃくしゃした今村はローブで祓や見知らぬ少女とは違って適当な運び方をしているテイナーに蹴りを入れた。


「あ~何でこうなったんだろうな~適当に別の時間軸に行っても……もう、手遅れなんだよなぁ……」


 逃げて安らかな生活を送るどころか逃げた先まで追いかけて来られて、その来た方に元からその世界に居た存在が感化されて同一の存在が増える可能性があるので嫌過ぎる結末を迎えそうだ。


「……お前らは俺に何を求めてるんだ……?」

「いっしょにね~いること~」

「……あ~もっと即物的なのだったら……楽なのに……」


 他者を好きになったことがない今村の感覚には彼女たちの言っているモノの意味が分からない。そのため代替品を渡すことが出来ないのがまだ彼女たちが自分に付いて来る理由だと思うのだ。


 勿論、彼女たちからしてみれば代替品など渡されても嫌なだけだが……


「お前は……一緒に居てどうしたいんだ?」

「え~別に~いっしょに~いるだけ~たとえば~たま~にね~顔を~見てたらね~めがあったりして~ちょっと~はずかしくなったりしてね~笑いたい~」

「……意味が分からん。何かの歌か?」

「あと~おひるね~いっしょ~」

「寝てるなら寝具でもいいじゃねぇか……」

「それじゃないの~」


 やはりわからないのでそこで話を切り上げた。そのついでにテイナーを蹴り飛ばす。そこでようやくテイナーは目を覚ました。


「はっ!お、お頭……今俺、変な夢見てましたよ……」

「面白い?」

「いや……笑えるといえば笑えるんすけど……天美神12柱の半分がお頭と結婚式を挙げるって言う……」

「ハッハッハッハッハ……全っ然面白くないな。」


 今村は笑いつつも目が全く笑っていなかった。テイナーは俯いておりそんな今村の様子に気付いていない。


「っすよね。童貞のお頭が……何か、何か……冗談っすよね……ハハ……つーか、続きがあるんスけど……1週間1柱ずつとその他大勢の美女たちが何十人も花嫁として参列するって言う……」

「死にたいのか?」


 今村は刃物を押し当てて口を縦にも裂きたいのか?と無言で圧力を加えつつテイナーに話題を変えろと伝える。するとテイナーは弱々しく笑いながら呟いた。


「て、天美神12柱とか、出会えって知り合いになれるどころかまず目撃すらできるわけがないですもんね……夢に、決まってますよね……」

「夢に、決まってる……叶わない、夢。それで、終わり……」


 今村の重いトーンからテイナーは殊更明るい口調に変えて別の話題に入った。


「ま~でも、おれっちとかはそう言う夢叶えたいな~」

「その夢、全力で応援しようぐっ……」


 空から何か降って来た。今村は無視する。


「……え?今何が……」

「気のせいだ。それで?狙うのは誰?」

「ん~……あんまりキツそうなのはアレですし、原神様ともなるとリアリティに欠けるんで……やっぱ【精練された美】で。武術一筋で鍛えられたのに、柔らかそうな女性らしい体をしてるって話なんですよ。それに、純粋で≪中略≫そんな娘を一回自分の物にしたら離してくれなさそうな甘えん坊に≪後略≫」


 今村は頭の中に伝わってくる念話を捻じ伏せながらテイナーの話を聞きつつ今日になって矢鱈と増えている溜息をついてフィトに言った。


「祓と、そこの祓が誘拐した少女を『幻夜の館』に送っておいてくれ。アレが、来る……」

「えい~」


 フィトはすぐさま今村の言葉に従って祓と少女をゲネシス・ムンドゥスへと送り返した。その直後にニコニコしながら【精練された美】がやって来て今村の腕を取った。


「えへへ~」

「……俺は他者に触れられるのが基本大っ嫌いなんだが……」

「うん。ボクも。」


 現在の今村の力を追い抜いている【精練された美】の行動にイラッと来つつもどこか諦め気味の今村、そんな光景を見つつテイナーが吐血していた。


「なん、で……」

「……お前が呼ぶからだこのタコが……報告だけで十分だったのに何を考えてやがったこのボケ……」

「そりゃ≪自主規制≫を……」

「無理だね!ボクは仁以外に肌を許さないよ!【無垢なる美】ちゃんに教えてもらってそう言う術式を組んだもん!パパを決闘で倒して!」


 完全にとばっちりで死にかけたであろう彼女の父親の遊神さんに手を合わせておいてセイランを恨みつつテイナーを見るとテイナーは放心状態でうわごとを呟いていた。


「【無垢なる美】……様と、【精練された美】の……ペア……捗る……」

「仁、そうなの?なら……」

「着いた。天冥地獄界大戦争だ。」


 もう何か色々ダメな面子のことは忘れることにして今村は戦争の中でどこかにいるはずの突っ込み要員二人の男たちを探すことにした。




 お疲れ様でした。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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