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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十三章~休息の時~
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6.賠償中

「ふぅ。すっきり。」


 今村は仲良し原神宗教ゾンビ3人組を互いに共食いするように術をかけて途中で正気に戻してからご満悦して戻って来た。


「さて……ヴァルゴだな。」

「呼びました~?」


 今村が次に行こうとした人物は目の前に逆さ吊りで降りてきた。


「……何してたんだ?」

「考え事です~」


 ヴァルゴは周囲がどんどん強くなっている中、自分が弱いことが現在の悩みになっているらしい。これを聞いて今村は笑顔になった。


「こういうお悩みを聞きたかった。うんうん。いい子だ。」

「???あ、ありがとうございます~?」


 ヴァルゴは悩みを言ったら喜ばれて頭を撫でられたので困惑する。一頻り撫でられた後、今村から変な七色に光を反射する鍵を渡された。


「……何で反射する色が黒色、黒緑色、留紺色、紫黒色と洗朱色、白緑色、白色なんですか~?」

「それはそう言う物だから。説明聞きたいならこの本貸すが?」

「……遠慮します~」


ヴァルゴは難しそうな話になりそうだったので遠慮しておいた。今村は特に残念がる素振りも見せずに本を仕舞う。


「要するにこの中で訓練が出来るような施設があるからそこで頑張れ。まぁ中に入ったら便利な奴らが指導はしてくれる。」

「……私にもできますかね~?」


 ヴァルゴは不安そうな顔で今村に尋ねる。そんな顔を見て今村は首を傾げて答えた。


「出来るところまでやればいい。全部クリアは……あんまり見たことないな。取り敢えずステージ24までが強い奴らの指標になってる。」

「……そうなんですか~……因みに、その強い人たちの基準って……」

「……いや、流石に俺基準じゃないぞ?一般的に……まぁ強いとされてる奴ら。大体アリス位じゃないか……?」


 今村の言葉を聞いてヴァルゴは頷き、言った。


「そのくらいあれば私も仁さんに付いて行けますかね~……?」

「む…………頑張れば、何とか……いや、ならないか……」


 今村は反射的に無理だと答えようとして少し彼女たちの行いを鑑みてそれはあまりに酷だと考え、オブラートに包んで答えようとしたがやはり無理な物は無理だと言い切った。

 ついでに新しい相手のことを考えるように勧めようともほぼノータイムで思ったが取り敢えず今の悩んでいる状態であさっての方向に突き進むような性格をしているとこの間の一件で理解したので後回しにする。


 そんな今村の心境を知らずにヴァルゴは今村に尋ねる。


「……では~私が付いて行けるようになるには~……」

「まずはこれをしないとどっちにしろムリ。頑張れ。」


 今村は取り敢えず助言できる範囲でそう言い、ヴァルゴは今村の言葉に頷かざるを得なかった。それほど生易しい格差ではないと理解しているつもりだったがそれはただのつもりで現実はもっと高い壁が聳えているようだ。


「……ま、過去俺の貸した課題だって熟せたんだし。頑張ればある程度までは何とかなるだろ。諦めた方がいいと思うが……悔いが残らないようにな。」


 最後に今村はヴァルゴを一撫でしてからその場から立ち去り、そのすぐ後に変なことしたなと後悔した。


(……まぁいい。マキアん処でも行くか……無茶なこと言いそうだが……あいつ変なところ生真面目だからないかな……?)


 そう思いつつ今村はマキアの部屋へと移動して行った。















「……!先生ですか!」

「……まだノックする前なんだがよくわかったな。俺だ……」


 今村がマキアの部屋の前に行くと基本的に完全に気配や足音などを隠しているのにもかかわらずマキアが扉を開けた。


「あはは……御用があればすぐに行きましたのに……何もない部屋でスミマセンからすぐにどこかに……」

「このままでいいが……」


 マキアの部屋は家具類が何もなかった。嗜好品の類も全てがなく、ただ「幻夜の館」のキッチンなどの基本セットが綺麗に揃っているだけだ。


「先生は紅茶と抹茶、それと……あ、魔緑茶がいいみたいですね?」

「……まぁ、確かに今は魔緑茶の気分だな……」

「お茶請けは……妖缶ようかんでいいですか?」

「甘い奴な。」


 マキアは何もない空間に自分の個人倉庫から黒い重厚な木製テーブルとそれに合わせたような細かい細工が施されたマーキュリーシャと名のついた魔薬品の製造物の椅子を出し、それに今村が座るように勧める。


「……それで、どうしました?」

「あぁ、この前の消滅事件に関してで、賠償を行おうと思ってな。」

「……アレは……」


 マキアは軽く俯いた。今村は出来る範囲で何でもすると言ったが、彼女は真っ直ぐと今村の顔を見て言い返した。


「嬉しいんですけど……ダメです。私には貰う権利がありません。そもそも、あの事件は私たちの所為で……」


 自己嫌悪に入りつつそう言って来るマキアを今村は一応説得する。


「でもまぁ、俺如きが居なくなる程度のことに対して消滅するまでやったというのは事実だし滅多にないんだし貰っとけば?」

「……逆です。私たち如きの消滅程度に対して先生がここに居る、居てくれるというんですから……後、先生に如きと付けるのは止めてほしいです……」


 マキアが思っていたより謙虚だったので今村は揺さぶりがてら割とすぐに引き下がることにした。


「んじゃ、本当に要らないんだな?」

「はい。……あの、今回は本当に申し訳ありませんでした。謝罪のしようもありません……ですので、許していただけただけでもありがとうございました。」


 マキアは深々と頭を下げる。何もいらないと言われても他の面々には渡しているので何かあげておかねば気が済まない今村はマキアの様子を少しだけ観察してもう少し揺さぶってから諦めようとしてあることに気付く。


「……引っ越すのか?」

「……あ、いえ……ちょっと、長期で旅に出るだけです……この部屋は私の物として残しておいてもらえますかね……?」


 今村の問いに肯定し、不安気に尋ねてくるマキアに今村はにっこり笑って答えた。


「じゃ、それが賠償と言うことで。」

「……………………まぁ、はい。」


 何となく釈然としなかったがマキアはそれを受け入れてこの後、しばしの間今村とのお茶会を楽しんだ。



 ここまでありがとうございました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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