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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十二章~時の流れ~
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15.解析ほぼ終了

 開戦後。


 クロノ、サラ、祓たちは一撃も貰うことのできないディエスの攻撃に晒されつつも三対一の利を活かして優勢に立っていた。


 だが、その戦いには問題があった。彼女たちはディエスの放った攻撃から身を躱して偶然交差した際に現状の情報共有を図る。


「……攻撃を避けることに専念し過ぎて決定打に欠けますね……」

「クロノの力もかなり抑え気味にされてるよ~……」

「向こうもその【時】の概念のお蔭で攻めあぐねているようだがのう……」


 戦局がすぐに硬直してしまったのだ。どちらも一撃が決まればその時点で勝ちが決まる大砲、【消滅】の力と【時】の力を持っているが、互いにそれを警戒することでその攻撃は未然に防がれている。


「マジ……大帝、様……申し訳……コレハ、コロス……僕は、殺す……消す、モノ……ミナゴロシ……【虚空崩こくうほう】」


 口調、声音が狂ってしまったかのようなディエスの言葉が垂れ流され、消滅の力が放たれて辺りが抉られて消え去る。

 それ自体からは何も感じ取れないがそれが通った後は文字通り空間すら残らない何もない状態になるのでクロノ達はその軌道を読み易々と避けた。


「【クロノスエンブレム】!」

「【消禍】……」


 そして、攻撃の後にこちらからも反撃を仕掛けるがディエスから巻き起こる透明な渦がそれら全てを消し去りまたも互いに睨み合いの状態に戻る。


「あーもう……早く終わらせたいのにぃ……」

「どうしましょうか……?『幻夜の館』に今日残っているのはヴァルゴさんだけですが……呼べますかね?」

「……その余裕はないじゃろ。みゅう様などならまだしも、この空間に来るのに妾たちではかなりの時間を要する。」


 周囲の状況を鑑みつつ彼女たちは埒の開かない戦いに、隙あらばカムサとの戦いを行っているアリスと相手をスイッチできないか考えつつ身を投じた。











「楽しいなぁ!仁よ!」

「そうだなぁ!腐れゴミ屑!」


 一方、今村はドイスと戦いの最中にテンションを上げていた。相手が強いと言うことではなく、戦いが楽しいというわけではない。


 ただ、解析している最中に少し興味深い内容と、自分にも応用できそうな仮説に思い当たってそれを確かめるのが楽しくなっているのだ。


(これがもし成功するとすれば、俺は楽して今の1.5倍の能力を得られる……そうなりゃ全盛期の能力値まであと一歩!……まぁ、結構巨大な一歩だがそれでもよしだ!取り敢えず、俺の仮説が正しければアレがあるはず……)


 今村はそろそろ解析が終わりに近づいてきたので来るなと言っておいたのにもかかわらず勝手に来て殺された当人より怒って制止も聞かずに戦いをしている彼女たちの方を見て帰るようにテレパシーを送る準備をする。


「よそ見とはいい度胸だな!『豪炎剛腕』!」


 だが、それは目の前の筋肉ダルマによって止められた。今村は音と念力と言霊だとどれが早いかな?と一瞬迷っている間に目の前に迫って来ているドイスを見てそちらの相手に戻る。


「……っと、もう来てたか。『死出処しいづるところよりその力を現せ!【死出眼シイデメ】」

「フン!しゃらくさいわ!」

「んじゃ、【睨み壊し】」


 睨みつけるだけだが、呪いが付与されているそれは着実にドイスの力を削いで燃え盛っていた右腕を黒く染め上げ、壊死させる。


「……さ、て、と。あいつら俺の言うこと聞かなかったから楽勝できる予定があるのかなと思ってたんだが……苦戦してるみたいだし、そろそろ殺すかね。あ、研究の協力を感謝することにしたからさくっと殺ってあげる。【αモード】!」


 今村はこの原神に近い空間でこの姿になると狙われるため、時間をかけたくないと言う言葉を別の表現にしてドイスを前に「呪刀」の封印も解除した。


「な、あ?」

「さて、……まぁ精々頑張りな。」


 雰囲気、纏う氣、魔力の質、そして太刀筋、それに体捌き、それら全てが変わったことにドイスは一瞬で気付き、少し怖気づいて下がってしまった瞬間に今村の猛攻が始まった。












「はぁ……はぁっ!手古摺らせてくれたわね……」


 他方で、アリスの方も戦闘を終了させようとしていた。


 強弱を操るカムサの力で重力、魔力、存在値などが虚実綯い交ぜになっている

空間で肩で息をしているアリスの方がカムサを追い詰めていた。


「グ……ぅ。そんな、こいつに……殺されるにしても、【魔神大帝】様に……」

「黙りなさい。」


 弱々しい反応を示すカムサにアリスは路傍のゴミを見るかのような視線を向けて黙らせた後に、今村の戦いを見て顔を緩める。


「……格好いいなぁ……ひとくん……っと、今はあんまりダメだね。あっちの方の手助けをしてあげないと、あれとあの子たちじゃ相性があんまり良くないし……」


 アリスはそう独白するとまずカムサの氣の根源体を全て破壊して前世での贖罪の為に衰弱死するように仕向けた後に、クロノ達がいる方向全域に向けて念力を飛ばした。


「……これで、後は全員であの恩知らずを……」


 アリスが消滅の力がどこにあるのか読みながら今村の戦いを見て精神力を回復させてそう呟くと視界の中に先程倒して衰弱死させている過程のカムサがいないことに気付いた。


 それと同時に、心底馬鹿にした声が異常なレベルの早口で聞こえた。


「相手にとどめを刺さずによそ見とは、それでもあなたは【魔神大帝】様に戦い方を教えてもらったんですか?雌豚。」

「!?かはっ……」


 その声がした方向を振り向いたと同時にアリスの無駄な物は一切ないしなやかなくびれのある脇腹に灼熱感が走った。


「……【キュアモーラル】」


 アリスは異常を感じてほぼノータイムで何らかの攻撃を受けた箇所に回復術を施す。


「クハハハハハ!【光を司る女神】様!そんなに遅いなんて、どうしたんですかね!?死にたいならすぐにお願いします!」


 カムサの高笑いにアリスはその美顔を顰めさせる。先程まで圧倒できていたスピードの差が現在ではひっくり返っているのだ。彼女は内心苦々しく思う。


(弱化の力を体の中に打ち込まれたみたいね……)


 冷静に判断してもそれは時すでに遅し。自分から戦いの場に参じておいて恥ずかしくて仕方がないことだが現状で打つ手がなくなっている。


(……こんな状態でディエスをここに呼んだら……何とかしないと……!)


 焦るアリス、そんな彼女の下に来たのは―――


「アァアァァァァァアアァァッ!皆、消えろぉぉおおおおぉっ!【マガレジシクルアムズ】!」


 ディエスの放った巨大な消滅の力だった。




 ここまでありがとうございました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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