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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十二章~時の流れ~
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6.甘い裁決

 幸薄そうな相談者の神域に着くとそこでは美しい女神が男と交わっている最中だった。瞬間、今村は顔を顰めて転移してきたばかりのクロノの視界をローブで塞ぎ、音も消す。


「……成程。これは酷い。」

「……バーガル。これ、誰なの?帰って来る時は一言言えって言っておいたでしょう?」


 女神は裸体を隠しながら幸薄そうな相談者を睨みつける。同衾していた男はニヤニヤと笑いながら体を軽く拭って服を身に纏おうとして切り刻まれた。


「……へ?」

「あぁ間違えた。【戻れ】。」


 幸薄そうな相談者が女神のあられもない姿を直視できずに顔を伏せている間に起こった事件に睨んでいた女神が間抜けな声を上げると今村は普通に男に回復を行って悠然と立ち、二人を見る。


「……な、え?い……今……」

「昼間っからお盛んなことしてっから幻覚でも見たんですか?んなことより服着てもらえますかね?見苦しいんで。」


 今村は侮蔑の意をありありとこめて女神を見下す。ついでに今では凍りついた顔をしているが少し前までへらへらしていた男の足を停止させて動けなくしてから相談者に尋ねる。


「……ま、取り敢えず相談を。この人と一緒に齟齬がないかどうか訊きながら始めましょうかね。」

「……私を人風情と一緒に「まずは話をするから黙れっての。」かぇ……」


 今村は女神の体の内部を人間化して気道を術で締め上げた。そしてソファに座ろうとして汚かったので相談者に燃やしていいかどうか尋ねてあまり色よい返事ではなかったので空気椅子にした。


「……あ、ここからは喋っていいが……まず相談者君はどうしたい?」

「……どう、したいんでしょうね……正直、もう訳が分からないんです。」

「巨大な蠅の雄と交尾させて無理矢理着床するように改造してその子の苗床にでもする?」

「そ、そんなの許されるわけないでしょう!?」


 態々概念で妻がこの場所でそういう行為に及んでいる場所に時を操作したのに相談者が未だに煮え切っていないので今村が軽い案を出したところその女神が猛反論して来た。

 今村は冷めた視線でお前には聞いていないと態度で表した後に仕方がないと前置きして答える。


「許されるに決まってるだろ。この世界の管理権は今俺に譲渡されてる。法氣の操作をすれば明文化されてなくても俺が思う通りの法が生まれてお前だけ誰に何をされても文句を言えない様に設定も可能だ。まぁ、それが無くても俺に法は関係ないが……」


 そう言って今村は法氣を発動して女神に今村が発言を求めない限り言葉を発せない様に設定して相談者を見る。


「で、だ。法なんぞ関係ないと思ってる俺がわざわざそんなものを用意したのはお前が法に拘らずにやりたいようにやらせるためなんだよな。……本当に、何にもないか?」


 いきなり視界を塞がれて驚きつつも今村の念話で状況は理解したクロノが現状がどうなっているのか見ようとしてもがいているのを押さえつけながら今村が問うと相談者は力なく笑った。


「……出来れば、妻が何でこういうことをするようになったのか。理由を知りたいですね……」

「だとよ。【掛け値なく本音を語れ】。」


 今村の一言で女神は口を開いた。それと同時に今村はクロノの語感を取り戻させて話をよく聞かせる。


「……飽きたのよ。あんたに。そして、いつまでも続くこの関係に……私たちは基本何もなければ永遠に続くのよ?それをあんたと……あんただけで満足できるわけないじゃない。なら、もう割り切って好きなようにした方がいいわ。どっちにしろ一度やってしまったんだし、もう戻れないんだから。それに、正直あんたのテクじゃ私イケないし。」


 傲然と言い捨てる女神を前に相談者は何も言わずに項垂れた。


「……他に、何かご要望はありますか?」

「いえ……やっぱり、私がダメだったんですね……我が身可愛さに妻を独占しようとしたことが……」


 ここで今村は故意に女神の沈黙の法を解いた。すると女神は一見フォローを入れているかのように見える罵倒を始め、時折今村の様子を窺いながらどこかと通信を始めた。


「……昔のあなたならまだマシだったけど、今じゃもう恋愛対象とは思えなくなってるの。ごめんね。でも、私が面食いなのは知ってたでしょ?それを込みで結婚したんだから……」

「邪魔するぞ。」


 今村が女神の言葉と態度、それと相談者の受け身にイライラしていると不意にそんな声がして神域に筋骨隆々な半裸の男が現れた。

 それは今村を見るなり殴りかかって来たので今村は殴り掛かってきた腕を切り落とし、ついでに四肢をバラバラにし体にその手足を末端の方から無理矢理切断面に捻じ込んで回復能力を消し飛ばして見下す。


「ぱ、パパ!」

「……ゴボッ!ゴビュ……な、ぁ?」

「お、お義父さん!?」

「何だテメェって言おうかと思ったが、まぁ訊く手間は省けたな。血を巻き散らかすな汚い……」


 乱入者の正体がわかったところで今村は術を施して恰好だけ普通に戻し、内面は激痛に苛まれるように設定しておく。


「で?相談者の義理の父さん。何か用ですか?」

「ガァアァァアアッ!き、貴様!ふざけた真似をしやがって!許さんぞ!」


 今村は無言で痛みを数倍にしてもう一度尋ねる。


「で、何の御用ですか?」

「よ、余所者がウチのことに手、手を出すんじゃない!っぐ……これは、ウチの問題だ!」

「手を出してきたのはそっちでは?私が出す気なのは口です。これは正当防衛ですよ?」


 後ろで白崎は本当に正当防衛って言葉好きだよなぁ……と思いながら成り行きを見守りつつ自分でも透明化できないかと術式の模索を行いつつクロノが動くのを宥める。


「さて、取り敢えずバーガルさんの奥さんはバーガルさんに精神的苦痛を与えたので賠償を。そうですね……今回の場合は財産分与なしとバーガルさんから得た金で行った不貞行為にかかった費用の全額賠償。それと精神的苦痛に関する費用と私どもに払うもの、以上を含めて3170万ってところですかね。」

「……いや、いいです。」


 そんなの払えるわけがないと女神が喚くよりも早く相談者はそう言ってきた。今村は良いのかという顔で相談者を見るとバーガルの妻の父はしたり顔で頷く。


「当然だな。どう考えても俺らがこいつに何かを支払う道理はない。」


 今村は軽く神速で斬殺、焼殺、毒殺と3回ほど父親を殺して生き返らせることを繰り返した後にその真意を尋ねる。


「……満足させてあげられてなかったことに気付けなかったんですから。僕にも非があると思いましたし……それに、請求しても支払い能力がないと思います。ですから、この二人には財産分与しないことだけで請求は結構です……代わりにあの二人には……」

「…………分かりました。」


 本人の意向を無視するわけにもいかないので今村は頷き、取り敢えず安堵している二人を一度ずつ殺しておく。


「では、この後この二人に関してはどうしますか?」

「……本人の望むようにさせてあげてください。」


 今村の問いかけに相談者がそう答えると今村はすぐに行き帰らせた二人の思考を読んでその通りにしてやる。


(……下衆女は美男子に囲われたいというお望み通り第1世界の美を至上とする世界に送ってやろう。……ま、あそこじゃこの女は下の下の下の下くらいになるだろうが……美至上世界だから美のない奴を選ぶ奴はいないし、仕事も出来ないで見向きもされない。扱いは吐瀉物みたいなものになるが……本人が望んでるからいいだろ。)


「わかりました。それでは他の方々からしっかり取りましょう。」


(んで、この馬鹿は……楽したいと。なら身動きも、思考すらなくなるような堕落し、生存だけを許される徹底した楽な世界に送ってやろう。)


「……さよならだ。」


 この後、今村は相談者に3000万得させた後に謙虚と誠実を美徳とする世界から美女を連れて来て紹介し、それが結ばれ、幸せになった時にだけ映像が転写される術式を組んで去って行った。




 ここまでありがとうございました。



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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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