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例外者の異常な日常  作者: 枯木人
第二十二章~時の流れ~
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1.先取り

 すみません。何かパソコンの調子が悪いので少し短めです。

「ぅあーっ!終わったぁっ!」


 そう言って薄暗い部屋の中で今村は机の上にある紙を術で最小化してローブに仕舞ってから立ち上がった。


「これでよしっと。あ~疲れた。流石に無詠唱及び予備動作の省略と概念化を組み込んだ術式の簡易化はムズかったなぁ……これを途中までとはいえ何にも考えずに素で使えるクロノは天才だな。まぁどうでもいいけど。これで俺も時の魔術と魔法を使えるし……よし、だらけよう。全力でだらけよう。」


 今村は長いこと研究に没頭していた後の解放感でハイテンションになりながら今からしばらく分の仕事を片付けるために動き出した。


「さて、それじゃこれから何も起きない状態での近未来を……なるほどね。んじゃ取り敢えず書類取りに出ましょうか。」


 そう言ってだらける分のやって来ると思われる仕事を全て片付けに今村は自分の研究室から出て行った。












「……ちっ。思ったより使えねぇな……色々世界的にロックがかかってるし余計なことばっかり見える。」


 今村は仕事を片付けながらそうぼやいた。可能性がある物を処理していくのでは基本的に「確率視」とあまり変わらないので大した能力に思えないのだ。


「あ、先生……こんな夜中に……」

「『タイムストップ』……」


 今村が仕事をしていると祓が起床して来て夜食的な物を持って来たので今村は取り敢えず能力を使ってみて祓の様子を見る。


「……止まってるな。まぁ止めたんだけど……ん~これなら別に時の力でなくてもいいんだが……まぁ概念的な使用をしてみるか。取り敢えず俺と出会う前の状態に戻して……」


 今村は実験とばかりに祓の思考を大分昔の状態に戻してみた。だが、上手く行かないようだ。


「……ちっ!原神のロックがかかってる……こういうことに対する対抗策で予め作ってやがったなこりゃ……」


 今村はこれで時の力の使い道の範囲が狭まったのを感じて溜息をつき、無気力状態に近くなった。


「解除。……はぁ。」

「?どうしたんですか?」

「……明日、いや今日か。とにかく俺何にもしないわ。全能力を一回切るってことな。俺が元々創った奴はある奴に継続させるから問題ないが他の奴は完全に能力供給を止めるからそう言っといて。」

「あ、はい……」


 祓は何の異論も唱えずに今村の言葉に頷いた。今村はこいつ大丈夫かなと思ったが別に今村に問題があるわけではないのでそれでいいとしてしばらくの間に発生しそうな仕事の片付けに移った。


「……手伝いましょうか?」

「どっちでもいい。」

「それでは手伝いますね。隣、失礼します。」


 祓はそう言って今村の仕事の範囲内の少し外に出て手伝いを開始する。その音を聞きつけて次々と人が集まって来た。


「先生仕事してるんですね?手伝いますから椅子にしてください!」

「……寝てろよ。お前ら明日仕事あるんだぞ?あ、俺は明日休む。本気で何もしないから。」


 今村がそう言うと空間に揺らぎが生じてそこから銀髪のツインテールの美幼女が非常に眠そうな顔をして現れた。


「え?……パパが何かしてるな~って思ってきたけど、どうしたの?結界とかそういうのとか……」

「明日は全部休み。結界に関しては俺が限定的に定めた不利益が生じる場合だけ発動するように超省エネする。」


 今村が顔を全く上げずにそう言うと闇夜の中でも光る双眸が今村のことを獲物を見る目で見て言った。


「い、今村さん。それって、どこからかちょっとだけ訊いてもいいですか?あのほんの触りだけなんですけど。食事を運んだり、今村さんの身の回りの世話をすることって邪魔に入ります?」

「入らんよ。」


 ざわめきが広がった。今村は何が起きたのかいまいちよく分からなかったが背後からの熱気を感じつつ付け足しておいた。


「あー基本的に何の反応もしないから。何かしても意味ないよ。何か害があれば無言でぶちのめしにかかると思うし。」

「害があればだよね?じゃあ問題ないよ!」

「ん……ぁ……なに~?どうしたの~?」


 騒ぎを聞きつけてどんどんと今村の周りに人が集まってくる。今村はいつの間にこの階まで来れる者たちが増えていたのかと訝しげに思ったが今はそれはどうでもいいかと割り切ることにして書類を片付ける。


「……んにゃ?なんかお兄ちゃんからクロノと同じ匂いがする~」

「目敏いな。時の力を手に入れた。まぁ俺はあんまり使わんな。多分トレーニングサボった時に最も良い状態に戻すこと、あと何だろ。気分が乗ったときくらいにしか使わん。」

「お揃いだ~!」


 クロノは今村の話をあまり詳しくは聞いていなかったようだが細かく説明するのも面倒だと放置することにして少しだけ思った。


(死ぬほど面白いことに出合うために生きてるとはいえ、先の展開知ってたらそこまではいかないにしろ程々に面白いことも楽しくなくなるしな。時はあんまり俺向きじゃない。)


 今村はそう思いつつ新しい書類を取ろうとして手に届かないので訝しげにその場所を見て周囲を見た。


「……何してんだ?」

「何だかよく分からないけど、これをしたらひとくん明日お姉ちゃんたちにお世話させてくれるんでしょ?だったらやるよ~」

「……何か色々間違ってる。」


 今村はそう思ったが苦労して手にした割に何か微妙だった時の力に対する虚脱感とこれからもう休みに入ろうと言う気分によってまぁいいか。と流すことにして仕事を片付けていった。




 ここまでのお目汚し申し訳ありません。ありがとうございました。

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全盛期、相川だった頃を書く作品です
例外者の難行
例外者シリーズです
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